もくじ
ー 90年後もタイヤは4つか
ー EVの進化の行く末は
ー 燃料電池が流行か
ー 空力や内装は大きく変化
ー クルマはすでに成熟の域に
AUTOCARロードテスト90周年(7) 乗り心地と操舵 最大の革新分野
90年後もタイヤは4つか
今から90年後、AUTOCARはどんなクルマをテストしているのだろうか。
まあおそらく、今世間をにぎわす自動運転車もまだ完全なものにはなっていないだろう。自動で移動する装置は路上に現れるかもしれないが、それはわれわれの考えるクルマのかたちではないはずだ。
現在でも、ロンドン・ヒースロー空港の駐車場とターミナルの間を「ヒースローポッド」というシャボン玉に車輪をくっつけたようなかわいい乗り物が自動で走っている。だがそれは単に運転手のいない文字どおりの「動く箱」であって、乗客は間違ってもクルマに乗るとは認識していないはずだ。
運転手のいないクルマなどもはやクルマとはいえない、そういうことだ。まあそれはそれとして、クルマにかならずついてくる車輪という6000年もの古い歴史をもつ物体は、90年後も相変わらず四隅に居すわっているのだろうか? あるいはもう別のものが取って代わるのだろうか?
ありえる話だ。ホイールやタイヤは場所を食うし、重く複雑なサスペンション装置が必要となる。さらに摩耗もすれば膨大な摩擦力も生じるし、小回り性にも制限が出てしまう。かりにクルマが宙に浮けるなら、そんな問題はことごとく一掃できてしまうのだ。
EVの進化の行く末は
冷戦時代のソ連が開発した地面効果翼機エクラノプランをご存じだろうか。機体や翼と地面とのあいだの気流現象すなわち地面効果(グラウンドエフェクト)を利用し、多数の兵員を乗せて水面すれすれを浮上し480km/hで飛ぶ飛行機だ。もっとも本領を発揮するにはいたらなかった。ソ連の資金不足、そして波があると飛べない欠点のためだ。
陸地ならそんな心配もいらない。超軽量車なら高速走行に地面効果を利用し、可変推進装置によって旋回し、低速でも浮上したままで減速できるだろう。まあ科学者や技術者にこんな与太話をしたところで、聞くに値しないと一笑に付されるだけだろうが。
たしかに話が飛躍しすぎたかもしれない。そこで今度は、2108年にあなたの孫が90年前のAUTOCARのバックナンバーを繰ってはばかにしそうな話をしよう。いまも目にする電気自動車にまつわる、これからの進化の顛末だ。
まず、2030年頃になれば技術も進歩して、航続距離や充電時間に関する話題が紙面を賑わすことはなくなっているだろう。そのかたわら、バッテリーの生産に欠かせない金属類の枯渇と採掘の問題が、バッテリー廃棄の環境コストとならんで深刻化する。
燃料電池が流行か
自動車メーカーがほとんど言及せず、また世間もほとんど関心をもたなかったことが、ここにきていよいよ表面化するのだ。そこで現実を目の前にした業界も、問題を長年頬かむりしていた報いだとようやく気づく。
いっぽう、再生可能エネルギーの技術は目覚ましく進歩する。天然ガスから取りだす以外の方法で水素をつくることが技術的にもコスト的にも可能となることで、燃料電池が一躍流行そして定番の座につく。つまり環境に優しい燃料が確保できるとともに、まずまずの航続距離と石油燃料にそう劣らない補給時間も実現できるということだ。
水素は水の電気分解で、それも風力、波力、太陽光から得た電力でつくられるようになる。あるいはクルマそのものが太陽光パネルで水素をまかない、補給をまったく必要としなくなる。そして、排出するのはただ水だけだ。
クルマの外観については、もっとも変化が少ないのではないだろうか。定員分の人間とその荷物、それにかたちは何であれ動力源を内包せねばならない以上、ボディ設計上の制約は変わりようがないし、当然物理の法則も変わらないからだ。
空力や内装は大きく変化
もっとも車重は軽くなり、また空力性能も大きく向上するだろう。空力でクルマを地面に押しつける方法にしても、抗力を生んでしまうスポイラーを車体の上面に生やすのではなく、すべて下面でまかなうことになる。
それもディフューザーの類だけでなく、今から半世紀も前のレーシングカーではじめて使われた、車体下面から積極的に空気を吸いだす技術も用いられる。また状況に応じて左右のサイドシルからスカートが下降し、車体と地面のすき間をうめる方法もある。
内装のほうは大きく変わりそうだ。計器類はすべて仮想のヘッドアップディスプレイに投影され、操作はすべて音声かジェスチャーで行うことになる。スイッチ、レバー、ボタン、ダイヤルなども、いま当たり前のように目にする形ではなくなる。
クルマ自体が軽くなり素材の強度も高まることで重量挙げ選手の太ももほどもありそうな太い柱を立てずに済むので、車内空間もさっぱりと美しく先祖返りする。
そしてもちろん現在でいうレベル4自動運転のような、つまり完全にクルマに操縦をまかせてドライバーは他のことができるような自律走行も可能となっているだろう。もっともそれは高速道路や主要幹線道路、そして市街地中心部のようなところに厳しく限定されると思われる。まあどれも、運転を楽しむには向かない道ばかりだが。
クルマはすでに成熟の域に
いろいろと予想してきたが、最後にひとついいたいことがある。クルマがこれからの90年どこへ向かおうと、その変化の大きさはこれまでの90年と比べてほんのわずかでしかないだろうということだ。
考えてみてほしい。90年前の標準的な自家用車といえば80km/hで走るのがやっとの、ただの箱同然の代物だった。音はうるさく乗り心地は悪く、危険で信頼性も低かった。
対するいま、同じ立場にあるクルマはフォルクスワーゲン・ゴルフだろう。では、この90年のほぼ半分にあたる1974年の時点で手に入った最高のファミリーカーは何だったか。それも、前輪駆動のハッチバック型モノコックボディに当時最先端の設計と信頼性、さらに安全性と経済性を兼ねそなえた、同じフォルクスワーゲン・ゴルフではなかったか。
進化のスピードは世代ごとにどんどん鈍ってきたわけだが、次の世代も、そのまた次もこの傾向にかわりはないだろう。
化石の研究で明らかとなったことだが、ある種のサメははるか何百万年も前にもう進化を止めてしまったという。もうそれ以上変わりようがないところまできてしまったのだ。
翻ってクルマはといえば、まだそこまでではないかもしれない。ただ大変革の段階はとっくの昔に過ぎ去り、成熟の域にある製品になってしまったのは間違いのないところだろう。
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