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【驚きの成長戦略】フィアット・クライスラー(FCA)ジャパン、2019年は好成績 2020年も攻めの姿勢

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【驚きの成長戦略】フィアット・クライスラー(FCA)ジャパン、2019年は好成績 2020年も攻めの姿勢

輸入車市場伸び悩みに反する成長

text:Kenji Momota(桃田健史)

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FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)ジャパンが着実に業績を伸ばしている。その背景にはいったい何があるのか……。

2019年、日本での輸入車市場は消費税アップなどの影響もあり、前年比マイナス3%と需要が減少傾向に触れた。

ブランド別で見ると、シェアトップのメルセデス・ベンツを筆頭に、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、MINIなどのメジャーブランドが軒並み前年比割れとなった。

一方、FCA、ボルボ、PSA(プジョー・シトロエン)など商品特性が強いブランドが前年比でプラスに転じている。

なかでも、FCAジャパンは2018年が前年比プラス5%、2019年が前年比プラス10%と好調な業績が目立つ。

販売実数では、2019年は2万4666台となり、10年前の2009年と比較すると3倍となる大きな伸びだ。

日本での事業での実情と、2020年の事業戦略ついてFCAジャパン代表取締役社長のポンタス・へグストロム氏が新春記者懇親会の席で詳しく説明。

「2020年見通しとして、45の限定車を発売する」という発言まで飛び出した。

なぜ、そこまで強気の方針を打ち出すことができるのか?

ジープ躍進が大きな要因 ラングラー人気

FCAジャパン業績好調で最も大きな要因は、ジープブランドの伸びである。

日本輸入車組合の調べでは、2019年の販売総数は1万3360台となり過去最高となった。

モデル別ではやはり、ラングラーの人気が目立つ。2019年は4873台とこちらも過去最高を記録した。

ジープの本国アメリカでは、2018年モデル(2018年夏発売)として11年ぶりのフルモデルチェンジで第4世代へと進化したラングラー。

第3世代のモデル末期でもアメリカでの販売は安定していたが、走りの質感はもとより、インテリアに上質さと先進性が加わったこともあり、第4世代はアメリカで好調に販売数を伸ばしている。

こうしたトレンドを受けて、日本向けは2018年10月から、スポーツ/アンリミテッドスポーツ/アンリミテッドサハラ/アンリミテッドルビコンが相次いで導入され、2019年に入ってから本格的なデリバリーが始まったことが、日本でもジープ全体の販売を押し上げた。

SUVについては、グランドチェロキーの販売が安定して伸びている。

フルサイズSUV分野でみると、競合であるメルセデス・ベンツGLE、BMW X5、ボルボXC90、そしてポルシェ・カイエンを抑えて、販売台数トップの1743台を記録した。

アバルトもフィアット500も市場は拡大基調

ジープに次ぐ、FCAジャパン躍進の立役者がアバルトだ。

「知る人ぞ知る」イタリアのニッチブランドだったアバルトだが、最近は日本での状況が変わってきたという。

そのきっかけは、FCAジャパン自身が作っている。

イタリアンテイストの本格的な走りを求める潜在的な可能性はあった上で、FCAジャパンはユーザーと直接つながる場を積極的に提供してきた。

代表的な例として、2019年はアバルトブランド設立70周年を祝う場として「アバルトデイズ2019」(2019年11月9日)を富士スピードウエイで開催した。こうしたファンイベント効果もあり、70周年アニバーサリーモデルである限定300台のスコーピオンスピードは予約販売受付開始10分で完売するという人気を博した。

アバルト全体として、2019年の販売台数は、10年前の約6倍となる2955台となり、2017年に次ぎ過去2番目の安定した実績を記録している。

また、アバルト人気はフィアット500全体の販売も大きく押し上げ、500ファミリーとして2019年販売総数は6970台と過去最高を記録した。

フィアット500としては、日本国内累積販売台数が5万台を突破。その背景には、女性オーナーの増加がある。フィアットブランドとして、2005年は15%だったが、2018年には62%まで大幅に増加しているのだ。

2020年、販売ネットワークの本格再編へ

販売好調の波を受け、FCAジャパンは次の一手を打つ。

それが、次世代ブランド戦略における販売ネットワークの再編である。

具体的には、これまでイタリアンブランドとして扱ってきたアルファ・ロメオとフィアットを、アルファ・ロメオ単独でヨーロピアンプレミアムとして位置付ける。

ニッチブランドだったアバルトは、フィアットと共に、イタリアンライフスタイルとして融合。

ジープについては、クライスラーありきのジープとしてアメリカンブランド色が強かったが、プレミアムSUVとしてブランドを再構築する。

販売ネットワーク再編に伴い、CI(コーポレイト・アイデンティティ)活動として刷新したショールームを、FCAジャパン過去最大数となる71か所で実施する。当然、販売台数増による保有台数増に対応して、販売スタッフや専門知識がある外国人メカニックを増強する。

こうして販売と整備のフィールドを確立させ、さらに既存ユーザーはもちろん、新規ユーザー獲得に向けた新しいマーケティング活動を本格化させる。

これが、2020年見通しとして、FCAジャパンが45もの限定車を日本市場に投入できる裏付けなのだ。

FCAジャパン2020年の動向について、今後も定常的にウォッチしていきたい。

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