2021年にアメリカのストックカー最高峰であるNASCARカップ・シリーズでチャンピオンに輝いたカイル・ラーソンが、2024年のインディアナポリス500マイルレースに初挑戦する。また、同日にシャーロット・モーター・スピードウェイで開催されるNASCARカップシリーズの『コカ・コーラ600』にも参戦することを発表しており、一日で2大会を出走する“ザ・ダブル”を計画している。
ラーソンはアメリカ・カリフォルニア州出身の日系三世で、二児の父である。彼は今年で31歳を迎え、NASCARチャンピオンとして一層ベテランドライバーの域に入りつつあると言えるだろう。
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ラーソンは7歳でカートに乗り始め、ダートオーバルでマシンコントロールの技術を磨き上げた彼は、インディカーに進みたいと考えていた。しかし、道が開けたのはストックカーのメジャーシリーズの方だった。
実は、これはNASCARの最高峰シリーズを4度制したジェフ・ゴードンとまったく同じパターン。ヨーロッパなどからも参戦希望者が集まってくるインディカー・シリーズは、アメリカの才能発掘にもう少し力を入れた方がいいのではないだろうか。
インディ500はラーソンが子供時代から憧れていたレースだったが、ストックカードライバーとなった彼は、インディアナポリス・モータースピードウェイで行われる世界最大のレース出場という夢はもう叶わないだろう……と考えるようになっていた。
ところが、ストックカーチームのオーナーであるリック・ヘンドリックに出場したい意向を伝えると、“ぜひ実現させよう”と話はとんとん拍子で進んで行き、2023年の1月にラーソンのインディ500挑戦が発表となった。
アメリカでのストックカー人気は非常に高く、タイトル獲得経験者で現在もトップコンテンダーとしてフル出場をしているラーソンのインディ500参戦を大きなニュースとして伝えた。
前述のゴードンはヘンドリック・モータースポーツからのNASCARシリーズに出場で4回もストックカーチャンピオンに輝いたドライバーだが、彼の時代にインディ500挑戦の話は一度もトライされなかった。
インディ500に出場する場合、シャーロットでの600マイルレースでは最後尾グリッドからのスタート(レースデイの朝に行われるドライバーズミーティングに出席できないことに対するペナルティ)を余儀なくされるのだが、チャンピオンの座を常に争っていたゴードンの場合、その不利を受け入れることができなかったのだ。
しかし、近年のストックカーはルールが変更され、シーズン中に1勝以上していればチャンピオン争いに加わる権利が与えられる。そのため、インディ500に出場することによる不利(シャーロットでの600マイルレースを最後尾スタート)という条件は受け入れやすくなっているのだ。
この5月、第107回インディ500開催期間中にラーソンは改めてインディアナポリス・モータースピードウェイで記者会見を行った。そして8月のインディアナポリス戦でも、彼らは来年のレースに出場するマシンのカラーリングをお披露目した。ここではシャーロットでのレース用にペイントされたストックカーも同時にお目見えした。
「今、僕はとてもエキサイトしている。今日のマシンカラーリング発表のようなことが積み重なっていくことで、本当に実現するのかわからなかった自分のインディ500挑戦が本当に起こるんだな、という実感が増している。レースが近づけば神経質にもなるだろうが、同時に期待や興奮も高まっていくだろう」とラーソンは夢の実現に一歩ずつ近づいていることへの感想を語った。
インディアナポリスで500マイルレースを戦い、ヘリコプターと飛行機利用で移動してシャーロットでの600マイルレースに出場する。同日開催されるストックカーとインディカーのレース両方するこの企画は、1994年のジョン・アンドレッティが最初で、その後にもロビー・ゴードンやトニー・スチュアート、カート・ブッシュらによってチャレンジがなされてきた。
“ザ・ダブル”挑戦のドライバーたちのインディ500でのベストリザルトは1999年にロビー・ゴードンか記録した4位だ。
