昔はローンに対してマイナスイメージがあった
日本における新車購入では、もともと現金一括払いが圧倒的に多かった。60年代から70年代にかけてモータリゼーションなどと呼ばれた時代には、ローンは月賦払いなどとも呼ばれ、お金もないのに無理して新車を買ったといった、世間的ではあまり良いイメージが持たれないことも多かったようだ。
新車ディーラーでは、提携信販会社のローンを商談時にあっ旋するディーラーローンを用意し、購入する新車の所有権を留保するなどして、借りやすくしている。だが、以前は金利が15%前後も当たり前となっていたので、利用する人はかなり限られていた。
アメリカでのオートローンは、日本の金融機関のように、融資の申請を受け、その後の審査で個々人により金利に差が出たり、希望車を購入するのに十分ではない融資額になることや、返済中に金利が変動するものとなっている。日本のディーラーローンでは、金利は固定となり、融資額についても審査さえ通れば(たいていは通る)希望融資額はそのままOKとなるので、借りやすい以外はメリットが薄かったのである。
バブルのころはディーラーとのやり取りは現金一括払いとなるが、ディーラーローンより低金利となる金融機関のマイカーローンで借りたり、勤務先の社員向け貸付制度を利用し現金を用意する人も目立った。
そのうち90年代後半に残価設定ローンというものが登場する。もともとは輸入車ディーラーが積極的に採り入れ始めたものであり、当時はリース型ローンとも呼ばれていたもの。当時、自動車先進国のアメリカでは個人所有であってもリースで乗るひとが目立っていた。しかし、当時の日本では法人向けではカーリースの利用が目立っていたが、それでもなかにはリースを嫌い、コピー機などのOA用品も含め買い取りにするところもまだまだ多かった。
そのなかで、個人レベルではローンすら利用に抵抗を示す人も多いなか、いきなりリースで新車に乗ろう(審査も厳しいのである)というわけにもいかなかった。そこで、3年後や5年後の当該車種の残価相当額を支払最終回に据え置き、残りの元金を月々払うことで支払い負担を軽減する、まさにリースに近いローンとして、残価設定ローンが登場した。
残価設定ローンでは、残価相当額として据え置いた支払最終回分の精算については、現金以外に当該車両の返却、同じメーカー車への乗り換え、再ローンを組んで乗り続けるなど、いくつかの選択肢が用意された。車両返却や同一メーカー車への乗り換えをすれば、残価相当額となる支払最終回分を現金で相殺する必要はない。つまり、残価相当額分は新車購入費用から浮くことになり、別の買い物や次の新車の購入予算などにまわすことができるのである。また、ユーザーを囲い込みためのツールとしての色合いも目立つので、金利も通常払いローンに比べると低い設定となっているのも特徴である。
その金利については、トヨタ系や日産系では4.5%前後とやや高めとなるが、そのほかのメーカーでは、3.5%前後であったり、期間や車種を限定し、さらに低金利なプランが用意されたりしている。本稿執筆時点では4月末に正式は発売となった新型ホンダ・ヴェゼルが1.9%の低金利キャンペーンを展開している。トヨタは金利が高めとなるが、その分フルローン(法定費用や販売諸費用も含む支払総額全額)が組め、金利が低めの他メーカー系残価設定ローンの場合はフルローンが組めないケースが多い。
どの買い方が得なのかはユーザー次第
ウェブサイトに掲載されている、ホンダ・フィットでの試算をみると、対象グレードをe:HEV HOME(FF/206.8万円)とし、頭金30万円を入れ、値引きと下取り車がないこととして、金利3.5%で60回均等払いとすると、月々の支払い(2回目以降)が2万8500円、残価相当額として据え置く支払い最終回は62万400円(残価相当額÷メーカー希望小売価格=残価率の目安は約30%)となっている。
ローンには当然ながら金利が発生するので、金利がかかることそのものに否定的ならばそれまでとなるが、支払い最終回を当該車両の返却や同一メーカーの新車への乗り換えで相殺すれば、前述したフィットの例では62万400円が浮くこととなり、金利を差し引いても50万円弱をセーブすることができるのである。
ただ、良いことばかりではない。残価設定ローンの利用に際しては、月間走行距離が決められており、これを超えたり、精算時のチェックにおいて内外装の傷や汚れによる減点が一定以上になると、追加の支払いが発生してしまう。ただ、販売現場では「客商売なので厳密に追加を請求できない」との話もある。
