今、125ccクラスのバイクが売れている。“原付二種”というカテゴリーで、原付並の手軽さとコストパフォーマンスの高さが魅力だ。いっぽう走りは小型二輪と遜色ない俊敏さで、その “いいとこ取り”が人気の理由。バイク好き俳優・駒木根葵汰(こまぎね・きいた)と元バイク雑誌編集長・カワニシが注目の125ccモデルにイッキ試乗し、その魅力を確かめる。次はスズキのスーパースポーツの名前を冠する「GSX-R125 ABS」だ。
「レーサーレプリカ」から「スーパースポーツ」へ
フツウのクルマを好む人にも勧めたい──新型プジョー2008試乗記
河西啓介(以下、カワニシ):いきなりですが、きいた君、“レーサーレプリカ”は、知っていますか?
駒木根葵汰(以下、きいた):えーと、聞いたことはありますが、あまりよく分かってはいないです。父がバイク好きなので、その世代の人と“レーサーレプリカ”って話しているのを聞くぐらいですね。
カワニシ:1980年代にバイクブームと二輪レースブームが同時多発的に起きて、そのときに生まれたバイクのカテゴリーです。GPマシンを思わせるフルカウルを纏い、中身もレーシングマシン譲りの最新技術が注がれた、まさにレーシングマシンの“レプリカ”のようなバイクが各二輪メーカーから発売され、そう呼ばれるようになったんです。
きいた:なるほど!いまで言う「SS(スーパースポーツ)」ですよね。SSは僕ら若い世代に人気ありますよ。
カワニシ:性能競争が激化し、いつしか一般ライダーが扱いきれないほど過激なモデルになってしまったレーサーレプリカは、頻繁なモデルチェンジにメーカー自身が疲弊してしまったこともあり、90年代に入ると次第に消えていったんです。その後、アメリカンバイクブームやスクーターブームなどを経て、再びカウル付きのスポーツバイクが「スーパースポーツ」と呼ばれて注目されるようになった。ただし中身はかつてのレーサーレプリカほど高性能を競うものじゃなく、まさにスポーツライディングを楽しむためのモデルとして、ですが。
きいた:僕はSSに乗ったことがなくて。でもカッコいいなって憧れはあったので、このスズキGSX-R125はめちゃくちゃ気になりますね。
軽い、速い、二輪の“ボーイズレーサー”カワニシ:前置きが長くなっちゃいましたが、GSX-R125です。実車を見て、率直に「カッコいい~」って言葉が漏れちゃいました。「GSX-R」という車名は、80年代に登場したスズキのレーサーレプリカの代名詞。だからこそ、125ccの小さいバイクに付けちゃって大丈夫?……とも思ったけど、いやまったくの杞憂でした。
きいた:跨ってみると、すごく軽いんですね。車体もすごくスリムでフィットするし、いかにも“走るぞ”って気になります。
カワニシ:137kgの車重は、125ccスポーツバイクの中でもひときわ軽量なんです。いっぽうエンジンパワーはクラス最高の15psだから、走らせなくともその楽しさが想像できます。クルマで言えばライトウェイトスポーツカー、ボーイズレーサーです。
きいた:セパハン(セパレートハンドル)だから、グリップ位置が低めで前傾姿勢になるけど、乗りにくくはなかったです。このポジションだと運転に集中できるから、スポーツライディングするにはいいかも。シフトアップする度にスピードがぐんぐん伸びていく感じが気持ちよかったです。「SSってこういう感じなんだ、楽しいぞ~」って、テンション上がっちゃいましたね。
カワニシ:排気音はシングルエンジンらしく、トゥルルルル……という歯切れのいいサウンド。低回転から十分なトルクはあるけど、7000rpmぐらいからいわゆるパワーバンドに入るとグンと力が増すので、つい上までまわしたくなりますね。小排気量スポーツならではの楽しさです。
きいた:ブレーキもよく効くし、カーブはバイクがどんどん曲がってくれる感じ。運転が上手くなったように感じますね。想像以上に扱いやすいから、ビギナーにもオススメできるんじゃないかと。
カワニシ:そしてかつてのレプリカブームの真っ只中にいた僕らオジサン世代にも刺さりますね。体力的にもハイパワーな大排気量SSはしんどい……と感じる人も多いので、コンパクトで軽くて、しかも走りを楽しめるこのGSX-R125はいいなぁ、と、思う人は多いはず。
スポーツバイクの入り口、として最適きいた:今回GSX-R125に乗って、「バイクってこんなに楽しかったんだっけ」と、思いました。SS初体験だったけど、これはハマりそうです。もっと乗っていたかったな。
カワニシ:SSに限らずですが、いきなりハイパワーなマシンに乗るより、最初は小さなもので経験を積んで、だんだん大きいものにステップしていったほうが安全だし楽しい、というのは自明ですよね。でも、今まで125クラスというのはコミューターというか“足バイク”というイメージが強くて、本格的なSSモデルが少なかったんです。そういう意味でこのGSX-R125は、“スポーツライディングを楽しむための入り口”としても最適じゃないかな。
きいた:今まではバイクといえば“ニーゴーからヨンヒャク”って思ってたけど、とくに東京みたいな街中で乗るなら、原二がいちばんいいんじゃないですか? 税金や保険料など、維持費も安いし。
カワニシ:もうひとつ注目すべきは燃費と航続距離。GSX-R125のカタログ燃費はリッターあたり45.8kmで燃料タンク容量は11リッターだから、単純に計算すれば満タンで約500km走れるという計算です。この実用性、経済性の高さはすごいな、と。
きいた:今度は125ccのSSでツーリングに行ってみたいですね。実家が茨城県なので、これで下道を走って帰るのもいいな。
カワニシ:「125だから……」と妥協するのではなく、“モーターサイクル”としてしっかり作り込まれているところがこのGSX-R125の魅力ですね。税込み45万3200円の価格について、「125なのに高い!」という声もあるようですが、内容を考えれば決して高くないと、僕は思いますね。
駒木根葵汰(こまぎねきいた)2000年1月30日生まれ。茨城県出身。高校生時代、SNSでスカウトされ芸能界に。2021年、スーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』にて主役の五色田介人/ゼンカイザー役を演じ話題に。次作の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』にも出演を果たし、異例の2年連続レギュラー出演に。特技は空手とバスケットボール。文化放送「レコメン」に月曜パーソナリティとして出演中。また7月17日よりテレビ朝日「君とゆきて咲く~新選組青春録~」新章に伊藤甲子太郎で、7月19日よりテレビ朝日金曜ナイトドラマ「伝説の頭翔」に丸川敦役で出演。さらに、10月期BS-TBS「天狗の台所」Season2に主演で出演する。また8月31日には、主演を務めた「25時、赤坂で」(テレビ東京)のファンミ―ティングが韓国でおこなわれる。
【過去記事】
Vol.1 ホンダ・ダックス125
文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ)
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