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【オールインワン・ワゴンの雄】アウディRS4アバントへ試乗 フェイスリフト

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【オールインワン・ワゴンの雄】アウディRS4アバントへ試乗 フェイスリフト

見た目の変更点はわずかでも効果的

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】アウディRS4アバント MC前後 全67枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


モデル中期のフェイスリフトを受けた、アウディRS4アバント。同郷の最新パフォーマンス・エステート、RS6と変わらぬ成功を収めてきた。変更内容はわずかに留まっている。

そもそも常に臨戦態勢にあるレスポンスと、安全性の高いハンドリング、圧倒的なインテリアの質感を備える、秀逸の完成度を得ていた。変更が小さくても、不満は感じないというのが本音。

先日ご紹介した、兄弟モデルのRS5と同様に、4代目アウディRS4にもボディデザインにわずかな変更を受けている。マイナーチェンジ前のクルマと識別できるように。

良くわかるのが、フロントバンパーのエアインテーク周りの形状。シングル・フレームグリルにも手が加えられ、光沢の強いブラックになり、その上部には3本スリットの吸気口が追加された。

ヘッドライトに内蔵されるデイタイム・ランニングライトのデザインも変更。片側6分割となり、従来以上にハイテク感を漂わせている。

リア周りの変更はフロントより小さい。テールライトにはヘッドライトと同様のグラフィックが与えられ、リアバンパーはディフューザーに手が加えられた。

試乗車には、オプションの20インチ・アルミホイールに275/30という扁平タイヤが装備され、筋肉質なボディの見た目は狙ったとおりアグレッシブ。標準では19インチの265/35というサイズになる。

インテリアは、アウディらしく素晴らしいが、それは以前と変わらない。高い品質やデザイン性だけでなく、運転環境としても秀逸。ステーションワゴンでもあり、日常的な利便性で敵うモデルは限られてくる。

2.9L V6ツインターボはキャリーオーバー

4代目のアウディRS4アバントが登場したのは2017年。インテリアの基本的な構成はそのままだが、いくつかの変更が施され、操作性は向上。車内の訴求力も高められている。

一番の違いが、ダッシュボード中央に据えられた、インフォテインメント・システム用の高精細タッチモニター。フェイスリフト前のRS4に付いていた、ロータリー・コントローラーはなくなった。

最新のアウディ製モデルと同様、OSにはMMIタッチ・レスポンスを採用。ジェスチャー・コントロールと音声認識も、新しいものへアップデートされている。

荷室容量は、後席を起こした状態で495Lと不変。分割式の背もたれを倒せば、1495Lにまで広げられることも変わりない。

メカニズムとしては共通するRS5クーペとRS5スポーツバックだが、5ドアのワゴンボディによって、実用性ではRS4アバントの方がはるかに高い。

2.9LのV6ツインターボ・エンジンはキャリーオーバー。最高出力450psで、第3世代のRS4が積んでいた4.2Lの自然吸気V8エンジンと同等。ライバルのメルセデスAMG C63エステートより15ps、アルピナB3ツーリングより12psだけ、低い。

3代目のV8エンジンは自然吸気ということで、回転数に依存していたが、新しいV6エンジンはツインターボの力を借り、低回転域から強力。わずか1900rpmから5000rpmに渡って、61.1kg-mを湧出する。

ドライビング・モードをダイナミックにし、低回転からの極太トルクを利用すれば、0-100km/h加速は4.1秒で終了する。同様に中間加速も鋭い。

アウディRS2以降受け継がれる伝統

排気システムへも細かな改良を受け、エグゾーストノートはフェイスリフト前より聴き応えのあるものになった。ボリュームも大きくなっている。だが、V8 NAを積んでいた3代目並みに、聞き惚れるものではないけれど。

トランスミッションはトルクコンバーター式の8速AT。ステアリングホイールにはパドルシフトが付き、アウディ自慢の四輪駆動システム、クワトロも最新のものへ進化。スポーツ・デフを搭載し、リアタイヤの左右個別に、駆動力を調整できる。

これらが組み合わさり、オンロードでの個性が生み出されている。目的地への移動速度も質感も、目をみはるほどだ。

しかも最新のRS4アバントは、運転が極めて安楽。圧倒的なパフォーマンスを、揺るぎない自信と安心感に包まれながら享受できる。

速度感応式の電動パワーステアリングは、重み付けも良好で、反応も鋭い。伝わる情報量や感触でやや物足りなくても、RS4アバントの進路を確実に定めていける、一体感のある敏捷性にまとめている。

この特性は、1999年にポルシェの手によって誕生したアウディRS2以降受け継がれる、RSシリーズの伝統だといえる。

アダプティブダンパーを含める、ダイナミック・ライドコントロールはオプション。こちらはボディの無駄な傾きを極力抑え込み、抜群の姿勢制御を叶えている。

姿勢制御と動的性能を決定付けているのが、秀抜のグリップ力とトラクション。20インチの275/30という太いタイヤが、凄まじいロードホールディング性を見せつける。

オールインワンと呼べるパッケージング

加えてトルクベクタリング機能が、高速コーナリングをサポート。縦方向のボディの安定性も、新次元と呼べるだろう。

オプションでダイナミック・パッケージを選ぶと、最高速度は280km/hへアップ。アウトバーンを疾走するための力が、すべて解き放たれる。

乗り心地は、想像通りかなり引き締まったもの。それでもコンフォート・モードを選べば、充分なしなやかさと衝撃吸収性が得られる。ツギハギだらけの裏道でもない限り、乗り心地は過酷なものに感じられないはずだ。

スーパーカー級の動力性能を楽しめる、アウディRS4アバント。長距離移動の上質さと、大人5名や大きな荷物も載せられる、オールインワンと呼べるパッケージングを獲得している。あらゆるシーンや気象条件に対応する、並外れた基本性能がその根底を支える。

ダイナミック・モードで数分間の刺激を楽しんだ後、コンフォート・モードで快適な移動空間に長時間浸ることもできる。RS4アバントは、比類ないクルマだといって良い。

2ドアのRS5クーペと、5ドアのスポーツバックという選択肢もなくない。人とは少し違ったスタイルを好む向きには、完璧な兄弟モデルとなるだろう。

だが、RS4アバントの英国価格は6万4625ポンド(872万円)と、その2モデルよりも安価。多機能で多用途なオールインワン・ワゴンが、3台で最も手の届きやすい位置にある。これ以上、求めるものはないように思える。

アウディRS4アバント(欧州仕様)のスペック

価格:6万4625ポンド(872万円)
全長:4781mm
全幅:1866mm
全高:1404mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:10.8km/L
CO2排出量:210g/km
乾燥重量:1745kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/5700-6700rpm
最大トルク:61.1kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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  • 欧州での、日本と同様な装備をつけた場合の売値を知りたいものです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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