ブレーキペダルをチェーンで引っ張るシステム。本国では50台に装着実績あり
東京ビッグサイトで開催されている第12回オートモーティブワールドは自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など6つの技術展が集まった世界最大級の展示会。その中に含まれる「自動運転EXPO」の会場で非常に興味深い新製品を見つけました。
それが「AXON 4.0 AEB」。韓国のメーカーが2017年に発売したという後付けできるAEB(衝突被害軽減ブレーキ)の日本上陸です。後付けできる先進安全装置についてのニーズは上昇中ですが、これまではペダル踏み間違いが中心で、先行車両を検知できるものでも注意喚起にとどまるものが中心でした。この「AXON 4.0 AEB」は衝突の警告だけでなく実際にブレーキまで作動させることができるということで注目のアイテムといえます。
その構造は本格的で、前方を監視するのは単眼カメラと77GHzミリ波レーダーのデュアルセンサー。その情報を専用MPUで処理、衝突の危険性を検知すると最初はワーニングを出し、その後ブレーキをちょっとかけて操作を促し、最終的には停止できるブレーキをかけるというものです。デュアルセンサーですから車両だけでなく歩行者の検知も可能となっているのは後付けユニットとしては、かなり高性能なタイプといえます。
では、ブレーキはどのようにして作動させているのでしょうか。なんとアクチュエータとブレーキペダルをチェーンでつなぎ、物理的にペダルを引っ張ることでブレーキをかけているのです。AEBに必要な力を発揮させるため、大きめのアクチュエータとなっていますので、その見た目から「チカラ技」感もありますが、たしかにこの方法であれば年式を問わず、どんなクルマにも後付け可能。旧車を大事に乗り続けたいが、年齢からAEBを装着しておかないと心配だ、というオーナーのニーズに応える商品といえます。
その構造から、ドライバーの足とアクチュエータの干渉など気になるところもありますが、本国ではバスなど50台に装着実績があり、現在までそうした点に関するトラブルやクレームはないといいます。また、大型車だけでなく通常の乗用車にも装着可能ということで、日本の総代理店であるシルバーアイ社では乗用車に取り付けたデモカーの製作を進めているといいます。
また、デュアルセンサーを利用してAEB以外にも50km/h以上で作動する車線逸脱警報システムや一時停止や進入禁止を知らせる交通標識認識などのADAS(先進運転支援システム)機能も搭載しています。また、ドライブレコーダー機能も有しているといいます。
後付けの安全装備については国土交通省に認められる必要があり、まだ日本国内での市販には至っていないという「AXON 4.0 AEB」。AEBやADASが普及する過渡期の製品という見方もできますが、前述したように大事な旧車を現代的な安全性能にアップデートするためのアイテムとして、その販売に期待したいというオーナーも少なくないでしょう。
国内販売開始に向けて、その動向を注視していきたいアイテムといえそうです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
アクチュエータとブレーキペダルをチェーンでつなぎ、物理的にペダルを引っ張る
自動緊急ブレーキシステムが韓国から上陸
評価が、この程度と言う事ですね。