■マクラーレンの実力と万全の準備で期待されるインディ500デビュー
今回ラーソンがエントリーするのはアロウ・マクラーレンからで、エンジンはシボレーを使用する。ラーソンはNASCARシリーズでもシボレー・ドライバー。今回の“ザ・ダブル挑戦”はシボレーからの強いプッシュも存在する。
また、ラーソンの乗るマシンは、マクラーレンではなく彼をNASCARで走らせているリック・ヘンドリックがオーナーとなるという。ストックカーチャンピオンのインディ挑戦は、マクラーレンとヘンドリック・モータースポーツによる共同プロジェクトだが、ヘンドリックの将来的なインディカー進出への足がかりとなるのかもしれない。
2024年のラーソン出場は、メイン・スポンサーをヘンドリック・カーズ・ドット・コムが務める。リック・ヘンドリックは自動車販売業界で成功し、レースの世界へ進出してきたビジネスマンなのだ。彼は現在でも米国車だけでなく、欧州車から日本車までの車両を販売するディーラーを合計100軒以上も経営している。
レースでのオペレーションはマクラーレンが担当する。今年のインディ500でのマクラーレンのパフォーマンスを振り返ると、4人をエントリーさせた彼らの予選順位はフェリックス・ローゼンクイストが3番手、パト・オワードが5番手、アレクサンダー・ロッシが7番手、トニー・カナーンが9番手と全員がトップ10入り。
オーバルレースではマシンの仕上がりレベルが低くては話にならない。マクラーレンのマシンが来年も今年と同じレベルのパフォーマンスを発揮するなら、ラーソンはインディ500デビュー戦から上位に食い込むだけの走りを見せることが可能だろう。
アロウ・マクラーレンのレギュラードライバー3人のチームメイトたちの情報や知識を活用でき、アドバイスも受けられる点はとても大きなプラスだ。さらに、インディ500優勝経験と、インディカー通算17勝、タイトル獲得1回のトニー・カナーンがラーソンのコーチとして着くことになっている。
シボレーからの強力なバックアップを受け、マクラーレンもラーソンを走らせることを大歓迎。彼らが1年半も前に挑戦の発表を行ったのは、入念な準備を行うためでもあった。彼らはその計画の通り、すでにラーソンにシミュレーター使用を始めさせている。
そして、インディアナポリス・モータースピードウェイでのルーキーテストも10月に開催してもらえることとなった。これは昨年までインディカーに出場していたジミー・ジョンソンに対しても行われた厚遇で、ラーソンにも適応される。
インディ500本番の半年以上前に実際に走らせてもらえることは、彼にとって大きな助けになるだろう。この準備と体制なら、直近で2014年に元NASCARチャンピオンとしてインディ500に参戦したカート・ブッシュの予選12番手/決勝6位を上回る可能性は十分にある。
「この挑戦がどんな結果で終わろうとも、自分は来年のインディ500を戦い終えた時、それ以前よりも優れたレーシングドライバーになることができているだろう。いや、すでにシミュレーターでインディーカーを短時間走らせただけで、僕はもうそれ以前よりも良いドライバーになれている」とラーソンは語っている。
マクラーレンは1974年にインディ500での優勝を果たしている。2020年にシュミット・ピーターソン・モータースポーツとジョイントしてからのマクラーレンは、これまでにインディカーシリーズでは4勝を挙げているものの、インディ500ではオワードによる2022年の2位フィニッシュがベストリザルトでいまだ勝利はない。
インディカーでの経験がないラーソンが初出場でいきなり優勝するとは考えにくいが、トップグループで戦い、上位でフィニッシュすることは十分に可能なパッケージだと言える。来年のインディ500はストックカーファンの間でもおおいに注目されること必至だ。
ストックカーチャンピオンの出場がなくても十分にコンペティティブでエキサイティングなのがインディ500だが、ダートオーバル出身のアメリカ人ドライバーによるチャレンジが第108回インディ500をより一層盛り上げる要素となることは間違いない。
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