9月21日にスポーツランドSUGOで開催された2024スーパーGT第6戦は雨が降り続け、公式練習こそ行われたものの、午後の予選は天候の回復が見込めないためキャンセルに。決勝のスターティンググリッドは公式練習のタイム順となったが、GT300トップ3チームは公式練習の走行時にどのような感触を得たのか聞いた。
■シェイドレーシング GR86 GT
「今回はクルマの調子が良く、とくにウエットのときにタイヤとのマッチングがすごく良いことは、事前のテスト(7月のGTエントラント協会主催テスト)で感じていました」と語るのは、GT300参戦3年めのSHADE RACINGに初のポールポジションをもたらした平中克幸。
スーパーGT第6戦SUGOの公式予選は天候の回復が見込めないためキャンセルに
SUGOは昨年も予選2番手を獲得している相性の良いサーキット。さらに今年の同大会はウエットという今季から装着するミシュランタイヤがもっとも得意とするコンディションになった。
平中はミシュランタイヤについて「完全なウエットコンディションは今回初めてだったのですけど、最初からグリップを感じ取ることができたので、自信を持って周回を重ねることができました」と評価。決勝への期待を続ける。
「雨で集団のなかを走行していると、前がまったく見えません。ブレーキングポイントはもちろん、路面状況すら分からない状況で走らないといけなので、そういった意味では、明日も雨が続く状況であれば、いちばん前からのスタートはかなり有利になると思っています」
ちなみに、前戦の第4戦でSHADE RACINGを悩ませたマシンの跳ねについては、原因は言えないとしながらも、第5戦の延期でできたインターバルも活かして「対策済み」とのこと。決勝も雨が続くのであれば、シェイドレーシング GR86 GTの逃げ切りが見られるかもしれない。
■SUBARU BRZ R&D SPORT
そんなシェイドレーシング GR86 GTから0.567秒差の2番手にはSUBARU BRZ R&D SPORTが続いた。ベストタイムを記録した山内英輝は「今年のダンロップタイヤさんの新タイヤがすごく良くて、良い手応えがありました」と公式練習の走行を振り返る。
「また、雨量がいちばん少ないタイミングを、チームがしっかりと計算してくれたのでタイムを出すことができました」山内。ただ、同時にシェイドレーシング GR86 GTの速さが「印象に残っている」ということも語った。
今季はここまで思うような結果が残せていないSUBARU BRZ R&D SPORTは、今回サクセスウエイト6kgということで優勝への期待もかかる。しかし山内は着実に結果を出したいと抱負を述べる。
「ここまでは流れがうまくつかめていないので、2番手スタートから良い結果を出していけるように頑張りたいところです。でも、まずは一歩一歩確実にステップを踏み、後半戦への良い流れをしっかりと掴めるようなレースに変えていきたいなと思います」
■D’station Vantage GT3
そして3番手には、SUBARU BRZ R&D SPORTとおなじくダンロップタイヤを履くD’station Vantage GT3がつけた。チームの荒重憲エンジニアは「水量が増えると厳しいような部分でも、僕たちはコースに留まることができていたので、雨量が多いコンディションでの強みは出ている感じはありました」とダンロップのウエット性能を評価する。
「ただ、ここまで気温が下がるとは思っていませんでした。走り始めに使用したタイヤは少し硬すぎたので、柔らかいほうのタイヤに変えたところ、グリップが発動しつつオーバーヒートもしない、うまいこといきました」
決勝では第3戦に続くシーズン2勝目を目指すD’station Vantage GT3だが、荒エンジニアは「うーん。コンディション次第ですかね……」と読めない天候が厄介だと語る。
「明日はスタートの時間に雨が降っていて、その後止んでいくという予報で、レース中に路面が乾くかどうか、ダンプ路面にもなるような微妙なコンディションになりそうです。そうなると勢力図はまたガラッと変わりそうのなので、ウチは『どこまで耐えられるか』というところにかかってくると思います」
「我々は給油時間が長いので、ピットタイムもそれだけ時間がかかってしまいます。コース上で頑張っても、ひょっとしたらピットストップでひっくり返される可能性もあるので、正直このまま上位で終われるかと言うと、正直厳しいと踏んでいます。本当にうまくいけば表彰台に上がることができるかもしれませんが、個人的には目指せシングルフィニッシュで頑張りたいなと思っています」
ちなみに、今回の参加条件でアストンマーティン・バンテージAMR GT3は給油リストリクターの数値が33mmから34mmに1mm拡大されている。しかし、この影響で給油時間が短縮されるかというとそうではなく、SUGOはホームストレートが傾斜している関係で燃料流速がもともと遅いため「正直、あまり効果は実感できていない」と荒エンジニア。
「ただ、流速が遅いのはどのチームも同じ話なので、ひょっとしたら相対的な流速は良くなっている可能性はあります。と言っても1秒あるかないかだと思いますが、ピット時間が短くなるとは思うので、そこは期待しています」
上記のトップ3台に加え、4番手と5番手にミシュランのStudie BMW M4とPONOS FERRARI 296、6番手と7番手にダンロップのSyntium LMcorsa GR Supra GTとGAINER TANAX Zが続く結果になった第6戦SUGOのGT300決勝グリッド。明日も不安定な天候になりそうだが、ブリヂストンとヨコハマの逆襲があるのかも見どころになりそうだ。
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