スペイン・バルセロナのカタルニア・サーキットで開催されるF1スペインGPから、マクラーレンは今季マシンMCL38にアップデートを投入すると予告した。
昨年、チームのテクニカルディレクターであるジェームス・キーが退団するなどチームのマネジメント陣が刷新され、シーズン最悪のスタートを切ったマクラーレンだったが、MCL60に対するシーズン中盤での大型アップデートを通じて大躍進。カタールGPスプリントではオスカー・ピアストリが勝利を収めるなど、シーズン後半はレッドブルを脅かす存在として頭角を現した。
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マクラーレンはその勢いを今季に引き継ぎ、ランド・ノリスはマイアミGPで待望のF1初優勝を挙げ、エミリア・ロマーニャGPやカナダGPでもレッドブルのマックス・フェルスタッペンと勝利を争った。またモナコGPでは、フェラーリのシャルル・ルクレールに続いてピアストリが2位に入った。
またノリスはカナダGPで、1回目のセーフティカーが出動するまではレースをリードしていたが、結果は2位。レース後半にはアップデートを投入したメルセデスのジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンよりもペース面で劣っていた。
今季は序盤こそレッドブルが直近2年のような圧倒的な強さを見せたものの、サーキットとマシンの相性やコンディションによっては、マクラーレンやフェラーリ、そしてメルセデスも絡み激しい優勝争いが繰り広げられているというのは確かだ。
ここ1年のチーム状況を考えると、2位に失望したのは良い兆候なのかとmotorsport.comがチーム代表のアンドレア・ステラに尋ねると、彼は次のように答えた。
「勝利の可能性があったにも関わらず、このような小さな失望があるのは、チームが長い道のりを歩んできた証だ。今では表彰台争いの常連であり、時に優勝候補ですらある」
「同時に、ポジティブな面もたくさんある。確かに、コースやコンディションなど様々な変化があったにも関わらず、チームは一貫して競争力を維持してきた。それは決して、当たり前のことではない」
「これまでそうだったからといって、保証が得られるわけではない。レース週末では毎回、アドバンテージを得ようとする必要があるのだ」
「最終的には、マシンをもう少し速くして、コース上のコンディションやコース特性に左右されずに優勝を狙える状態にするのが理想的なんだ。ドライコンディションでは、メルセデスの方が速かったからね」
「我々はまだ、パフォーマンスで明白に優勝を勝ち取ることができる状態ではない」
そしてステラ代表は、マクラーレンが一歩踏み出すべく、スペインGP以降にアップデートを投入すると明かした。
「これからのレースでは、いくつかのアップデートを行なう予定だが、ここ1年で見られたような1回の大型アップデートのようなモノにはならない」
「これは個々のコンポーネントのパフォーマンスを少し向上させるモノで、準備が整ってから一気に全てを投入するのではなく、準備が整い次第サーキットに持ち込むつもりだ」
「だから、何がどうとは言わないが、これからのレースで新しいモノがいくつか出てくるだろう」
マクラーレンは2021年のイタリアGPでダニエル・リカルドが優勝した以外では、なかなか中団グループから抜け出せずにいた。ホンダ製パワーユニット(PU)時代の苦難、ルノーPU時代のわずかな改善、そしてメルセデスPU時代はこれまで時折の表彰台獲得に甘んじてきた。
現在のチーム内の雰囲気を訊かれたステラ代表は次のように語った。
「チーム内での自信が高まっているかって? まあ、自信は高まるけど、その自信だけでは大したことない」
「最終的には、その自信が新しいパーツの設計に役立つ必要がある。どちらかと言えば、自信があるからこそ、活力があるからこそ、さらに頑張ることができる」
「だから自信は、モチベーションを高める以上の要素なんだ。しかし結局は、我々が設計するパーツの品質、オペレーションの堅実さ、ドライビングの一貫性など、質の高い仕事をすれば競争力を保つことができる」
「自信という要素は、これらの成功要因を支えるために必要なエネルギーを得るのに役立つ。正直なところ、特にピットストップのクルーやドライバーのことを考えれば、自信に満ちた空間にいるアスリートは皆、より良いパフォーマンスを発揮する」
「しかし私が言うように、自信ではなく、良い仕事に重きを置く必要がある。マクラーレンではそのような考え方を持ち続ける必要がある」
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