モビリティリゾートもてぎで行なわれたスーパーGT第8戦で、日産陣営NISMOの2台は3号車Niterra MOTUL Zが7位、23号車MOTUL AUTECH Zが9位に終わった。好調だった前戦オートポリスでの勢いそのままに……とはならず、2台ともに最終戦を前にGT500タイトルの権利を失ってしまった。
NISMOの2台にとって特に痛手となってしまったのは、雨の中行なわれた予選での失速。予選はQ1とQ2の合算タイムで競われたが、3号車が11番手、23号車が13番手に沈んでしまった。コース自体抜きどころも決して多くなく、レース距離が短く戦略の幅も狭いもてぎ戦においては、下位グリッドから上位進出を狙うのは容易ではない。
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ドライコンディションで行なわれた決勝レースでは、3号車が7位、23号車が9位。今回のレースでビッグポイントを獲得し、ポイントリーダーである36号車au TOM'S GR Supraとの点差を縮めたいNISMO勢だったが、むしろ36号車に勝たれてしまったことで、12月に鈴鹿で行なわれる最終戦に向けて、逆転タイトルへの望みを繋ぐことはできなかった。
23号車の後半スティントを担当し約40周走った千代勝正も、ドライコンディションでのレースペースは悪くなかったという。もし予選が雨でなければ、また違った展開のレースになっていたと思うかと問うと、千代はこう答えた。
「ドライで予選ができていれば、十分戦えていたと思います。決勝ペース的にも悪くなかったので」
裏を返せば、NISMOのドライバーたちはウエットコンディションでのパフォーマンスに課題があると認識している。
NISMOの2台は昨年まで、ミシュランからタイヤ供給を受けていた。しかし、ウエットコンディションで無類の強さを誇ったミシュランが昨年限りでGT500への供給を終了。今年はブリヂストンユーザーとなった。
NISMOのGT500としては久々のブリヂストン装着となるが、ウエットコンディションのセッションでは12台いるブリヂストンユーザーの中でもやや苦戦する傾向が見られた。第6戦SUGOの公式練習(予選キャンセルにより事実上の予選に)は23号車9番手、3号車15番手。今回のもてぎ戦も練習走行から3号車10番手、23号車13番手と上位には食い込めずにいた。
「ウエットでの強さを見せられなかったと思います」と千代。
「そこには原因があると思うし、明らかな差があると思います。そこをしっかり研究して、チームとして強くしていかないといけません」
もてぎ戦の予選ではQ2を担当し5番手タイムと気を吐いた3号車の三宅淳詞も、次のように語る。
「今年は雨のテストが多くて、データも取れていると思うんですが、実際SUGOの雨でもあまり上位にはいけなかったですし、パフォーマンスを伸ばせなかったですね」
「もう少しデータを見ていく必要がありますが、改善していきたいポイントですよね」
NISMO勢としては、ゴールデンウィークの富士戦や先月のオートポリス戦など、強烈なパフォーマンスを見せるレースもいくつかあったが、真夏の富士戦や今回のもてぎ戦など、噛み合わないレースも散見された。三宅は自分たちに「ちょっと浮き沈みがあったのかな」とした一方で、今季ここまで7戦5勝を誇るトヨタ・GRスープラについては「どんな状況下でも、安定して強い印象」と述べた。
残すは真冬の鈴鹿決戦のみ。NISMOの2台はタイトル争いからは脱落してしまったが、千代も三宅も最後にまた速さを見せたいと意気込んだ。
「チャンピオンシップは脱落しましたが、チームとしてもメーカーとしても頑張ってくれているので、勝って終わりたいですね。気持ちいいレースをして、もう1回速いZを見せられるように、しっかり準備して頑張りたいです(千代)」
「次の鈴鹿は(ノーウエイトの)ガチンコ勝負になりますが、インターバルの間にもう少し改善していき、良い形でシリーズを終えたいですね。鈴鹿では過去に3号車が勝ったりしていますが、季節も違うので分からないですし、油断せずに戦いたいです(三宅)」
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