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宝石箱のような時代だったな…世界で熱望される「ちょい古」国産スポーツカー5選

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宝石箱のような時代だったな…世界で熱望される「ちょい古」国産スポーツカー5選

 今、ネオクラシックカー市場が熱い! ネオクラシックカーとは主に1980~90年代に製造されたクルマを指すが、この時代のクルマは、現代に通じる先端技術を採用しつつ、古き良きテイストも残した個性的なモデルが多く、2022年の現在でも高い人気を保っている。今回は、そうしたネオクラシックカーのなかから注目の国産5車種をピックアップして紹介しよう。

文/長谷川 敦、写真/トヨタ、日産、三菱自動車、ホンダ、スバル、FavCars.com、Newspress UK

宝石箱のような時代だったな…世界で熱望される「ちょい古」国産スポーツカー5選

ワイルド・スピードの主役は永遠の人気車「トヨタ A80型スープラ」

アメリカでは通算4代目のトヨタ スープラとなったA80型。映画「ワイルド・スピード」ではノーマルよりも派手な出で立ちで登場し、劇中で大活躍している

 最初に登場してもらうのは、カーアクション映画のワイルド・スピード第一作から劇中で大活躍を演じ、日本はもとよりアメリカでも人気を集めたトヨタ4代目A80型スープラだ。

 日本ではかつてセリカXXと呼ばれていたスープラは、北米では最初からこの名称で販売されていて当地のユーザーにとってもなじみの深いクルマと言える。4代目の登場は1993年で、先代から大胆に変更された顔つきと、リアにそびえる大型ウイングが印象的だった。

 エンジンは3.0リッター直6が搭載され、自然吸気タイプとターボチャージャー装着の2バージョンを用意。ターボモデルは280psという高出力を誇った。前後サスペンションには路面追従性に優れたダブルウィッシュボーン方式を採用し、大パワーを確実に受け止める足回りと、空力特性に優れたボディが80(ハチマル)スープラの総合力を高めていた。

 現役当時から人気の高かった80スープラは2002年まで生産が続けられる息の長いモデルになったが、新たに施行された自動車排出ガス規制に対応できなかったため、この年の8月に販売を終了している。なお、スープラの次世代モデルが登場する2019年まで、このA80型が最後のスープラと言われていた。

 そんな80スープラが、現在ではネオクラシックカー人気の筆頭格として注目を集めている。国内中古車市場での相場価格は419万~1088万円とかなり高額だ。新車価格は295~455万円であったことを考えると相当な高騰ぶりと言える。映画ワイルド・スピードの影響か北米での中古車価格はさらに高く、平均で日本円にして1000万円を超えるという話もあるから驚き。

2000万円超の個体もザラ!?「日産 R34型スカイラインGT-R」

R34型日産 スカイラインGT-Rのなかでも特に中古車価格が高いのが、VスペックIIニュルと呼ばれる特別仕様。程度の良い個体は5000万円に達するとも……

 以前はスカイラインのスペシャルティモデルだったGT-R。現行のR35型からは独立したモデルになっていて、スカイラインGT-R最後のモデルが1999~2002年に販売されたR34型だ。

 1989年に、スカイラインGT-Rとしては16年ぶりに登場したR32型は、シリーズ初のターボエンジン+4WDを採用し、卓越した走行性能を発揮して瞬く間にトップモデルへと昇りつめた。このR32型の最終発展型がR34型ということになる。

 プラットフォームはR32型から継承され、続くR33型で不評だったロングホイールベースを短縮。前後重量配分の改善と車体剛性の向上によって運動性能も高められている。

 エンジンもR32型で採用された直列6気筒2.6リッターターボを搭載し、最高出力も280psと変わらないものの、細かい改良によってドライバビリティのアップに成功。これらの改良によって、R33型からの大幅な総合力向上を成し遂げている。

 R34型スカイラインGT-RはGT-R神話の復活に大きく経験したものの、販売期間は1999~2002年と比較的短い。このことが現在のネオクラシックカー市場での価格高騰に影響を及ぼしている。

 現在の国内市場におけるR34型GT-Rの価格相場は1000万~5000万円超と、幅が広いうえに高額だ。特にワンオーナーで程度の良い個体にはかなりの値がついている。新車時の価格は500万~630万円だったことを考えると、その人気には驚かされる。

