現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ランボルギーニは農機具メーカーだった!? 名車ミウラやカウタックの誕生背景とは

ここから本文です

ランボルギーニは農機具メーカーだった!? 名車ミウラやカウタックの誕生背景とは

掲載 更新 13
ランボルギーニは農機具メーカーだった!? 名車ミウラやカウタックの誕生背景とは

 今ではスーパーカーのイメージが強いランボルギーニですが、創立者であるフェルッチオ・ランボルギーニ氏は、農業機械、なかでもトラクターの製造・販売で成功を収めた実業家です。トラクターのエンジンに世界で初めて直噴ディーゼルエンジンを導入して成功し、豊かな財力を得ました。

■名車「ミウラ」や「カウタック」の誕生背景とは

車両価格3億9千万円! 史上最強のランボルギーニ「シアン」の驚くべき正体とは

 実業家として成功を収めたフェルッチオ氏のガレージには、当時販売されていた数々の名車を所有していましたが、どの名車を手に入れても、価格に対するその品質に対して満足していなかったといいます。

 その後、自身で自動車会社、「アウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニS.P.A」を設立、ボローニャ近郊に工場を建設しました。スタッフの何人かは、フェラーリを辞した技術者たちでした。

 その後、フェルッチオ氏の目論見は成功します。市販第1号車のFRスポーツモデル「350GT」はフェラーリを凌駕する360馬力を発揮。以降は「400GT」を発表して、ランボルギーニとフェラーリのパワー競争が勃発します。

 やがて、そんなランボルギーニに有能な技術開発陣が集まってきたことで、ミッドシップスポーツの開発プロジェクト「P400」がスタート。これが、スペインでもっとも獰猛な“闘牛の名”を冠した「ランボルギーニ・ミウラ」です。

 ミウラで成功を収め、その性能でフェラーリを凌駕したランボルギーニは、盤石な態勢を築くべく1971年にジュネーブショーで「カウンタック」のプロトタイプを発表。そして、1974年には「カウンタックLP400」として市販します。

 リアミッドに搭載したエンジンは3929ccV型12気筒エンジンで、6基のウェーバーキャブによって375馬力を発揮。

 シャシはミウラで採用されたモノコックからスペースフレームとなり、ボディサイズは全長4140mm×全幅1890mm×全高1070mm、ホイールベース2000mmになります。

 また、車重は1065kgと極めて軽量に仕上げられていました。マルチェロ・ガンディーニ氏によるエクステリアデザインは、斬新なウェッジシェイプのフォルムと、跳ね上げ式のシザーズドア、タイヤハウス近くに収納されるリトラクタブル4灯式ヘッドランプを採用していました。

 ところが、この1974年にフェルッチオが、経営の一線から退きます。ここから、BMWと提携してスーパースポーツの開発に参画するなどランボルギーニの迷走ともいえる曲折が始まります。生まれた企画は「BMW M1開発計画」です。

 また、もうひとつランボルギーニが提携事業を展開します。それは、米国軍用車メーカーと提携して生産する四輪駆動車の企画でした。

 このふたつの計画は相次いで失敗に終わり、ランボルギーニは倒産に追い込まれます。ランボルギーニは政府の管轄下に置かれ、改良型のカウンタックLP400Sだけを細々と生産することになるのです。

 その後、ランボルギーニは1981年にフランスの企業グループ傘下に入り、その経営者パトリック・ミムランが、唯一のモデルとして残ったカウンタックを、競争力のあるモデルに仕立てるように指示します。

 その頃、フェラーリは5リッターV12気筒とした「ベルリネッタボクサー(512BB)」のほか、1984年には旗艦モデルとして「テスタロッサ」をデビューさせていました。

■創立者なき状況で誕生した名車「カウンタック クアトロバルボーレ」

 フェルッチオが自動車業界から引退し、崖っぷちとも思えたランボルギーニ。しかし、1985年ジュネーブショー、ライバルであるフェラーリのテスタロッサに対抗するように「カウンタック5000QV(クワトロバルボーレ)」が誕生しました。

 ボディサイズは全長4140mm×全幅2000mm×全高1070mmと、全長と全高は初代モデルのLP500から変更されることはなかったものの、オーバーフェンダーを装着したため全幅は2mまで拡大、ホイールベースは2500mmと歴代カウンタック・シリーズのなかで、もっとも長くなりました。

 複雑に組み込まれたマルチチューブラータイプのフレームに、フロントフード、エンジンリッドをケブラー製、タイヤはフロントが225/50VR15、リアが345/35VR15のピレリP7として車両重量1490kgと発表されています。

 搭載エンジンは、先代モデルのLP500SからV型12気筒エンジンを踏襲しつつも、ストロークを75mmに伸ばすことで、ボア×ストロークを85.5×75.0mmとし、排気量を4754ccから5167ccにまでアップさせたパワートレインです。

 ツインカムヘッドはクワトロバルボーレの名前のとおり、気筒あたり4バルブに進化、圧縮比9.5とウェーバーキャブレター6基による、一気の80馬力アップの455馬力と、フェラーリ・テスタロッサを75馬力も上回るスペックを叩き出しました。

 ピンチはチャンスともいわんばかり、フェラーリというライバルを見事に凌駕したクルマを作ったのです。

 なお、ランボルギーニの曲折はこれで終わりません。クワトロバルボーレ発表の2年後の1987年、同社の経営権は仏ミムラン・グループから当時アイアコッカが指揮を執るクライスラーに移ります。

 その翌年、最後のカウンタックが発表されます。ランボルギーニ創業25周年を記念した「アニバーサリー」で、1990年にその生涯を終えます。

 その後もランボルギーニの曲折は終わらず、1993年にはインドネシアの企業傘下に入りますが、1999年には現在のフォルクスワーゲングループに移りました。

※ ※ ※

 カウンタック生産終了後は、コンセプトを引き継いだディアブロに後継の座を譲りました。トラクターメーカーから始まり、高級・高性能スーパーカーメーカーに登りつめたランボルギーニですが、決して簡単に急成長を遂げたわけではなかったようです。

 しかし、ランボルギーニといえば、誰もが真っ先に「カウンタック」の名を挙げるはずです。その存在感は未だ、健在といえるでしょう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
motorsport.com 日本版
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
AUTOSPORT web
フィアット新型「600e」と暮らしてみたら「500L」との2台体制を夢見てしまい…ファミリーカーとしてオススメの1台です【週刊チンクエチェントVol.47】
フィアット新型「600e」と暮らしてみたら「500L」との2台体制を夢見てしまい…ファミリーカーとしてオススメの1台です【週刊チンクエチェントVol.47】
Auto Messe Web
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
WEB CARTOP
東京海上日動、顧客連絡先不明の代理店を新たに2社確認 合計124社に
東京海上日動、顧客連絡先不明の代理店を新たに2社確認 合計124社に
日刊自動車新聞
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
くるまのニュース
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
motorsport.com 日本版
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
AUTOSPORT web
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
レスポンス
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
motorsport.com 日本版
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
くるまのニュース
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
レスポンス

みんなのコメント

13件
  • 俺ぁ〜 やっぱり ヤンマーが ええなぁ〜
  • 根っからの自動車メーカーって少ないと思うよ。まして今は色々な資本が入り乱れての会社経営。ランボルギーニだってもう純粋な老舗メーカーではないし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村