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3度のチャンピオン山本尚貴、スーパーフォーミュラ人生に惜別の“チェッカーフラッグ”。ライバル、そして涙と戦い抜いた31周「悔いはないです」

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3度のチャンピオン山本尚貴、スーパーフォーミュラ人生に惜別の“チェッカーフラッグ”。ライバル、そして涙と戦い抜いた31周「悔いはないです」

 現役最多3度の年間チャンピオン、スーパーフォーミュラを代表するドライバーのひとりである山本尚貴が、自身と縁の深い鈴鹿サーキットで同シリーズでのラストレースを迎えた。6位でフィニッシュしたそのレースは、涙との戦いでもあった。

 スーパーフォーミュラ参戦15年目の山本は、今季最終ラウンドを前にスーパーフォーミュラから退くことを発表。記者会見では、この決断に至った背景について赤裸々に語った。

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 山本は金曜の専有走行、日曜の第9戦予選Q1でトップタイムをマークするなど、このレースを最後に引退するドライバーとは思えない走りを見せた。ポールポジション、そして優勝は達成できなかったが、ラストレースを完走。6位入賞という形で見事に締め括った。

 レース後にはサプライズでセレモニーも行なわれ、盛大に送り出された山本。「本当に幸せなスーパーフォーミュラドライバー人生だったので悔いはないですし、サポートしてくださった皆さんに本当にお礼が言いたいです。ありがとうございました」と感謝を述べた。

 これまでのレースキャリアの中でも、エモーショナルな瞬間に涙を流すことも多かった山本。最近では、首の大怪我から復活して表彰台を獲得した今季スーパーフォーミュラ開幕戦の涙が印象的だった。

 これが泣いても笑っても、自らが愛したフォーミュラカーレースでの最後の戦い。山本は「今日の目標はポールポジションと優勝だったんですけど、それと同じくらい、レースが終わるまでは泣かないと決めてたんで(笑)」と明かす。

「何回も危ないシーンがあったし、ひとつひとつの動作に『これが最後か』と思うと、なんか寂しいなとも思いました。ただ、自分の思い出づくりのために来ているわけではないので、プロとして最後の最後まで、どうやってポールポジションをとって優勝できるかを考えたり……今まで通りにはできたと思うので、やり切ったと思います」

 プロのレーシングドライバーとして、スーパーフォーミュラでのラストレースを戦い抜いた山本だが、我慢していたものが“決壊”した瞬間はチェッカー後のクールダウンラップだったという。

「一番“来た”のは、ゴールした後に無線でメカさん、エンジニアさんが全員『ありがとう』と言ってくれた時ですね。もう自分の中で崩壊しちゃったので、泣きながら1周帰ってきました」

「これがフォーミュラカーでの最後の1周なのかと思うと、降りたくないなという気持ちで、余韻に浸りながら一周走ってきました」

 山本のスーパーフォーミュラ引退は、ファンだけでなくドライバーからも惜しまれた。マシンを降りた山本を出迎えたのは、スーパーGTのチームメイトである牧野任祐。さらに同世代のドライバーで同じくスーパーフォーミュラ王者でもある野尻智紀は、引退セレモニーの際に自分のことのように涙を流し、後のインタビューでも「辞める必要はない。まだまだ戦える」と語りながら再び泣いた。

 牧野に出迎えられた際にも、涙腺が緩んだという山本。野尻の涙に対しては「なんであいつが泣いてるのかよく分からないですけど(笑)」と苦笑しつつ、「やっぱりチャンピオンを獲った者にしか分からないプレッシャーがある中で、共感してくれている部分がどのドライバーよりも多いのかなと」と話した。

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