また、支払途中で事故を起こしてしまえば、そのダメージ分は車両価値が下がるので当然ながら追加払いが発生する。また全損ともなれば、所有権を持つ信販会社などの判断にもよるが、車両は解体業者へ持ち込み廃車できても抹消手続きができず、ナンバープレートを眺めながら支払いを続けることも実際発生している。車両保険に加入していないと、いざというときに身動きが取れなくなることも注意してもらいたい。
いまは60回払いぐらいが最長となっている。それは短いサイクルでの新車への乗り換えを勧めるためのものであり、もともと10年以上乗り続けるといったひとや、遠隔地へクルマで頻繁に出かけ、走行距離が平気で20万kmぐらいになってしまうひとには当然不向きなものとなっている。残価設定ローン以外に通常ローンをディーラーでは用意しているが、金利がかなり高めとなるので、金融機関のマイカーローンの利用を検討することもおすすめする。
金利が発生しない現金一括払いは、ローンのように金利も発生しないので買い得感は高い。しかし、いまどきは軽自動車でも支払総額で250万円になるモデルも珍しくなく、自然な流れとして新車購入資金を貯めるのに時間がかかるので、乗り換えサイクルが長期化してしまう。当然下取り車も査定額がつくかつかないかといったレベルとなるので、支払い総額の大半を現金で用意しなければならず、相当な期間と労力を要してしまう。
販売現場では、現金一括払い派をローンに取り込もうと、全2回払いローンなども用意して、いまでは現金一括払い派から好評を得ている。
どのようなものかといえば、たとえば3年払いで割賦元金400万円にて全2回ローンを組んだとする。このローンは残価設定タイプとなるので、3年後の2回目(最終回)の支払い分として、当該車の残価相当額を設定し、1回目では元金の残りと割賦手数料分を支払うというもの。2回目の精算は現金以外に、当該車の返却、同一メーカー車への乗り換えで精算することも可能なので、現金払いでの当初予算の半分近くを支払に回す必要がなくなる。そのためほかの買い物や、次の新車の購入予算、このローンを組む車両でグレードアップやオプションを増やすことなどが可能となるのである。
また、新車販売を行うディーラーでトヨタが用意したのが、個人向けカーリースのKINTOとなる。若者のクルマ離れを助長するひとつとして、高額な任意保険料がある。KINTOの場合は、月々のリース料金以外は、ガソリン代と駐車場代ぐらいがかかるだけとなり、「若者では、新車を購入するよりは明らかにKINTOを利用したほうが買い得」(現役セールスマン)とのこと。
一般的なカーリースでは契約途中での解約には解約金が必要となるが、KINTOでは個人契約においては、海外転勤時、免許証の自主返納時、当該車両の使用名義人が亡くなった際は解約金が発生しないというのも魅力のひとつ。そのため「若者というよりは、高齢のお客さまに利用を勧めるケースが多い」(前出セールスマン)との話も聞く。
あまり縁起のいい話ではないが、クルマの所有名義人が死亡したあとに当該車両を処分するのには相続手続きが必要となる。昔ほどではないものの、煩雑な作業が必要となるので、その点で解約金もかからないKINTOでクルマに乗っておくというのも、終活としての選択肢のひとつとなるのである。
ローン、現金一括、個人向けリースなどなど、クルマの乗り方にはいくつか選択があるが、どれが一番得かと決めるのは難しい。それは個々人で新車購入における買い得ポイントというものが異なるからである。ただ、トレンドとしては残価設定ローンがだいぶ使いやすくなってきており、金利も低いので利用が増えている。新型コロナウイルス感染拡大が起き、手元にできるだけまとまった現金を置いておきたいというニーズもローンの利用を増やしているようである。
値引き商談でも、「月々の払いが3万円になればいいよ」というだけで、セールスマンが希望条件に合わせてくれたり、限りなく近づけてくれるので効率的な商談ができるのも魅力。売る側も値引き調整などがしやすいので、「ローンを利用してもらったほうが商談は進めやすい」との話を多く聞く。
なお現金の場合は、セールスマンの持ち逃げや、資金洗浄を防ぐなどといった、セキュリティ面などもあり、ディーラー指定口座への振り込み扱いにすることが一般的となっている。
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みんなのコメント
いつもニコニコ現金払い
今の車を買ったとき担当の若い兄ちゃんに現金で買ってもらったお客さん初めて担当しましたと言われた
これ緊張しますねと言いながら500万円近い札束を数えてたことがあっった