スーパースポーツが好調な売り上げを見せる一方で、エンジン車の寿命が取り沙汰されるなど、2021年を振り返ってみればいろいろな動きがあった。いま、クルマの世界はどうなっているのか、GQ取材班が報告する。
ザ・ベーシックなクルマ(の進化)を知りたい
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2021年、新型のメルセデス・ベンツCクラスとフォルクスワーゲン・ゴルフというふたつのニューモデルが日本に導入された。Cクラスは後輪駆動セダンの、ゴルフは前輪駆動ハッチバックの、それぞれメートル原器となってきたモデルだ。クルマが100年に一度の変革期にあるとされるなかで、メートル原器はどのように進化しているのか。
Mercedes-Benz C200 AVANGARDE1982年に登場したサブコンパクトクラス、190Eを祖先とする実用セダンで、Cクラスと呼ばれるようになってからこれが5代目。従来型より全長が65mm長くなったほか、搭載するパワートレーンはすべて電動化され、エンジンだけで走るモデルはなくなった。まずセダンから日本に導入され、ステーションワゴンが追加される予定。
SPEC
全長×全幅×全高:4785×1820×1435mm
ホイールベース:2865mm 車両重量:1700kg
エンジン排気量:1496cc 最高出力:204ps/5800~6100rpm
乗車定員:5名 価格:¥6,540,000~
最新モデルのキーワードは自動運転化と電動化
真正面から見ると区別がつかないほどSクラスに近い外観が与えられた新型Cクラスであるけれど、インテリアもSクラスによく似た意匠だ。ドライバーの正面にコクピットディスプレイと呼ばれる液晶パネルが配置され、中央には大型のタッチスクリーンが鎮座するレイアウトは、CとSで共通なのだ。ただし、Cクラスを高級に見せるためにSクラスのようなインテリアにしたわけではない。
100年に一度の変革期のキーワードは「CASE」で、「コネクテッド」「オートノマス(自動運転化)」「シェアリング」「エレクトリシティ(電動化)」がキモ。となると扱う情報量が飛躍的に増えるから、タブレット端末のようなインターフェイスが必要になるのだ。「CASE」のうち、新型Cクラスで注目したいのは「A」と「E」だ。
まず「A」に関しては、従来のステレオカメラだけでなく、360度カメラシステムによる車線認識機能が加わった。これによって車線やガードレールを認識する精度が上がり、車線の中央を走るようにハンドル操作をアシストする機能が、ごく自然に作動するようになった。ドライバーがウィンカーを操作すると自動で車線を変更する機能も、同じ理由ですこぶるスムーズになっている。地道な一歩ではあるけれど、確実に自動運転に近づいている。
「E」については、ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも、48V電装システムによるマイルドハイブリッドシステムを採用した。試乗したガソリンエンジン仕様は、エンジン排気量が1.5ℓだということが信じられないほど力強く走る。しかもターボとモーターが精緻に連携して、スムーズな走行感覚とアクセル操作に俊敏に反応するレスポンスのよさも実現している。
ヨーロッパでは、新型Cクラスのプラグインハイブリッド仕様が発表されており、いずれBEV(バッテリーに蓄えた電気だけで走る、ピュアな電気自動車)も加わるはずだ。新型Cクラスに乗ると、電動化の過渡期にあることと、この状況でも運転の楽しさを追求していることの両面を感じる。
クルマを悪者にしないで、ファンを増やす
フォルクスワーゲンの新型ゴルフは、サイズや駆動方式こそ違え、「CASE」の進化の度合いに関しては新型Cクラスとほぼ同等だった。48V電装システムを基にしたマイルドハイブリッドシステムを搭載することも、先行する車両に追従しながらハンドル操作をアシストすることも共通だ。
そしてもうひとつ、快適な乗り心地と好ハンドリングを両立した懐の深い足まわりや洗練されたパワートレーンなど、「走る」「曲がる」「止まる」の基本能力が感心するほど高いことも、Cクラスと同じだった。どちらもシンプルに、いいクルマだ。「A」と「E」のそれぞれの最終目的地は「事故ゼロ」と「排出ガスゼロ」だ。どちらも、クルマを悪者にしないための技術だから、ぐいぐいと前に進める必要がある。
一方で、クルマを悪者にしないだけでなく、クルマが愛される存在であることも大事だ。今回、2台のメートル原器に乗りながら、こういうクルマをつくり続けることで、クルマはおもしろい、運転は楽しいというファンを増やすことにつながると、確信することができた。
VOLKSWAGEN GOLF eTSI1974年にデビューした初代モデルから数えて8代目となる新型ゴルフ。従来型と比べて全長が30mm長くなった一方、全幅が10mm狭くなり、全高も5mm低くなっていることが目を引く。新型ゴルフの眼目は「電動化」と「デジタル化」のふたつ。日本仕様のパワートレーンはすべて電動化され、デジタル画面の存在感が増した。
SPEC全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm
ホイールベース:2620mm 車両重量:1310kg
エンジン排気量:999cc 最高出力:110ps/5500rpm
乗車定員:5名 価格:¥2,959,000~
Photos 望月浩彦 Hirohiko Mochizuki、菊池貴之 Takayuki Kikuchi、安井宏充 Hiromitsu Yasui@Weekend、田村 翔 Sho Tamura Illustlation 遠山晃司 Koji Toyama
Words サトータケシ Takeshi Sato
Special Thanks SIP-adus試乗会事務局
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ノルマに追われたトヨタの営業マンかしら?