市場が活性化すれば、自動車メーカーも力を入れ、お客さんも集まり好循環が生まれる。コンパクトSUVは、まさにそんな状況。だからきっと、「どれもいい!」と言えるクルマばかりだろう。そこで、ここでは一台一台の個性と殊勝に向き合いながら、“良いところ”を真っ直ぐ考察してみた。
GLAとTロック、ベクトルは違えど日常的
まいったなー、だ。世界中のメーカーが最も力を入れるカテゴリー、ほぼメインストリームといえるCセグメント、さらに最新モデル、ということで集められた4台。個人的には未試乗のモデルばかりだったが、走らせる前からぼんやり予想していた通りの結末だった。悪いわけないじゃん……。
今、このクラスのSUVは、押し並べて出来映えがいい。普通に考えたら、いわゆる乗用車としての総合力にケチをつけるのは難しい。チープな価格帯でもないのに、ストンと納得できちゃうことだって多い。クルマのキャラクターが好みに合うというだけで選んでも、まず後悔することはないだろう。好き嫌いならともかく、明確な比較テーマなしに順位づけしろというのはかなり酷。これはきっとそういう企画。
ともあれ、最も気軽につき合っていけそうに感じられたのは、フォルクスワーゲンのTロックだった。価格が今回の中で唯一の400万円台ということも無視できないし、ブランドとしてのイメージももちろんあるけど、他の3車と較べて半周りほど車体がコンパクトなところが大きい。それにCピラーが大きく傾斜したクーペ風のスタイリングから香るカジュアルなセンスが、気持ちを柔らかくしてくれる。それはこのクルマの最大の魅力といっていいだろう。けれど中身はいい意味でマジメなヤツ。嫌味のない優等生、といった印象だ。
2Lのディーゼルターボの出足にトルクが出しゃばった感じはなく、回していけばほどほどにスポーティで、いかなるときにも過不足のようなものを感じない。何かを意識することなく気楽でいられるのがいい。カーブが続くような場所でも素直に曲がるし、姿勢は安定していて、ドラマティックではないけど、気持ちはそこはかとなく爽やかだ。40扁平のタイヤはちょっとやり過ぎだとは思うけど、乗り心地もまあ快適な部類。全体的に尖ったところはないのに、クルマから降りたときに“何だかいいなコレ”という気持ちがちゃんと残る。乗り味に不思議な個性のあるクルマ、といっていいかも知れない。このクルマと暮らす自分の日常、というのを今回唯一具体的に想像したのは、実はこのTロックだった。
最もまとまりのよさとコスパの高さを感じたのは、メルセデスのGLAだった。ディーゼルターボであることをあまり意識させない、スムーズに回って静かで振動も少ないパワーユニット。全体的に良好なたっぷり感のある乗り心地。上品なステアリングフィールとともに切り込んだだけ自然に曲がってくれるハンドリング。無意識に安心感を得られるガッチリした骨格。そうしたクルマとしての基本の部分がひとつひとつ高水準で、それらが上手にバランスしてる感じだ。
そのうえ502万円という価格には、ドライブモードの切り替えでトルク配分の比率が変わり、オフロード用のモードも備わる4WDシステム、世界でもトップランクに位置する優れたADAS、付き合い方が解ってくると使い勝手のいい音声認識システムなどが含まれている。一緒にいる時間はずっと、心の片隅で“いいモノ感”のようなものを感じていられた。そういう意味ではとてもメルセデスらしいクルマだと思う。
逆にまろやかな曲面で構成されるフォルムは威厳や格式とは別のモノで、スリーポインテッドスターがあるから一発でそれと判るものの、メルセデスらしさには欠けるともいえる。それを親しみやすくていいと感じるか、メルセデスの威光が欲しいのにと感じるか。親しみやすさに価値を感じた人には、想像以上の幸せな日常が待ってるのでは? と僕は思う。
Q3とXC40は“いいもの感”が漂う
最も走ってるときのシャッキリ感が強くて気持ちよかったのが、アウディのQ3スポーツバックだった。試乗車はガソリンの1.5Lターボを積み、スポーツサスペンションが組まれた35TFSI Sライン。まずはそのエンジンの印象がよかった。レスポンスがよくて爽快なうえ、どこから加速してもしっかりトルクがついてくるから、スポーティで扱いやすい。1.5トンを越えるクルマをターボ付きとはいえ1.5Lで全く不満なく加速させる時代が来たんだな、とあらためて痛感させるぐらいのスピードもある。それにシャシーだ。車体がガッチリしてるおかげで不快感はないが、足周りは硬め。けれど、だから可能になった足腰のキレのよさがキラリと光る。
ステアリングを操作するとヒラリと俊敏に向きを変え、シュパッと気持ちよくコーナーを駆けぬけていくことができるのだ。近頃のSUVはちゃんと曲がってくれるのも当たり前。でも、“ちゃんと曲がる”と“気持ちよく曲がる”がイコールじゃない。このクルマは文句なしに気持ちいい。どうしてもクワトロ完備のモデルの方に目が向いちゃうけど、前輪駆動でもこのテイストにまとめ上げちゃうあたりが、素晴らしくアウディらしい。このスポーティなフィールが、とりわけリア方面から眺めると美しく感じられる特有のクーペスタイルに見事にマッチしてるように感じられる。前輪駆動で516万円というのは安くないけど、価値はあると思う。
最も完成度の高さに唸らされたのは、ボルボXC40だった。通常のモデルは2018年だから最新とはいえないが、最近になって全てに電気モーターが搭載された。今回の試乗車は48Vマイルドハイブリッドシステムを備えるB5。250psと350Nmのガソリンエンジンを13.6psと40NmのISGMモーターがアシストする。縁の下の力持ちのようなそのシステムが、予想以上に効いている。
エンジンの始動・再始動は静かでショックもなし。アクセルを踏んだ瞬間にモーターが反応するから、加速は立ち上がりが極めて素早く気持ちいい。そこからパワーが伸びていく。なかなか楽しい気分になる。B5と呼ばれる仕様はスポーツサスペンションを持つRデザインのみなのだけど、熟成が進んだのか乗り心地の快適さは増し、軽快なハンドリングとコーナーを素早く駆けぬけられる性格はそのまま。589万円と他の3車よりだいぶ高価だけど、まぁ然り、だ。
