歴代のTVRでも際立つ高い信頼性
手作業で組み立てられたTVRのスポーツカーというより、上品なジャガーのように感じられるキミーラ。ゴルフバッグを2つ余裕で積める荷室と、贅沢なレザー内装に騙されてはいけない。走りは侮れない。
【画像】実は信頼性の高いV8 TVRキミーラ グリフィスとサガリス 復活が予告される最新版も 全73枚
同時期に提供されていたグリフィスは、TVRの評価を高めることに繋がった。プレイステーションのゲーム、グランツーリスモに収録された影響も小さくないはず。だが、それ以上に商業的な成功を収めたのはキミーラだった。
販売台数はグリフィスの2倍以上。それまでTVRが視野に入っていなかったドライバーにも、訴求できたモデルだった。
TVRは信頼性が低いという考えも、キミーラには当てはめないで欲しい。ホンダ・フィットのように故障知らずではないが、定期的な点検を怠らなければ安心して長距離ドライブに出かけられる。
現在の英国には約5000台のTVRが走っており、約2000台はキミーラが占めている。生存率の高さが信頼性を裏付けている。
当時のTVRを率いていたピーター・ウィーラー氏の話では、大型犬のジャーマン・ポインターもキミーラのデザインに関わったらしい。「彼はいつも好き勝手走り回っていました。そして、テーブルの上の樹脂製モデルに噛み付いたんです」
その噛み跡がインテリアデザインへ展開したとか、しないとか。
AUTOCARでは、1999年にポルシェ・ボクスターとホンダS2000の3台で比較テストを実施し、操縦性と乗り心地の優秀さを讃えている。新車当時から、素晴らしいスポーツカーとして評価されていたのだ。
ローバー社製のV8エンジンに5速MT
キミーラへ搭載されたのは、ローバー社製のV8エンジン。TVRが設計したユニットより遥かに信頼性が高く、チューニングできる幅も広かった。
1番お手頃だったのが4.0L仕様で、1991年から2003年までの全生産期間で選択可能だった。初期型には284psを発揮する4.3L仕様も用意されていたが、1994年に278psの4.0L高圧縮比仕様へ変更されている。
トランスミッションは、当初はローバーT5と呼ばれる5速マニュアルだったが、1994年からボルグワーナー社製へスイッチ。人気としては前者の方が高いが、信頼性では後者の方が勝る。
ちなみに、ローバーのMTでは1速の隣にリバースがある。他方、ボルグワーナーの方は5速の隣に位置するから、外からでも見分けが付きやすい。
同じ1994年には、パワフルなキミーラ 500が登場した。グリフィス 500と同じ、344psを発揮する5.0L V8エンジンが搭載されていた。有り余る馬力で極めて速く、今でも英国では高い人気を保っている。
1996年にMk2として大きなアップデートが施され、4.0Lの高圧縮比エンジンは289psの4.5L V8へ交代。サスペンションやブレーキに改良が加えられている。
見た目では、フロントグリルやテールライトのデザインが一新。ミラー部分にドアロックが内蔵されるなど、ディティールも異なる。
2001年にはMk3へ進化。2+2モデルのサーブラウと同じヘッドライトとフロントシートを獲得した。生産台数は少なく、キミーラのなかでは特に希少性が高い。
新車時代のAUTOCARの評価は
時代遅れな部分はあるものの、クルマとの密接な感覚が素晴らしい。特別なモデルだという印象も、TVRへ求めるものだ。(1999年5月12日)
オーナーの意見を聞いてみる
ジェームズ・アガー氏:オートスポーツ TVRスペシャリスト
「1998年からTVRキミーラの販売と整備を手掛けてきました。驚くほど実用性は高いですが、しっかりとした手入れが欠かせません。予防的に」
「シャシーに錆が発生していないか確かめ、古いホースやブッシュ類は、早目に交換した方がいいでしょう。クルマの将来性を高め、後で悲しむリスクを減らせます」
「問題を予測的に解決していけば、キミーラとの素晴らしい時間を長期間楽しめます。わたしはフランスのル・マンへ、これまで5回も往復しています。掘り出し物といえる価格のキミーラは、間違いなく何らかのメンテナンスが必要でしょうね」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
キミーラのエンジンは、ほかのモデルより安心できる。ローバーのV型8気筒は耐久性が高く、スペアパーツの入手もしやすい。タイミングチェーン式で交換は16万km毎。オイル交換は1万km前後が推奨となっている。
TVRはアイドリング状態を好まない。初期型では、冷却系に不具合が出ることがある。1994年以降のモデルは対策済みだ。
ボディ
FRP製のボディはサビない。角度で色が変化する玉虫色のような特殊な塗装で仕上げられていると、FRPの修復時に想像以上の費用が求められる場合もあるため、飛び石キズやひび割れには注意したい。
シャシー
飛び石などが原因で、横に張り出したトリガー部分の粉体塗装が剥がれ、深刻に錆びていることがある。一部のTVRオーナーは亜鉛メッキで防いでいる。購入後の衝撃的な事実を避けるため、可能な限り事前に確認しておきたい。
サスペンション
サスペンション・スプリングに破損がないか確かめる。ウイッシュボーンはスチール製で、比較的安価に交換可能。
電気系統
メーターパネルのバックライトなど、すべての電装系が正常に動くか確かめる。ECUとバッテリー、リレーは助手席の足元に搭載されており、整備作業がしにくい。
インテリア
水分が車内にこもると、ダッシュボードのウッドバネルが傷んでしまう。ガレージ保管が理想的だ。
知っておくべきこと
素晴らしい状態が維持されているキミーラも少なくないが、手頃な価格なら、酷い状態だと疑いたい。平均的な状態へ戻すには、少なくない作業が必要になるはず。
英国には、TVRを得意とする専門ガレージも少なくない。現在の中古車市場では、同年代のグリフィスが2万ポンド(約330万円)前後するのに対し、キミーラなら1万ポンド(約165万円)程度から見つかる。お買い得なTVRだといっていい。
キミーラはサスペンション・スプリングが柔らかく、ホイールベースが他のモデルより伸ばされており、穏やかに運転したいと思える性格付けになっている。それでも車重は1060kgと軽く、動力性能に不足はない。
英国ではいくら払うべき?
8000ポンド(約132万円)~1万1999ポンド(約197万円)
走行距離の長い、状態の良くないキミーラが英国では見つかる。より高い値段の方が、安心感も高いことは間違いないだろう。
1万2000ポンド(約198万円)~1万7999ポンド(約296万円)
英国では中古のキミーラの中心となる価格帯。多くが走行距離8万km以上で、5名以上のオーナーを渡ってきている。しっかりメンテナンスを受け、シャシーのアウトリガーが補修されている例も少なくない。
1万8000ポンド(約297万円)以上
走行距離の短い、良好なキミーラを英国では探せる価格帯。
英国で掘り出し物を発見
TVRキミーラ 4.5(英国仕様) 登録:1999年 走行距離:5万1490km 価格:1万9495ポンド(約321万円)
売り手によれば入念な整備が施され、その履歴も揃っていて、状態は良いという。人気の後期モデルで、希少な4.5Lエンジンを載せている。オプションだったレザーインテリアも装備され、中古車のリストで目立つ存在だった。
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