少年時代からの夢と憧れを原動力に我が道を行く!
2021年にはSEMA SHOWでの車両展示も実現
15歳の時からターボ車に憧れ、いつか所有したいと願っていたカルロス・ボニーラ。三菱3000GT(GTO)とそのOEM版であるダッジ・ステルスにも惹かれたが、「中でも一番見た目が好きだったんだ」と購入した意中のクルマこそ、Z32型のフェアレディZだった。
アメリカでは300ZXという車名で販売されたZ32は、ツインターボのVG30DETT型および自然吸気のVG30DE型V6エンジンを搭載。カルロスの目当ては、もちろん前者を搭載する300ZXターボである。
夢のクルマを手にして以来、ローダウンやカスタマイズを楽しんできたカルロスだが、最初の大きな仕事がオリジナルのボディキットを作ることだった。当初のボディカラーが黄色だったこともあって愛車にPAKMAN Z(パックマンZ)というニックネームを与え、自らデザインしたバンパーやフェンダーなどをPMZ KITとして製作。まずは外観から世界に一台の個性を表現してみせた。
そこからさらにカルロス自慢のボディキットは、現在のバージョン2へと進化。3Dアーティストのクィズィール・サリームにデザインを依頼し、さらにワイドで、フロントフェンダーに特徴的なルーバーを設けたPMZ-K V2ボディキットを完成させた。
タイヤとホイールはプロクセスR888RとSSRプロフェッサーSP1(F11.5J×18 R12.5×18)の組み合わせ。車高を全下げにした際にフェンダーとの絶妙なツラを実現する。ブレーキにはフロント6ポット、リヤ4ポットのR1コンセプト製ビッグブレーキキットを採用。
そして次に取り掛かったのが、何とエンジンスワップ。ターボに拘っての300ZXターボだったはずだが、そこにはカルロスなりの理由があった。
「Z32のエンジンルームは狭い空間にV6ツインターボを詰め込んでギチギチなんだよね。直6ターボにすればスペースも空いてクリーンだし、チューニングの要素があれば伸び代も期待できる。そう考えていたところにフリード・エンジニアリングというショップから2JZを載せてみないかと提案をもらったんだ」。
メリーランド州にあるフリード・エンジニアリングは、JZA80スープラのチューニングや2JZスワップのノウハウに長けたショップ。双方の考えが合致したことからZ32への2JZスワップが実現する運びとなったのだ。
エンジンはVVTi付きの2JZ-GTEヘッドと2JZ-GEブロックを組み合わせ、ヘッドにマシニングを施した他、ハイカムなどの強化パーツもインストール。ボルグワーナーS366タービンをカスタムマウントし、燃料にE85を使用するフレックスフューエル化も施すことで、最高出力811psを実現した。
室内はカルロス自ら作業を行い、右ハンドルへのコンバージョンを実現。ペダルはチルトンの吊り下げ式アッセンブリーを使用する。ロールケージを備えたレーシーな雰囲気ながら、ラゲッジルームにはエアサス用のタンクとコンプレッサーを装備。
ECサイトを通じて、オリジナルのPMZボディキットの販売も手掛けるカルロス・ボニーラ。ブレずに通したZ32への愛がSEMAにも通じ、SNSでは世界中のZ32好きから注目を集めていることに「我ながら信じられない」という心境。己のクリエイティビティをぶつけた結果、最高の檜舞台に立つことになったカルロス。想像すらしていなかった展開に感無量だと笑顔を浮かべた。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
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32のVG30DETTは何もしなくても充分パワフル