■夏にスタッドレスタイヤでの走行は問題アリ?
乗用車用のタイヤは「サマータイヤ」と「冬用タイヤ」の2種類に分けられます。スタッドレスタイヤは、このうち冬用タイヤですが、つい履き替えが面倒で、夏でもスタッドレスタイヤで走っているという人もいるのではないでしょうか。夏にスタッドレスタイヤを着用したまま走行すると、どのような問題が起こるのでしょうか。
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そもそもスタッドレスタイヤとは、雪道や凍った地面でも滑らず安全に走行できるよう作られた冬用タイヤです。
スタッドレスタイヤが登場する以前は、「スパイクタイヤ」が主流となっていました。スパイクタイヤには鋲が打ち込まれており、乾燥した道路を走行すると打ち込まれた鋲がアスファルトを削り、粉塵公害が起こすという事態を起こします。そのため平成3年からスパイクタイヤは原則的に禁止となり、鋲を使わないスタッドレスタイヤが誕生したのです。
そんな「スタッドレスタイヤ」を履き替えずに、夏も着用しているとどのようなことが起こるのでしょうか。カー用品店「オートバックス」を運営する株式会社オートバックスセブン広報部に話を伺いました。
―――夏にスタッドレスタイヤで走ると、どのような事態が起こると考えられますか。
スタッドレスタイヤはゴムが柔らかいため、高速道路などで走行しているとノーマルタイヤよりも減りが早くなり、寿命が短くなります。そのため経済的ではありません。
また、コーナリング性能などが低下してしまいます。走行性能や経済性を考えると、夏にスタッドレスタイヤでの走行はおすすめしていません
―――通年スタッドレスタイヤを履いていると、冬の時期にスタッドレスタイヤの正しい効果は現れるのでしょうか。
一般的なタイヤにあるスリップサインの他に、スタッドレスタイヤには「プラットフォーム」というサインがあります。
プラットフォームはタイヤの溝50%の位置に入っており、このプラットフォームが出てきたら、冬用タイヤとして使うことができません。もし通年スタッドレスタイヤを履き、摩耗によりプラットフォームが出ていたら、雪道などでスリップする可能性があるので、新しいスタッドレスタイヤへ交換してください。
―――タイヤの履き替えの時期は、いつがいいのでしょうか
新品のスタッドレスタイヤでしたら、本格的に雪が降る2週間前~1カ月前に履き替えるのがおすすめです。距離でいえば100kmほど走行するのが目安になります。新品のスタッドレスタイヤは、「皮むき」というタイヤの表面をならすことで効きが良くなります。
スタッドレスタイヤからサマータイヤに戻すタイミングは、雪道を走らなくなったときです。もしサマータイヤに履き替えた後に、雪が降った場合には、無理せずクルマを運転しないとうことも選択肢に入れてください。
タイヤの交換時期は、皆さん一緒になることが多く、時には2時間から3時間ほどお待ちいただく場合があります。
そのような事態を避けるには、サマータイヤの代わりにオールシーズンタイヤを使用していただくという手があります。オールシーズンタイヤは多少の雪なら対応できるので、夏にオールシーズンタイヤを履き、雪が本格的になるシーズンにスタッドレスタイヤへ履き替えることで、他の人とタイヤ履き替えの時期をずらすことが可能です。この方法は首都圏のユーザーだけではなく、降雪地域の方にもおすすめできます。
■自力でのタイヤ交換が難しい場合には
タイヤ交換は工賃だけでいうと、大体1本2000円程度のところが多いです。もちろん自力でタイヤ交換をするのが一番安上りではありますが、あまりクルマに詳しくない人からするとハードルが高いのが現状です。
自分でタイヤ交換をするのが面倒な場合には、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどで交換することができます。出費を抑えるためにタイヤをネットで事前に購入し、持ち込みで付けるということにも対応している店も多くあります。しかし、その場合には工賃が通常よりも高くなってしまうことがあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
※ ※ ※
夏にスタッドレスタイヤを履いても、車検には通るため、法律上は問題ありません。
しかし、スタッドレスタイヤはサマータイヤとは違い、タイヤのゴムが柔らかいため、どうしてもブレーキやハンドリングの効きがサマータイヤよりも悪くなります。また、スタッドレスタイヤには溝が多く刻まれているため、それにより排水性能が低くハイドロプレーニング現象が起こる可能性も高くなります。
夏にスタッドレスタイヤのままで走行すると、安全性や経済性などでデメリットが目立つ結果となりました。
タイヤのこまめな履き替えが面倒という人や、首都圏で降雪の心配がないという人は、オールシーズンタイヤを履くという選択肢を入れてもいいのかもしれません。
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