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400万円弱で落札!! バブル期憧れたメルセデス「500E」「190E 2.5」は富の象徴だった

掲載 更新 9
400万円弱で落札!! バブル期憧れたメルセデス「500E」「190E 2.5」は富の象徴だった

■バブル時代を象徴する2台のメルセデス・ベンツ

 1980年代後半から1991年にかけて、日本はバブル景気のまっただ中にあった。

誰もが道を譲った!? バブル時代に憧れた極悪メルセデスとは

 そのころ、一時銀座で仕事をしていた筆者は、お客さんにひと粒5000円というイチゴを食べさせてもらったことがある。念のためにいっておくが、ひと箱ではないです。ひと粒です。正直、美味しかったが、5000円という味だったかどうかは、覚えていない。

 そんな夜の銀座、並木通りに路上駐車していたのは、圧倒的にメルセデス・ベンツが多かった。会社の接待などで銀座にくる人は、黒塗りのハイヤー。個人で遊びにくる人は、メルセデス・ベンツのW124型「300E」、お姉さまがたは「300CE」を路上駐車し、いろいろなお店のポーターさんが、そのクルマをちょこちょこ動かす、などというのが日常風景となっていた。

 一方、客層が若い六本木では、同じメルセデス・ベンツでもW201型、いわゆる「190E」がやたらと走っていた。メルセデス・ベンツとしてはじめて、日本の規制でいうところの5ナンバー枠に収まるクルマだった190Eは、それまでの重厚長大なイメージではない、スポーティさを持ち合わせていた。当時の自動車税は、3ナンバーになると、途端に金額が跳ね上がるというシステムとなっていた。それもあってか、BMWのE30型「3シリーズ」とともに、ドイツ車ブームの牽引役となっていた。

 そのころ、筆者の実家にはW123型、つまり当時の現行モデルであるW124型のひとつ前の型となる、メルセデス・ベンツ「Eクラス」があった。グレードは「300D」。ターボチャージャーなしの、ディーゼルエンジン搭載モデルである。

 このクルマは、凄かった。なにが凄いって、アクセルを踏んでもとにかく前に進まないのだ。ターボチャージャーなしのディーゼルは、トルクはそこそこあるが、回転数はせいぜい4000rpmまで回るかどうか、というもの。高速道路では、ベンツがきたという感じで前のクルマがよけてくれるのだが、アクセルを全開にしてもなかなか加速をせず、黒煙を噴くばかりで結局抜けない、なんていうことがしょっちゅうだった。

●1992 メルセデス・ベンツ「500E」

 そんな状況に飽き飽きしていた筆者は、1991年、W124型「500E」が発売されたとき、父親に買い替えを進言し、ひと言のもとに拒絶されている。

 この500Eというモデルは、W124のボディにR129型「500SL」に搭載されていたM119型、5リッターV型8気筒エンジンを搭載したもの。その開発にはポルシェが深く関わっていて、製造の一部もポルシェの工場が請け負っている。

 外観は基本的にW124型から変化はないが、フェンダーはわずかにワイド化されているほか、前後のバンパーは専用品を装備。もちろんエンブレムは「500E」となってはいたが、それを外してしまえば、パッと見は300Eなどとの違いが小さいために「これが大人のスポーツセダンよ」などといって、父親を口説いていた。

 考えてみれば、拒絶されたのは当たり前だ。500Eの新車価格は、1500万円オーバーである。1991年の1500万円といえば、いいところのマンションが買える値段であったのだ。

■「500E」と「190E 2.5」の気になる落札価格は?

 そこで次に狙ったのが、「190E」のスポーツモデル「190E2.3-16」と「2.5-16」だった。

 コスワースが開発をした2.3リッター直列4気筒16バルブエンジンを搭載した2.3-16は、DTM(ドイツツーリングカー選手権)で大活躍をしていて、2.5-16はそのDTMのレギュレーション変更に伴い、ストローク延長による排気量アップを実現したもの。

 日本では2.3-16が1986年に発売され、2.5-16は1988年に登場している。

 もちろんこの提案も、拒絶された。そりゃそうである。すでに働いているんだから、「自分で買え」というのは当たり前のことだ。

●1992 メルセデス・ベンツ「190E 2.5 コスワース」

 かように筆者にとって思い入れのある500Eと190E2.5-16が、シルバーストーンオークションに登場した。

 500Eのほうは1992年式で走行距離は12万km強。1996年に走行2万km強の段階でスペインに渡り、そこで11万5000km強まで走行。2016年からはイギリスで使われていたクルマだ。

 この個体には500Eのエンブレムが装着されてはいない。いつ外されたのかは不明だが、どこかの段階で「大人のスポーツセダン」を狙ったオーナーがいたのだろう。

 この個体にはメンテナンスノートが付属していて、それを確認するとつねにメルセデス・ベンツのサービス工場で整備がおこなわれていたことがわかる。

 内外装の状態もいいため、コレクション目的での入札も予想されたが、今回のオークションは流札となった。

 もう1台の190E2.5-16は、メーター上では2万7200マイル(約4万3500km)となっているが、メンテナンスノートを確認すると9800マイルでメーター交換していて、実総走行距離は3万7000マイル(約5万9200km)となっている。

 レンズ類も含む外装やウッドパネルなどもきれいだし、パワーウインドウなど機能パーツの不具合もなし。走りを愉しむこともでき、コレクションとしての価値もあるというこの個体は、2万8238ポンド(邦貨換算約395万円)で落札された。

 日本での新車価格は、約1000万円だったこと、そしてここまで程度のいい個体はなかなか見つからないことを考えると、お買い得といっていい落札価格といえるだろう。

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みんなのコメント

9件
  • 昔300E3.4-4Vに乗ってたけどホントに面白い車だった
    このあたりのベンツの良さは乗らなきゃわからないし一般的には伝わりにくいかもね
  • この時代のベンツはデザインがマジで秀逸。
    Sクラスなんてマジでヤーさんしか乗ってないんじゃないか?ってくらい凄みのある厳ついデザインだった。

    個人的に歴代の厳つい車ランキングNo.1だわ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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