10月8日、ホンダは北米で販売するミドルピックアップトラック「リッジライン」の2021年モデルを発表。
リッジラインは、正規には日本で販売されておらず、ホンダが持つツインリンクもてぎのコース内で「働くクルマ」として目にすることがあるくらいだが、本稿では、そんな日本では馴染みの薄いホンダのピックアップトラックを、2021年モデルにおける変更点とともに紹介したい。
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文/永田恵一、写真/ American Honda Motor Co., Inc
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日本にないホンダ車「リッジライン」とは
リッジラインは、北米で販売されるトヨタ タコマや日産 フロンティア、シボレー コロラドなどがライバルとなるミドルクラスのピックアップトラックとして、初代モデルが2005年1月のデトロイトモーターショーに登場。
2005年1月開催のデトロイトモーターショーに初代リッジラインが登場した(写真:リッジライン2007年モデル)
初代、2代目モデルに共通するリッジラインの大きな特徴は、商用ワンボックスバンやピックアップトラックといった商用車のイメージが薄いホンダらしくというか、内外装以外も乗用車に近い点である。
ピックアップトラックの基本構造は、ラダーフレームの上にキャビンと荷台を乗せたラダーフレーム構造に、エンジンやトランスミッションといったパワートレーンがFR車同様に前方から後方に縦に並び、リアサスペンションの形式はリジッド+リーフスプリングというのが一般的だ。
それに対しリッジラインのボディはモノコック構造で、パワートレーンはエンジン横置きのFFと4WD、リアサスペンションも独立懸架のマルチリンク+コイルスプリングと、乗用車に非常に近い。
リッジラインのボディはモノコック構造で作られている。内外装、パワートレーン等は乗用車に非常に近いつくりになっている
ピックアップトラックをヘビーに使うユーザーから見ると、「リッジラインは強さが心配」と思うかもしれないが、現行リッジラインは4WDであればミドルピックアップトラックとしては標準以上の約720kgの最大積載量と約2300kgというけん引の上限を確保している。
ピックアップトラックとして充分な強さが確保されていれば、リッジラインはモノコックボディによる構造的なシンプルさやより乗用車的な運転感覚という武器が光る。
フロアが低いため、荷物が積みやすい。さらに荷台下にも大きな収納スペースがあるため、便利である
その一例としては初代モデルから続くフロアの低さによる荷台への荷物の積みやすさや、荷台へのホイールハウスの飛び出しが非常に小さいこと、荷台下に濡れたものを積む際などに使える大きな収納スペースがある点が挙げられる。
現行モデルは2016年に登場
2代目(現行型)リッジラインは、初代より角がとれたデザインになり、乗用車的なものとなった
2代目モデルとなる現行リッジラインは、2016年1月のデトロイトモーターショーで登場し、流行り廃りの変化が少ないピックアップトラックということもありキープコンセプトだが、スタイルは初代モデルに比べると角が取れた、より乗用車的なものとなった。
現行リッジラインの初期モデルのパワートレーンは、3.5L・V6エンジンこそ初代モデル、現行型の最新モデルも共通だが、トランスミッションは初代モデルの5速ATから現行モデルで6速ATとなり(現在は9速AT)、現行モデルからFFの2WDも加わった。
パワートレーンは、初代、2代目とも同じく、3.5L・V6エンジンを搭載している。トランスミッションが進化し、現在では9速ATになった(写真:リッジライン2007年モデル)
インテリアはATのシフトがボタン式となるなど、さらに乗用車的になり、荷台後方のアオリ(囲い)は初代モデルから継承されている下方向に加え、横方向にも開くものとなっている。
また、荷台には4つの振動スピーカーを持つ本格音響システムを装備し、アウトドアでの利便性を高めるなど、便利な機能が多数用意されている。
なお、ボディサイズは全長5334mm×全幅1996mm×全高1783mmと、タコマなどと比べると全幅の大きさが目につく。ボディタイプはリアドアが付く、ピックアップトラック的な表現ではダブルキャブのみとなる。
最新2021年モデルでリッジラインは何が変わった?
●エクステリアの変更点
10月8日に発表されたリッジライン2021年モデルは、ガーニッシュを廃止し、より大きいフロントグリルを採用した
・ガーニッシュを廃し、より大きくなったようにも見えるフロントグリル
・樹脂製のプロクターが大型化され、よりピックアップトラックらしくなった前後フェンダー
・フロントバンパー左右下部に走行風を前輪外側に整流するためのサイドベンドを追加
●インテリアの変更点
・シート生地、ダッシュボードなどの小変更
●4WDシステムも改良
現行リッジラインの4WDシステムは、ノーマル、スノー(雪)、サンド(砂)、マッド(泥)の4つのモードを持ち、前後駆動力配分を自動で行われる「i-VTM4」を採用している。
2021年モデルより、新たに後輪左右のトルクベタリング(駆動力配分)機能が上級グレードに標準装備された
加えて2021年モデルでは、新たに後輪左右のトルクベタリング(駆動力配分)機能が上級の「RTL-E」とブラックエディションには標準装備、ベーシックモデルの「スポーツ」と標準の「RTL」にオプションという形で設定された。
なお、価格などは今年末に発表される予定で、参考となる2020年モデルの価格はFF車で3万3900ドル(約358万円)からとなっている。
◆ ◆ ◆
なかなか魅力的なリッジラインであるが、ボディサイズや左側通行国で販売されないため右ハンドル仕様が現状ないことを考えると、日本導入の可能性は非常に低いだろう。
しかし、最近の日本で販売されるホンダ車のラインナップにホンダらしい明るさや元気さのようなものを感じるモデルがあまりないことを考えると、ブランドイメージ向上も含め、リッジラインの日本導入があってもいいのかもしれない。
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みんなのコメント
ベストカーさん
日本の道路幅を測れば、日本で販売しない理由がわかると思うよ