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ランチア「ストラトス」はスーパーカーではない!? 70年代のラリー王者の日本での受け取られ方とは【スーパーカー列伝03】

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ランチア「ストラトス」はスーパーカーではない!? 70年代のラリー王者の日本での受け取られ方とは【スーパーカー列伝03】

WRCで実証された戦闘力とウェッジシェイプのカッコよさ

1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」は、池沢早人師さんによる漫画『サーキットの狼』をきっかけとして巻き起こりました。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を振り返るとともに、「今もし買うならいくらなのか」、最近のオークション相場をチェックしてみましょう。

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他のモデルとは一線を画するWRC用のホモロゲマシン

モデルカーの題材としても人気があるランチア「ストラトス」は、1973年から世界選手権に格上げされてスタートすることになった世界ラリー選手権(WRC)において勝利するためだけに開発されたパーパス・ビルド・マシン(ひとつの目標を達成するためだけに特化したクルマ)だ。

ミッドシップの位置に横置きで搭載されたV型6気筒エンジンのブロックは「ディーノ246GT」用と同じで、カムシャフト、クランクシャフト、エンジンヘッドなどがストラトス専用となっていた。タイトな室内はラリードライバーに最高の仕事をしてもらうために運転席側が若干広くなっており、ドアの内側にはヘルメットを収納できるトレイが存在。過酷なラリーフィールドを走っていたランチアチームのワークスカーは、不要なトラブルを回避するため、夜間走行時に限りリトラクタブルヘッドライトを上げた状態で固定していたといわれている。

ベルトーネがデザインしたウェッジシェイプそのもののような斬新なスタイル、リトラクタブルヘッドライトを採用した精悍なフロントマスク、そして、フェラーリ用エンジンを搭載していたことから、スーパーカーブーム全盛時は、「カウンタック」、フェラーリ「BB」シリーズ、ポルシェ「930ターボ」などと同列で語られたが、ストラトスは他のモデルとは一線を画するWRC用のホモロゲーションモデルであった(ホイールベースが短いので、492台のみ生産されたストラダーレ仕様も乗りこなすのが難しい)。

1974年~76年のWRCで3連覇する大活躍

日本ではスーパーカーの枠に入れられてしまったものの、その速さが圧倒的だったこともありランチアワークスのストラトスはラリーフィールドを席巻。1974年から1976年のマニュファクチャラーズタイトルを3年連続で獲得したため、スーパーカーブームのときに出版された自動車関連書物では、「国際ラリーを制覇」、「公道を走るレーシングカー」といった見出しや説明文が躍った。

とくに名手サンドロ・ムナーリがドライブしたアリタリアカラーのストラトスのカッコよさは格別で、当時、小学校の低学年だった筆者は大人になったらグランプリホワイトのポルシェ930ターボとアリタリアカラーのストラトスを買おうと本気で思っていたものだった(結局、軍資金が無かったので果たせず)。

スーパーカー少年たちの間でも捉え方は二分された

ラリーで活躍した印象が強いストラトスだが、ベルトーネデザインだったことをフィーチャーする自動車関連書もあり、その前身がベルトーネ作のショーカーである「ストラトスHFゼロ」であったことから、「宇宙をドライブするのにいいクルマ」、というキャッチコピーを付けた子ども向けの本もあった。ちなみに、成層圏=stratosfera(イタリア語)なので、宇宙という言葉が出てきたのだ。

ブーム当時の小学生の間では、ラリー専用車としてのストラトスと、ストラトスHFゼロのデザインを継承したベルトーネの秀作という、ふたつの捉え方をされていた。ざっくり大別すると低学年はホモロゲーションモデル/純粋なラリーマシンとして絶賛し、高学年は宇宙時代のデザインに触発されたショーカーの流れをくむ未来的なプロポーションのスーパーカーとして賛美していたのであった。

現在は高騰して8000万円~1億円、ただし流札することも多い

かつて小学生たちの憧れの存在だったストラトスは現在、海外のオークションで8000万円~1億円ぐらいのプライスで出品されているのだが、さすがに高価すぎるのか落札されないケースも多々あったりするから興味深い。

2022年9月にRMサザビーズが開催した「ST. MORITZ」オークションに出品された1975年式ストラトスは、レッドオレンジのボディカラーにアルカンターラのインテリアをまとった美品。60万~70万スイスフラン(邦貨換算約8600万円~1億円)のエスティメート(推定落札価格)が示されていたものの、残念ながら「No Sale(流札)」に終わってしまったようだ。

オリジナルのストラトスはマーケットを探せば6000万円ぐらいから入手できそうだが、いずれにせよ高価なので、近年はよくできたレプリカも欧州で販売されるようになってきた。少年時代の夢を叶えるならば、そちらの選択肢も視野に入れてみるといいだろう。

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みんなのコメント

7件
  • 格好いいな・・
    極端に斜めのシート、のけぞる様な運転スタイル・・
    便利な乗り物とは真逆
    人間が車様に乗せさせて頂いている・・
    良い車じゃないか
  • 『北海の竜』ランチアストラトスが出てくるが、当時、ランチアストラトスって何者だって感じでスーパーカーじゃあなかったね。
    漫画では公道レースで出てきたけど、ラリーのためのスペシャルなマシンは当時の少年達にはラリーカーは分からなかった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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