言わずと知れた2003年のWRC世界ラリー選手権チャンピオンであり、同じくWorldRX世界ラリークロス選手権でもタイトル獲得経験を持つペター・ソルベルグが、来月6月13日から15日にかけて開催されるERCヨーロッパ・ラリー選手権第3戦『バウハウス・ロイヤル・ラリー・オブ・スカンジナビア』に電撃参戦することが決定。49歳のレジェンドが、昨季愛息オリバーがドライブして同イベント制覇を飾ったフォルクスワーゲン・ポロGTI R5をドライブして競技復帰を果たす。
雪と氷に閉ざされたWRCの名物イベントとは異なり、おなじみスウェーデンのカールスタッドにて昨季ERC初開催となった初夏のイベントは、かつて“1000湖ラリー”と呼ばれた湖畔の爽やかな木立を全開で駆け抜ける高速グラベルロードが舞台となる。
ブノワ・トレルイエの新チームから参戦するヨアン・ボナートが高速ターマック戦を連覇/ERC第2戦
昨年もこのラリーでレジェンド部門に出場し、有名なコリンズ・クレストやアリーナ・セクションなど複数のステージを経験したペターは、自身約26年ぶりとなるERCコンペティターとして2024年の同大会に出場する意思を固めた。
「何故って……クルマに呼ばれたんだ。ワークショップで作業をするたびにクルマの方から『俺を使ってくれ』って言われた。それを無視することはできなかったね(笑)」と明かしたペター。
「ご存知のとおり、僕も僕の家族にとってもラリーこそが人生のすべてだ。昨年は母をシトロエンC4 WRCに乗せていくつかのステージを走った。そのことも最高の経験だったし、オリバーがとても楽しんでラリーに勝ったのも本当に良かったね」
「そういう楽しみを少しでも味わいたいんだ。ラリーは僕らにとって本当に身近で、近所にはたくさんの友人、家族がいる。そしてもちろん、モンスターエナジー、ピレリ、カストロールも一緒に戦ってくれる。僕らはポロを手に取り、一緒にラリーに参戦するんだ」
■あくまで“楽しむこと”を強調するソルベルグ「できる限りのことをしたい」
ただし国際的な競技の一線から退いて時間が経過しているペター自身も、競技復帰とはいえ優勝戦線に挑むことは考えておらず、あくまで「これは楽しむためのものだ」と強調した。
「優先事項は、史上初のR5規定ポロ第一号であるシャシーNo.1のクルマをドライブし、みんなの笑顔を作り、ノルウェーから来るラリーファンや世界中でERCを見ている人々に何かを与えることさ。昨年、僕らは主催者がこのイベントを盛り上げられるよう(家族総出で)全力を尽くしたが、今回も同様だ。いつものように僕らは結束をさらに高めるべく、できる限りのことをしたいと思っている」と続けたペター。
「だから勝つためにそこに行くわけじゃない。それはショーのためであり、ドライビングを楽しむためだ。ERCには非常に速いドライバーがたくさんいることはわかっているし、現在のERCはとんでもない競争の場だ。それはもう大変だろうね」
現役時代はフィル・ミルズやクリス・パターソンら、イギリス出身のコドライバーと長く組んできたペターだが、今回のERC参戦に際しては地元スウェーデン出身のヨナス・アンデションを起用する。
「最後にラリーGBに参加してから5年になるが(WRC2優勝、総合10位)、それ以来本当に何もしていないんだ。チャンピオンシップでのスピードは信じられないほどのもので、簡単にスイッチを入れることはできないよ。でもヨナスと組めるのは素晴らしいことだ」と改めて意気込みを語ったペター。
「僕らは近くに住んでいるんだけど、これまで一緒に競争したことはなかった。本当に楽しみだし、クルマに戻ってくるのは特別なことさ。カルロス(・サインツ)を見るといい。彼がダカールで優勝し、今やっていることが信じられないほどだ。彼は1999年のチームメイトで、僕のキャリアのなかでも大きな存在感を持つ特別な人物であり、今でもインスピレーションのような存在だ。とても興奮しているし、カムバックが始まっていると彼らにも伝えてくれ!」
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