車幅が狭くなり空気抵抗が減るという点がメリット
既報の通り、国際的な車両型式認証の相互承認制度(IWVTA)の象徴ともいうべき「ミラーレス」車の生産が解禁される。これまでドアミラー(一部はフェンダーミラー)によって後方を確認する機能が求められてきたが、その機能をカメラとモニターを使って代替することが許されるというわけだ。
ドアミラーというのは突起物であることから、ぶつけてしまうこともあるし、空気抵抗では不利。また鏡を使うという構造上、カバーできる視界にも限りがある。
そこで、カメラとモニターを利用して側面後方の視界を確保したほうが有利という判断もあり、日本が先んじて許認可することになった。その解禁日が2016年6月18日なのである。
ちなみに、保安基準では、バックミラーではなく「後写鏡」と呼ばれるが、新たに解禁される電気的なシステムは「カメラモニタリングシステム(CMS)」と名付けられた。また、すべての自動車に使えるわけではなく、『二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く』と条件付けられている。
また、改正された保安基準では、現在の後写鏡と同等の視界や表示時間、倍率、取り付け位置などが規定されている。とはいえ、電気的なシステムということで、鏡に比べて解像度が不足することやモニターの表示遅れ、チラツキなどネガティブな要素が思い浮かぶドライバーは少なくないだろう。
とくに動いているものを液晶モニターで見続けるのは、眼の疲労につながるという批判もあるかもしれない。そもそも不慣れなデバイスは事故の元という見方もある、そうなると諸手を上げて賛成という風にはいかないだろう。
ただし、解禁されたからといってすぐに普及するとはいえない。鏡を使ったドアミラーに対して、CMSはコスト高になることは容易に想像される。また、変化を嫌う保守的なユーザーも少なくないだろうから、自動車メーカーが一気にシフトするとは考えづらい。すでに準ミリ波レーザーによって斜め後方の死角にいる車両の存在を検知、ドアミラー内などにコーションを出す機能は広まっていることもあり、カメラにしたからといって劇的に安全性が向上するとはいえないという意見もあるだろう。
ただし、カメラによる映像情報をクルマが得やすくなることで、現在進んでいる自動運転のセンサーのひとつとして活用することも予想され、高級車への装着は増えていくだろう。また、空気抵抗を軽減できるというメリットからスポーツカーへの採用が進むことも予想される。
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