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【元JLR社の技術者が主導】ヒューマン・ホライゾンズ・ハイファイXへ試乗 新興企業の挑戦

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【元JLR社の技術者が主導】ヒューマン・ホライゾンズ・ハイファイXへ試乗 新興企業の挑戦

Sクラス級の大きさを備える上級EV

text:Mark Andrews(マーク・アンドリュース)

【画像】ハイファイX 中国の新興純EVはほかにも Iペイスとも比較 全86枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


中国のスタートアップ企業、ヒューマン・ホライゾンズ社が展開する純EVブランドが、ハイファイだ。中国国内で、プレミアム・ブランドとしての地位獲得を狙っている。

ブランド初の量産モデルとなるのが、今回試乗したハイファイX。キャビンがクルマの前方に寄った、キャブフォワードのプロポーションが特徴で、ヒューマン・ホライゾンズはシューティング・クロスと読んでいる。

エンジンのないパッケージングを活かし、ほかの純EVも取り入れる流れにあるカタチだ。アメリカのファラデー・フューチャー社が進めるFF91や、ジャガーのIペイスなど何台かが思い浮かぶ。

写真ではわかりにくいものの、ハイファイXのボディは大きく、メルセデス・ベンツSクラスよりも長い。ホイールベースは、Sクラスほどではないのだが。

定員は6名で、上級モデルに期待する通りの充実した装備が搭載されている。リアドアはテスラ・モデルXを真似たようなガルウイング。ルーフとともに上方へ開き、乗降性を高めている。ほかにも驚く機能も複数備え、中国の富裕層へ訴えかける。

シャシー中央の低い位置へバッテリーが敷き詰められたスケートボード構造で、容量は97kWh。前後に2基のモーターを搭載し、最高出力は598ps。0-100km/h加速は3.9秒となかなか素早い。

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式を取る。リア側には、最大で10度にまでタイヤが向きを変える後輪操舵システムも搭載。大きなボディながら、11.6mの最小回転直径を得ている。

モニターに専有されるダッシュボード

ハイファイXを町中に停めてみると、従来のクルマとは容姿が大きく異ることがわかる。純EVとして生まれたクルマだと、主張するようだ。

フロントガラス両端のAピラーは、フロントフェンダー直上から立ち上がる。まるでミドシップのランボルギーニのようですらある。

インテリアを覗くと、近年の中国で展開される純EVの例に沿って、ダッシュボードは大きなモニターに専有されている。エアコンやステレオなどの機能は、車内中央に鎮座する16:9の巨大なタッチモニターか、音声認識機能で操作できる。

メーターパネルもモニター式。ヘッドアップ・ディスプレイも付いている。

助手席側正面にもエンターテインメント用のモニターがレイアウトされ、グローブボックスはない。ハイファイXの助手席を、ヒューマン・ホライゾンズはクイーンズ・シートと呼ぶ。ファーストクラスのように、ほぼ水平にまでリクライニング可能だ。

センターコンソールには、従来的なカップホルダーと小物入れ、スマートフォンのワイヤレス充電機能が用意される。センターモニターの裏側は空いており、こちらにも小物を置けるスペースがある。

2列目には、USBポートが一体となった独立型のパワーシートが2脚並ぶ。左右のドアには、エアコンの温度調整のほか、シート・ヒーターとクーラーの調整、マッサージ機能などの操作パネルが個別にある。

不満を感じない動的性能

ハイファイXを運転してみよう。全長5.2mもある巨大なボディだということを、簡単に忘れることができることに驚かされた。ニオES8は常に車体の大きさが意識の中にあったが、ハイファイXは狭い路地へ入らない限り気になることはほとんどない。

後輪操舵システムが、運転のしやすさにつなげているのだろう。ドライブモードには、コンフォートとエコ、スポーツのほか、個別設定が可能なインディビジュアルも用意され、操作への反応も変えることができる。

スポーツモードでは、598psという大パワーに期待するとおり、加速は感心するほどに鋭い。ただし回生ブレーキの効きは、最も強いモードを選んでもそれほど積極的ではない。多くの中国製EVと共通している。

前後ともにエアサスペンションで、安定した乗り心地を実現しており、凹凸を乗り越えても車内は穏やか。タイトコーナーを抜けても、ボディはフラットに保たれている。

ステアリングホイールの重み付けは丁度いい。一方で手のひらに伝わるフィードバックは希薄だ。

実際の道路環境では、ハイファイXの動的性能に不満は感じないだろう。しかし、晴れた日にはセンターモニターが陽光を反射し、かなり眩しく感じることがあった。フロントガラスは広大ながら、日射を防ぐブラインドなどが備わっていない。

元JLR社の技術者が開発を主導

ヒューマン・ホライゾンズ・ハイファイXは、現在のところ中国国内でしか購入できない。だが輸出には前向きで、欧州市場も選択肢の1つになることは論理的に考えられる。

中国生まれの純EVとして、上質さの獲得へ真剣に向き合ったハイファイX。車両開発を主導したエンジニアは、以前ジャガー・ランドローバー社に勤めていた人物だという。

ハイファイXを体験してみると、その仕上がりの良さがよく分かる。純EVのラグジュアリー・モデルへ挑戦した、新ブランドの新モデルとして、充分評価できる内容だといえる。

ヒューマン・ホライゾンズ・ハイファイX ファウンダーズ・エディション(中国仕様)のスペック

中国価格:7万5400ポンド(1131万円)
全長:5200mm
全幅:1990mm
全高:1618mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:3.9秒
航続距離:550km(NEDC値)
CO2排出量:−
車両重量:2580kg
パワートレイン:ツイン同期モーター
バッテリー:97kWh
最高出力:598ps
最大トルク:83.4kg-m
ギアボックス:−

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