さて、どれが一番か。……えっ? 順位づけしなくていいの? 先に言ってよー。苦悩しちゃったじゃん。でもこのクラス、本当に1台を選ぶのに難儀する状況なのだよね。幸せと言えば幸せなのだけど。
【Another Choice】CITROËN C5 AIRCROSS SUV/シトロエンC5エアクロスSUV
個性的なスタイリングより実は乗り心地に注目!
最新とはいえないけど、このクラスで最も乗り心地が快適なC5エアクロスはベストチョイスのひとつ。魔法の絨毯を連想させる気持ちのいい乗り心地は唯一無二。ロングを走る人には、これ以上のSUVはないんじゃないかと思うほどだ。
【Specification】Mercedes-Benz GLA200d 4MATIC
居住スペースが拡大しプレミアム性も高まった
現在、国内に導入されるモデルは200d 4マチックのモノグレード。従来型よりも全体的に拡大し、居住スペースやラゲッジスペース(425~1420L)は広々としたが、一般的な立体駐車場(1550mm)に入る大きさを超越してしまった。
■全長×全幅×全高=4415×1835×1620mm
■ホイールベース=2730mm
■車両重量=1750kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1949cc
■最高出力=150ps(110kW)/3400-4400rpm
■最大トルク=320Nm(32.6kg-m)/1400-3200rpm
■トランスミッション=8速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=235/55R18
■車両本体価格(税込)=5,020,000円
お問い合わせ
メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610
【Specification】AUDI Q3 SPORTBACK 35 TFSI S LINE
中身の先進性は4台の中では一番
高解像度10.1インチカラーディスプレイを備えるMMIナビゲーションやメーターパネル内の10.25インチの高解像度液晶ディスプレイなど、最新の先進技術を搭載。 TFSIエンジンは、シリンダーオンデマンド効率システムを採用する。
■全長×全幅×全高=4520×1840×1565mm
■ホイールベース=2680mm
■車両重量=1530kg■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1497cc
■最高出力=150ps(110kW)/5000-6000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/1500-3500rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:ウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=235/50R19:235/50R19
■車両本体価格(税込)=5,160,000円
お問い合わせ
アウディジャパン 0120-598-106
【Specification】VOLKSWAGEN T-ROC TDI R-LINE
日常域で快適な2Lディーゼルを搭載
2L・TDIと7速DSGを組み合わせた前輪駆動のモノグレード。可変ダンパーのアダプティブ・シャシー・コントロールは試乗車のRラインのみ標準装着。水平基調のインパネには8インチの「Active Info Display」が全車標準装備される。
■全長×全幅×全高=4240×1825×1590mm
■ホイールベース= 2590mm
■車両重量=1430kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1968cc
■最高出力=150ps(110kW)/3500-4000rpm
■最大トルク=340Nm(34.7kg-m)/1750-3000rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=225/40R19:225/40R19
■車両本体価格(税込)=4,539,000円
お問い合わせ
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン 0120-993-199
【Specification】VOLVO XC40 B5 AWD R-DESIGN
パフォーマンスとインテリアから上質さが漂う
CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を採用するXC40は今後、PHV、マイルドハイブリッド、EVの対応車種となり、ボルボの電動化戦略では最重要モデルとなる。インテリアの設えは、デフォルトのXC40と変わらない。
■全長×全幅×全高=4425×1875×1660mm
■ホイールベース=2700mm
■車両重量=1750kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1968cc
■最高出力=250ps(184kW)/5400-5700rpm
■最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/1800-4800rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=ディスク:ディスク
■タイヤサイズ=235/50R19:235/50R19
■車両本体価格(税込)=5,890,000円
お問い合わせ
ボルボ・カー・ジャパン 0120-922-662
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