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トヨタ育成のホープ、それぞれのSFテスト。昇格目指し「人生をかけて」臨んだ野中誠太、胃もたれ寸前の“特濃”経験を消化中の小林利徠斗

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トヨタ育成のホープ、それぞれのSFテスト。昇格目指し「人生をかけて」臨んだ野中誠太、胃もたれ寸前の“特濃”経験を消化中の小林利徠斗

 鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラの公式/ルーキーテストには、多くの外国人ドライバーや若手ドライバーが名を連ねた。トヨタ陣営からはTGR-DC育成ドライバーも数多く参加。今季のスーパーフォーミュラ・ライツで活躍した野中誠太と小林利徠斗も、将来のステップアップに向けて貴重な経験を積んだ。

 このテストに向けては「人生をかけて準備をしてきた」と語るのは野中。2021年のFIA F4チャンピオンであり、同年から掛け持ちで参戦していたSFライツは今年で参戦4年目となった。過去3年はタイトル争いに絡むことはできなかったが、今季は開幕から勝利を重ねるなど急成長を見せ、ホンダ育成の小出峻らと王座を争った。

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 最終大会での無念のトラブルにより、ランキング3位でSFライツのシーズンを終えた野中。ただオフのSF鈴鹿テストにKids com Team KCMGから参加することが決まると、2日目、3日目に走行。ルーキー枠の3日目には午前、午後共に2番手タイムをマークした。KCMGの土居隆二監督は野中のフィードバック能力を特に高く評価しており、トップフォーミュラに昇格するに足る逸材だと語っていた。

 野中としては、2年前のルーキーテストにもKCMGから参加しており、自身2度目のスーパーフォーミュラとなったが、その時とは意気込みもまるで違うのだと語る。

「(意気込みは)全く違いますね。今回は来季に向けてアピールする最後のテストだったと思いますし、僕は人生をかけて準備をしてきました」

「2年前のような、“スーパーフォーミュラを経験する”といった心境とはまるで違います。今回の方がより緊張感を持っていましたし、自分のレベルも2年前とは違います。その中でしっかり2日間を通して伸びてテストを終えられたので、自信を持っていきたいです」

 久々のスーパーフォーミュラドライブながら、非常に充実したテストとなった野中。今回の2番手タイムも「最大限のパフォーマンスを出してのリザルトではない」としつつ、「いつでもSFで戦えるという準備ができている」という頼もしいコメントも残した。

 一方の小林は、昨年のFIA F4でチャンピオンを獲得。今季はSFライツ1年目ながら3勝を記録し、ランキング2位に入った注目の19歳だ。

 小林はルーキー枠の3日目のみ、坪井翔のチャンピオンマシンであるTOM'Sの36号車をドライブした。初のSFマシンということもあり、午前のセッションはベストタイムが1分39秒台と慎重な滑り出しとなったが、午後は1分37秒828にタイムを上げ11台中5番手だった。午後はニュータイヤの限界を掴めてきたところで赤旗終了となってしまったが、「感触としては悪くないところまで来たので、良いテストになった」と振り返る。

 初めてのスーパーフォーミュラは「怖かった」と語る小林。先月にはマカオGPも経験したが、その怖さは「ジャンルが違うけど、良い勝負(笑)」だという。

 具体的には、強烈なパワーに対処するのが難しかったと小林は語る。

「加速があまりにも速すぎて、ちょっとアクセルを踏もうと全開にした途端に、流れる景色が速くなって『あれあれあれー』って」

「体力的な面では、パワステもついていますし、体幹などは必要とはいえ極端な疲れはありません。それ以上に精神的に(厳しい)。すごくシビアなクルマなので、ちょっとでも気を抜けばどこかにすっ飛んでいくんじゃないかと思いました。この3日間で色んなクルマが飛んでいくところも見ていますし、実際自分もそうなりそうな挙動が出ていました。常に気が抜けないのは精神的に来ますね」

「SFライツの倍以上のパワーがあるので、パワースライドした時の滑り方が半端ではありません。ダウンフォースで曲がっていくクルマなので、そこが破綻した時の怖さは当然ありますが、そこはSFライツでも経験があったので、いくらか対処ができましたね」

 今年の年初、SFライツとスーパーGT・GT300への昇格が決まった直後のインタビューでは、自身の課題として語学力・コミュニケーション力を含めた人間力を挙げており、「そもそも日本語で会話することもちょっと苦手なので……(苦笑)。人間的に成長していかないといけない部分はかなり大きい」と話していた小林。この1年でその点は成長したかと問うと、次のように答えた。

「この1年はちょっと内容が濃すぎて、胃もたれしそうなくらいでした(笑)」

「ありがたいことに、3カテゴリー(SFライツとスーパーGT、スーパー耐久)プラスアルファで色々出させていただいたので、ほぼ毎週サーキットに行きました。すごく貴重な経験をたくさん積ませていただいたので、それだけ会話もありました」

「レースはクルマの運転だけでなく、人と人とのやり取りでもあるので、コミュニケーションはもちろん重要ですし、そういうところも含めて学べた1年だったと思います」

「ただ、内容が濃すぎて、まだ頭の整理が完全についている状態ではないので、これから噛み砕きつつ、また来年に向けて準備したいです」

 また小林世代の若いトヨタドライバーにとっては、F1への道も開けた。小林は「どの道に進むかは分からない」としつつも、「ありがたいことに道が開けていますし、僕の目標は色んなカテゴリーに出てひとりのドライバーとして何よりも成長すること。ですから、どんなところもどんどん吸い尽くしていきたいと考えています」と語った。

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