「499Pモディフィカータ」登場
フェラーリが、限定生産のサーキット専用モデル「499Pモディフィカータ」を発表した。
【画像】まさかの499Pがベース 「499Pモディフィカータ」【細部まで見る】 全17枚
今年6月のル・マン24時間レースで総合優勝を飾った499Pを、非競技用途に改造したモデルだ。
つまり、レギュレーションによる制約のないサーキット専用車を、量産モデルではなくレーシングカーから直接開発したことになる。
主な変更点は、低速でも電動アクスルと四輪駆動の稼働が可能になったこと。さらに、120kWのパワーアップを選択できる「プッシュ・トゥ・パス」機能の搭載、ピレリが開発した専用タイヤの採用などがある。
また、サスペンションのセッティング、電子制御システム、エンジンのマッピングも、完全に改められている。
コクピットは「499Pと同じ」と発表されており、単座のレイアウトを踏襲。フェラーリは、「ル・マン24時間レースでハイパーポール、ファステストラップ、総合優勝を成し遂げた50号車、さらに51号車のクルーとまったく同じドライビング・エクスペリエンスを味わえる」と説明している。
レギュレーションから解放されて
パワートレインは、120°V6をミドシップし、電気モーターをフロントアクスルに搭載するハイブリッド。
FIAとACOのレギュレーションによる制約がないため、システム最高出力は640kW(870ps)に達する。
エンジンをサブフレームにマウントするGTレーシングカーとは異なり、499PモディフィカータのV6ユニットは重要な構造部材としても機能。ギアボックスは7速シーケンシャルだ。
一方の電気モーターは最高出力200kW(272ps)で、ディファレンシャルとエネルギー回生システムを備え、減速時と制動時にバッテリーを充電することができる。
800Vのバッテリーパックは、フェラーリF1での経験をもとに開発されたものとなる。
2つの注目テクノロジーとは?
注目はビークルダイナミクスにおける2つの機能だ。
レーシングカーの「499P」では190km/h以上で作動するように制限されている四輪駆動だが、「499Pモディフィカータ」では低速からフロントアクスルが稼働していく。
前輪のグリップを活用できるので、前後のアクスルの最適なトルク配分を追求でき、パフォーマンスに加えドライバビリティの面でメリットとなる。応答性が高まるので、コーナーの立ち上がりで最善の走行ラインを見つけやすくなるだろう。
もう1つは「プッシュ・トゥ・パス」システムの導入。1周につき限られた時間ではあるが、520kW(707ps)の出力に、追加で120kW(163ps)のパワーアップが可能となる。F1のKERSシステムのように使えるわけだ。
ステアリングの裏側にあるボダンを押せば、スロットルを全開で踏んでいる間は作動。最長で1回につき7秒間機能する。
同社は、499Pモディフィカータのオーナーが受けるサービスとして、「フェラーリが非競技用途で提供するサーキット専用クローズドホイールモデルの中で最高のパフォーマンスを誇ります。2024年スポルト・プロトティピ・クリエンティ・プログラムで使用され、既存のF1クリエンティ・プログラムとともに活動します。したがって、499Pモディフィカータのオーナーは、国際的なサーキットで開催される数々のイベントに毎年参加でき、輸送や現地でのアシスタンス/メンテナンスはフェラーリが担います」と説明している。
296チャレンジも登場 初のV6
また、499Pモディフィカータが発表された同じイベントで、2024年シーズンからフェラーリ・チャレンジにデビューする「296チャレンジ」も公開された。
今年で32シーズン目となる跳ね馬のワンメイクシリーズにおいて、9代目となるモデルだ。
296 GTBをベースに、パワーユニット、エアロダイナミクス、ビークルダイナミクスを大幅に変更し、チャレンジ史上初めて6気筒エンジンを搭載している。
最高出力700psを発生し、比出力はこのセグメントの新記録となる234ps/Lに達する。
同社によれば、先代モデルにあたる488チャレンジ・エボが記録したムジェロ・サーキットのラップタイムを2秒更新したというから2024年シーズンの投入が待ち遠しい。
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