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「印象ダウン」なATと快適性 新名称で再出発の韓国ブランド KGMトーレスへ試乗

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「印象ダウン」なATと快適性 新名称で再出発の韓国ブランド KGMトーレスへ試乗

SUV中心の自動車ブランドとして再生

「パワード・バイ・タフネス」を掲げ、再出発を果たした韓国のサンヨン。2023年にブランド名をKGMへ改め、新たなSUV、トーレスを発表した。「冒険がここから始まる」という、力強いキャッチコピーとともに。

【画像】新名称で再出発の韓国ブランド KGMトーレス 競合サイズの日本ブランド車はコレ! 全132枚

インドの巨大複合企業、マヒンドラ・グループ傘下だった時代を経て、サンヨンは韓国の化学メーカー、KGグループによって買収。SUV中心のブランドに生まれ変わり、今後はスタイリッシュな見た目のバッテリーEVを提供する予定だという。

その過程での第1弾となるのが、今回試乗したトーレス。マヒンドラ時代に開発されたSUV、レクストンより僅かに大きく、全長は4700mm、全幅は1890mmある。直線基調の大胆なスタイリングが目を引く、5シーターのファミリーSUVだ。

現在提供されているのは、1.5L 4気筒エンジンの前輪駆動のみだが、四輪駆動とバッテリーEV版も追加予定とのこと。価格帯やサイズ的に、英国では日産キャシュカイ(旧デュアリス)やトヨタRAV4を検討する人の視野にも入るはず。

標準装備は充実し、荷室容量はこのクラスでは大きめの703L。果たして、競争の激しいカテゴリーで、期待通りの成果は上げられるだろうか。

個性の強いスタイリング 当面は前輪駆動のみ

特徴の薄いクロスオーバーが乱立する中で、個性の強いスタイリングをトーレスへ与えた、KGMの判断は称賛すべきだろう。今は前輪駆動のみだとしても、タフな走りを想起させる、オフローダー感が巧みに演出されている。

もっとも、ボンネット両脇のグラブハンドルや、バンパー下部のアンダーガード風トリムなど、装飾的な要素も多い。トランクリッドに加えられた、スペアタイヤ・カバーを模した膨らみは、間違いなく雰囲気重視だ。

それでも、KGMは路面とボディが接する角度、フロントのアプローチ・アングルと、リアのデパーチャー・アングルの深さを主張する。ブレーキ付きなら、1500kgのトレーラーまで牽引も可能だという。しっかり、SUVとしての要点は抑えられている。

四輪駆動が登場すれば、手頃で有能なSUVをお考えの山岳部に住む人や、農業従事者などから喜ばれそうだ。技術的な仕様は明らかではないものの、約2000ポンド(約38万円)高くなるようではあるけれど。

ドアを開くと、ダッシュボード上部に据えられた、緩やかにカーブを描くモニターパネルが目を引く。カッパー風のトリムパネルも効果的。インテリアデザインは、ベーシック・ブランドの中で上位の印象を狙ったという。

アラが見えてくる内装 伸び悩む燃費

しかし、落ち着いて観察するとアラも見えてくる。リムが細いステアリングホイールの中央には、古いサンヨンのロゴが残ったまま。合成皮革は、特に感触に優れるわけではない。シートの座面はフラットで、身体のサポート性は今ひとつだ。

プラスティック製の部品は、仕上げが良くない。実際に押せるハードボタン類は、3万7995ポンド(約718万円)のクルマとしては、ソリッド感が乏しい。

インフォテインメント・システムはメニュー構造を理解しやすく、グラフィックも見やすいものの、稀に反応が遅い場面があった。ワイヤレスでの、スマートフォンとのミラーリングにも対応はしていない。

警告音も耳についた。荷物を取るため、エンジンを掛けたまま降りても鳴るし、走行中は制限速度が変わる度に鳴る。とはいえ、これは欧州で施行される新しい安全規制に沿ったもの。トーレスの場合、簡単にオフにできれば気に障ることはないのだが。

パワートレインは、サンヨン時代から存在する、1.5L 4気筒ターボ。最高出力163ps、最大トルク28.5kg-mを発揮する。トルクはこのクラスとしては優秀といえ、絶妙に調整された特性もあって、想像するほど遅くはない。

ただし、実環境での燃費は伸び悩む。カタログ値では11.8km/Lが主張されているものの、条件の良い高速道路の巡航でも、10.0km/Lを超えることはなかった。

印象を下げるATのマナーと乗り心地

この燃費を生んでいる理由の1つが、シフトアップ前に高回転域まで引っ張る傾向が強い、6速ATのマナー。7速目を追加し、110km/hでの走行時に2100rpmを切るようにもできれば、改善できるのではないかと思う。

鋭い加速を求めて、アクセルペダルを踏み込むと、キックダウンの反応も鈍い。DからRへ切り替えると、驚くほどの変速ショックも伴う。アイシン社製だというが。

乗り心地は、トーレスの印象を下げるもう1つの部分。サスペンションのチューニングが甘いのか、明らかに前時代のオフローダー的。英国の一般道では、落ち着きを保つことが難しいようだ。

日常的な速度域では、不自然な硬さが目立ち、振動が収まらない。フラットなシートはクッションが良くなく、快適性をアシストできていない。KGMのイメージ向上のため、優先的に取り組むべき項目だったのでは。

英国価格が5000ポンド(約95万円)安ければ、荒削りなサスペンションやパワートレインを許せるかもしれない。しかし現在の設定では、納得できる水準とはいいにくい。

検討候補に加える価値がない、というわけではない。四輪駆動仕様やバッテリーEV版なら、より高い魅力を備えている可能性はある。だが、前輪駆動のトーレスをお考えなら、納車後に後悔しないよう、自ら印象を確かめた方が賢明だろう。

◯:このセグメントでは存在感を放つスタイリング 広大な荷室
△:磨き込みの足りないシャシー 洗練性と効率性で劣るパワートレイン

KGMトーレス(英国仕様)のスペック

英国価格:3万7995ポンド(約718万円)
全長:4700mm
全幅:1890mm
全高:1720mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:10.8秒
燃費:11.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1528kg
パワートレイン:直列4気筒1497cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:163ps
最大トルク:28.5kg-m
ギアボックス:6速オートマティック(前輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • fd3********
    劣化版エクストレイル?
    排気量もクラス感も近いから
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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