全8戦で争われる世界耐久選手権(WEC)も残りは2戦。今週末に行なわれる第7戦富士はタイトル争いにおいても重要な一戦となる。
何と言っても、トヨタにとってはホームレース。7号車のマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組がタイトル争いを演じている(コンウェイはル・マン欠場のため権利なし)だけに、ここで勝利し、ランキング首位のポルシェ6号車(ケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ヴァントール)との12ポイント差を縮めておきたいところだ。
■いざ母国・日本戦へ。トヨタ、WEC富士に向け意気込み語る。小林可夢偉「ここでは10戦9勝。その記録を更新することが目標」
前戦オースティンでは、7号車は素晴らしいレースペースを発揮し、後半に首位を走行。勝利を目前としていたが、黄旗無視のドライブスルーペナルティを受けて2位に終わった。
発表された富士戦の性能調整では、オースティンから車両重量が5kg増の1070kgとなっている上、最高出力(時速250km以下)は4kW少ない493kWに定められている。一方で、時速250km以上の速度域での出力が調整されるパワーゲインの項目は4.6%から5.4%へと増加している。
前述のように、ランキング首位に立っているのはポルシェ6号車。優勝は開幕戦以来できていないものの、他の3戦で2位に入り、ル・マン24時間レースで4位となるなど安定した成績を残している。
そんなポルシェのLMDh車両である963は、富士で4kgの軽量化を受け最低重量が1049kgに。最高出力は3kW増の512kWとなっている。一方で、パワーゲインは前戦比マイナス0.5%の調整となっている。
タイトルコンテンダーはトヨタ7号車、ポルシェ6号車だけではない。ル・マン24時間レースを制したフェラーリ50号車(アントニオ・フオコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)だ。この3人はトヨタ7号車のふたりと同ポイントで並んでいるのだ。
前戦オースティンでも、カスタマーの83号車も加えて一時トップ3を独占する速さを見せたフェラーリ499Pは、あまり性能調整を受けずに富士でのレースに臨む。重量1055kg、最高出力500kWはオースティンと変更なしだ。唯一変更されているのはパワーゲインで、前戦からマイナス0.6%の1.3%となっている。
シーズンを通して、予選を中心に速さを発揮してきたフェラーリ499Pと、レースで強さを発揮してきたポルシェ963という強敵を相手にするトヨタは、富士を得意としており、これまでの10戦中9勝という非常に良い成績を残している。まさに三つ巴の戦いがみられそうだ。
マニュファクチャラーズ選手権の争いもこの3メーカーが接近しており、現在首位はトヨタ。とはいえ11ポイント差でポルシェがそれを追っており、さらにそこから8ポイント差でフェラーリが3番手。こちらも熾烈な戦いとなりそうだ。
昨年のWEC富士では、なかなかオーバーテイクができない状況もみられたが、今季から性能調整の項目に加わったパワーゲインで変化が起きるだろうか。
調整内容からすると、高速域で5.4%の出力アップとなるトヨタが、他のマシンについていくことができれば、ストレートエンドでオーバーテイクしやすくなっている可能性は考えられる。
この3台の他、最も大きな調整を受けているのがプジョー9X8。重量が7kg軽量化さら1030kg、出力はプラス4kWの513kWとなっている。一方でパワーゲインはマイナス0.7%され、マイナス1.9%とされている。
またLMGT3クラスのことも忘れてはいけない。18台が走るこのクラスには、小泉洋史、木村武史、佐藤万璃音の日本人ドライバー3名が走っている上、スーパーGTやスーパー耐久で日本のファンにもお馴染みの、Dステーション・レーシングも戦っている。
タイトル争いの天王山となるWEC富士は、9月13日(金)から走行がスタートする。
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