10月13日、静岡県の富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ第7戦の決勝が行われ、VANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔が前日の第6戦から続く2連勝を飾った。
ここでは決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちが決勝レースについて語った内容を2回に分けてお届けする。(パート1はこちら)
「みんな自力で抜いて」「意外なところで行くしかない」「データ以上に差がある」【SF Mix Voices 第7戦決勝(1)】
■国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
予選20番手/決勝15位
思うようなパフォーマンスが発揮できず、苦しいレースウイークとなった国本。第7戦の予選ではQ1A組で10番手という結果に終わってしまった。
決勝では、ミニマム周回となる10周目でのピットインを選択した5台のうちの1台となった。同時にピットに入った小林可夢偉に続いてコースに復帰した国本は、同タイミングでピットアウトした大嶋和也(docomo business ROOKIE)が後方に迫っていることに気づく。
「大嶋選手の方がウォームアップが早かったので『近いな』と思ってはいました。次のラップでピットに入ったドライバーが多かったので、その人たちを抜くために、僕は(アウトラップ終わりの)ホームストレートではOTS(オーバーテイクシステム)を使わずに取っておこうと思っていました」
しかし、そのタイミングで大嶋はOTSを使って、国本を抜きにかかった。
「抜かれるなぁと思って、イン側をブロックして、自分のなかではちょっと手前でブレーキして、大嶋選手を先に行かせてから回り込もうと思っていたんですが、なんか変なところでのブレーキングになってしまって、並ぶつもりがないのに並ぶような形になってしまいました」
「イン側にはピットアウトしてきた車両もいて挟まれるような形になり、『やばい、このまま大嶋くんが切り込んできたらぶつかる』という状況で、ちょっと強くブレーキを踏んだらリヤがロックしてしまい、そのままコントロールを失って、僕のフロントウイングと大嶋くんのリヤタイヤがヒットして、スピンさせてしまいました。コントロールを失ってしまったので、全部僕が悪いかなと思います」
また、この接触の前、6周目終わりのセーフティカーからのリスタートでは、わずかにライン手前で大嶋をパスする形となってしまい、国本はレース中に2度のドライブスルーを受ける結果となった。
■小高一斗(KONDO RACING)
予選19番手/決勝12位
「初めてストールしてしまいました」と開口一番、19番グリッドからのスタートを振り返った小高。
「ストールというか、(クラッチを)つないだ時につながらず、『えっ?』ってなって、アクセルを戻したのですが、その時にクラッチをつなげてしまった。足と手が、真逆のことをしてしまいました」
しかし幸いなことにエンジンは停止せず、クラッチをつなぎ直して最小限のロスでレースに加わっていった。
週末を通して、小高はマシンと格闘していたという。
「フリー走行、予選・決勝、予選・決勝と、全部まったく違うタイプのクルマを走らせてきたんですけど……“下の下”からは抜け出せたけど、“下の上”くらいの感じです」
前戦もてぎは8月。そしてここ富士からは気温も低下傾向ということで、「間違いなく、自分たちのバランスが崩れ始めてきている。次の鈴鹿も寒いので……」と小高は危機感を募らせている。
「予選、決勝ともに今回全然ダメ。決勝は(第7戦は)ちょっと良くなりましたけどね。タイヤをちゃんと使えてなかったり、ダウンフォースだったり、クルマとしてもタイヤとしてもいろいろなことがうまく発揮できていなかった」
「1秒、2秒も遅いっていうことは、いつもやっているコンマ1秒、コンマ2秒を上げようとするセットアップとまた別」という小高は、「何かがおかしいのか、おかしくないのか……SFでたまに起きる、よく分からない壁に今回はぶち当たってしまった」と、頭を悩ませている様子だった。
■三宅淳詞(ThreeBond Racing)
予選16番手/決勝リタイア
1台体制のチームで奮闘を続ける三宅は、一定の手応えを感じる週末を富士で過ごせたようだ。
「今季の12号車は(上位からの)タイム差がすごくて、正直戦えているレベルではなかったと思いますが、今日の予選に関しては、Q2には進出できなかったものの、(Q1の)トップからは1秒以内に入っています。それで喜んでいたらダメですが、個人的には進歩だと思うので、結果以上に得られたものがあるというか、前向きなレースウイークだったと考えています」
富士はシーズン中の公式テスト、そして第4戦でも走り込んでいるコースということで、そのあたりの成果も活かせた結果かと思いきや、ヒントは第5戦モビリティリゾートもてぎで見つけていたようだ。
「もてぎのときに、『これなんじゃないか』というポイントがありました。それを反映した結果、今回の金曜日のフリー走行は結構いいフィーリングでした。実際、タイムが縮まったということは間違いではないと思うので、良かったと思います」
第7戦のレースに関しては、「12号車、どういうわけかスタートは調子がいいんですよね(笑)」と好スタートを決め、前方の木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)と争うこととなる。2周目に入ったコカ・コーラコーナーではインに並んで仕掛けるが、接触して木村がコースから外れる。その直後のダンロップ・コーナーで、木村にプッシュされる形でスピンし、三宅のレースは終わった。
「(コカ・コーラでの接触は)横に並んでいたし、ペナルティは出ないなと思いました。その後はミラーを見ても(木村が)離れていたし、自分としては前にいるクルマを標的にして行こうと気持ちを切り替えたところ、いきなり(うしろから当てられた)だったのでびっくりしましたね」
レース後には木村および本山哲監督からの謝罪もあったと明かす三宅は、「むかつくとか、そういうことではなく、やっぱりあんな順位を走っていたらリスクがあるじゃないですか。予選で前に行くことが大事だなと、改めて思いました」と、上位進出への想いを口にしていた。
■木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)
予選13番手/決勝9位
大会2日目は、午前の予選にて「セクター3でのグリップ不足が課題」のアタックでQ1B組7番手となり、13番グリッドからのスタートが決まった木村。
そして迎えた決勝、2周目のダンロップ・コーナーでニック・デ・フリース(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とブレーキング勝負になった際に前方の三宅に衝突。その前には、先述のコカ・コーラコーナーでのバトルでコースアウトする場面もあった。その時の状況について振り返る。
「あの時は、(オーバーランでダストを拾ったことで)タイヤ表面が汚れてしまっていたなどの要因か、コーナーでのマシンバランスがおかしいと感じていて。そのなかでニック(・デ・フリース)選手がインに飛び込んできた状況でした」
「自分も少し牽制しようと反応して、ブレーキを遅らせたところでクルマが思うように止まってくれず、というのが三宅選手との接触の原因だと考えています」と木村。
直前のコースオフでクルマに異常が生じ、それがデ・フリースとのバトルにも影響したと分析する木村だが、それでも自身のドライビングでうまく対応できていたなら、三宅とのコンタクトは避けられたはずだと語る。
「そもそも、(インに入られないよう)ちゃんと僕が牽制したらよかったなど、全体的な立ち回りも含めて接触を防ぐ方法はあったはずだと思います」
「三宅選手とThreeBond Racingのみなさんには本当に申し訳ない気持ちです。ホンダさんやチームにももっと良い結果を届けられたはずなので、反省しています」
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