庶民にクルマのありがたみを享受させてくれた偉大な4台
自動車というのは人生において家についで高価な買い物といわれることもある。それでも工業製品の常で、基本的にはどんどん手に届きやすくなっているはずだ。もっとも、最近では世界経済と日本経済の成長ギャップによって国内についてはクルマの価格が体感的に上がっている印象もあるが……。
【検証】高価で手が出なかった「昭和の気になるクルマ」トップ5
それはさておき、かつてマイカーというのは夢のまた夢というくらい憧れの存在だった。現在のように、自動車ユーザーがこれほど増えるというのは100年前には想像できなかっただろう。いや、ヘンリー・フォード氏だけはそうした未来を見据えていたかもしれない。
1)フォード・モデルT
というわけで、世界の大衆車としていの一番に紹介したいのが「フォード・モデルT」である。日本ではT型フォードの名前で知られるこのモデルは、史上初めてベルトコンベヤーを用いた生産方式によってつくられた量産車でもあり、1908年から1927年までの長きにわたりフルモデルチェンジをすることなく1500万台を生産したという大ヒットモデル。マイカーを身近なものとしたエポックメーキングなクルマである。
そのエンジンは2.9リッター直列4気筒でトランスミッションはセミオートマといえる2速AT。クラッチはなく、足もとのペダルによって変速や前後進を切り替えるというユニークな操作系だった。アクセルはステアリングについており、ブレーキは足踏み式といったもので、現在の自動車とはかなり運転方法が異なっていた。
そんなモデルTは、じつは日本でも生産されていた。大正時代の1925年にフォードが横浜にノックダウン工場を作り、そこから日本向けのモデルTが供給されていたのだ。そのフォード工場の跡地は、一時期資本関係のあったマツダに譲られ、現在は同社のR&Dセンターになっているのも不思議な縁だ。
2)フォルクスワーゲン・タイプ1
まさしく国民車という意味を込めた名前のブランドが「Volkswagen(フォルクスワーゲン)」だ。その最初のモデルにして、「ビートル」の愛称で親しまれているのが「タイプ1」である。
バックボーンフレームに流線形のボディを載せた構造で、その後端に空冷水平対向4気筒エンジンを積むというパッケージは、ビートルの象徴といえるもの。けっしてユニークを狙ったものではなく、開発された時代を考えると合理的な設計といえる。なにしろ、その誕生は1938年なのだ。
そして2003年にメキシコで生産終了となるまで累計2100万台を超えるビートルが生産された。ご存知のように、これは単一モデルの四輪車としての最多記録となっている。まさに世界の国民車として愛されたのだ。
これだけの台数が出たビートルには、数多くのカスタムも登場した。なかでも日本で有名になったのは秋篠宮殿下が若かりし頃(1980年代)に乗られていた黄色いビートルのカスタムカーだろう。フォード風のフロントグリルを装着し、バナナスポークのアルミホイールも備えた立派なカスタム仕様のビートルには、当時の天皇陛下もシートに腰をおろしたといわれている。プライベートとはいえ、皇室にも愛されたのがビートルなのである。
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3)スバル360
さて、フォルクスワーゲン・タイプ1といえば、日本ではSUBARU360がスタイリングでの類似性を指摘されることが多い。そんなSUBARU360は、360cc規格の軽自動車として1958年に誕生、1970年の生産終了まで累計39万台も生産されている。まさしく日本における国民車のハシリといえる存在だ。
SUBARU360は独自のメカニズムを持っていたことでも知られている。空冷2サイクル2気筒エンジンをリアに搭載するRRというレイアウトは、ビートルとの類似性を感じさせる部分ではあるが、そのボディはモノコック構造となったいたのだ。丸っこいボディは軽量化とスペース効率を実現するためで、RRレイアウトも居住スペース外にパワートレインを置くためのロジカルな選択であった。
SUBARU360以前の軽自動車は、実質的には大人2名が乗れる小さなビジネス用途のクルマというイメージが強かったが、SUBARU360の登場により軽自動車は大人4名が乗れるファミリーカーとして使えるという風に社会認識が変わっていったのだ。まさに日本にマイカー文化を根付かせたモデルといえる。
現在ではダイハツからのOEMとして軽自動車を用意するSUBARUだが、そのルーツは軽自動車にあった。そして、SUBARU360のヒットがあったからこそ、現在のブランドにつながっているのである。
4)トヨタ・カローラ
日本の国民車といえば、現在では軽自動車のホンダ「N-BOX」になるのか、それともトヨタのコンパクトカー「ヤリス」がふさわしいのか議論になるだろうが、ながらく日本でもっとも売れているクルマだったのがトヨタ「カローラ」である。
1966年に誕生した初代カローラはライバルを凌ぐ1.1リッターの4気筒エンジンをフロントの縦置きしたFR。当時主流であったコラムシフトをあえて採用せず、4速のフロアMTを採用していたことも走りのイメージを強めることになった。そうして日本で好スタートを切ったカローラは、ホンダ・フィットがデビューするまで33年間にわたって日本でもっとも売れているクルマとして圧倒的な存在感を示し続けた。
そうした人気モデル、カローラは徐々に世界へ展開していく。カローラという名前のもとにバリエーションを増やし、モデルチェンジを繰り返してきた。数え方にもよるが現在のカローラは12代目となる。その中にはカローラ・レビン(AE86)のように多くのドライバーを育てることになったスポーティモデルも存在していた。
いずれにしても大衆車としての理想を追いかけるという開発姿勢は世界でも評価されることになる。結果としてグローバルでの累計生産台数は5000万台を超え、同一名称の自動車としては世界でもっとも売れたモデルとなっている。まさに世界の国民車なのである。
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みんなのコメント
初代カローラは数少ない尻下がりで性交した日本車。カローラレビンと言ったらAE-86よりTE-27。2T-Gは最大2.0Lまで拡大出来た(のちの4T-GT改では2.2L)が、有名なのはイナゴマル。ソレタコデュアルハイコンプで160psを発揮した。
今は昔の物語が初代ミラージュGSR。何の変哲もないSOHCエンジンでも、排気量アップが確実に速さにつながることを実証した。今はダウンサイジングターボ全盛。
「偉大なる先駆車」では、無名だがアウトビアンキ・プリムラがある。ジアコーサ式と言えば分るだろう。日本ではスバル以外FFは全てジアコーサ式だ。ジアコーサが居なかったら現在のFF全盛は無かったかもしれない。もっともN-BOXなんかは補機類を上に積み上げて重心を高くしているから、イシゴニス式でも良いような気もする。N-BOXが引っくり返らないのはESCのお陰だ。