 80スープラ同様に、R34型GT-Rも映画ワイルド・スピードの劇中で活躍しており、アメリカでも4000万円を超える価格で取り引きされているという。

“ランエボ”シリーズの21世紀初号機「三菱自動車 ランサーエボリューションVII」

ランエボ7代目となる三菱 ランサーエボリューションVII。先代のVIに比べるとスタイリングは若干おとなしくなったが、過激な走行性能はより進化していた

 三菱のランサーをベースにしたスペシャルモデルがランサーエボリューション。もともとはWRC(世界ラリー選手権)に出場するためのホモロゲーション(公認)取得用に開発されたのが“ランエボ”で、ラリーを想定したさまざまなチューニングが施されていた。

 このランエボは市場でも歓迎され、1992年の初代登場から最終型となったX(10)まで、長期間に渡って続くシリーズとなった。

 そうしたランエボのなかでも、近年になってネオクラシックカーの注目モデルになっているのが7代目にあたるランサーエボリューションVII(7)だ。

 ランエボVIIもまた、映画ワイルドスピードシリーズの第2作、ワイルド・スピードX2で主人公の愛車となって大活躍したマシンであり、そのことからアメリカをはじめとした世界各国で人気が高い。

 2001年に登場したランエボVIIは、前年にデビューしたランサーセディアがベースのモデルであるが、WRCの規定変更などに伴って、ラリーでの性能を追求した先代までとは異なる立ち位置のモデルなのが特徴のひとつ。

 それまでのランエボに比べるとややおとなしめのルックスになったものの、状況に応じて前後輪の作動を電子的に制御するACD(電子制御可変多板クラッチ機構)を採用し、2.0リッターターボエンジンが280psを叩き出すなど、走行性能は申しぶんないものだった。

 ランエボVIIは次代のVIIIが登場した2003年まで販売されたが、近年になって人気が上昇。現在の中古車価格は87万~950万円と、程度の良いモデルはやはりかなり高額になっている。ちなみに新車時の価格は299万~540 万円だった。

正統派スポーツの価格は急上昇!「ホンダ S2000」

ホンダがS800以来29年ぶりに登場させたFRスポーツカーのS2000。リリースは1999年で大きな注目を集めたものの、商業的には成功作になれなかった

 現役時代は期待されたほどの売り上げを残せなかったにもかかわらず、廃番となってから一気に人気が上昇するクルマは意外に多い。ホンダが1999~2009年に販売していたオープンスポーツカーのS2000もそんな一台だ。

 ホンダが創立50周年を記念して製作したクルマが、同社では29年ぶりとなるFRスポーツのS2000。スポーツカーでは伝統的と言えるオープン2シーターで、ロングノーズでスリムなフォルムもファンから高い評価を得ていた。

 もちろん、走りについても抜かりはなく、ルーフのないオープンスタイルながら十分な剛性を確保したボディに、250psを発生して低回転からトップエンドまで小気味良く回る2.0リッター直4VTECを搭載。4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションがそのパワーをしっかりと受け止め、これぞスポーツカーといった走行性能を発揮した。

 このように質実剛健で、メーカーでも力を入れていたS2000だったが、国内での販売は思うように伸びず、生産10年間での出荷台数は2万台にとどまっている。このS2000も映画ワイルド・スピードX2で活躍したクルマであり、世界での人気も高かった。しかし、それが現役時代の売り上げにはつながっていない。

 だが、ここにきてS2000の中古車価格が上昇傾向にある。2020年には約250万円だった中古車の平均価格が翌2021年には約330万円に上がり、2022年9月現在では400万円近くになっている。国内での最高価格は1100万円で、新車時の約2倍に跳ね上がっているのだ。

 これほど中古車価格が高騰しているのは、S2000が再評価されている証拠とも言えるが、少々上がりすぎにも思えてくる。果たしてこの価格上昇が落ち着く日は来るのだろうか?

高性能モデルの人気は世界規模「スバル 初代インプレッサ STiバージョン」

初代スバル インプレッサの最強仕様と言うべき22B STiバージョン。限定400台生産のため中古車市場の流通数が少なく、4000万円もの値がついた個体もある

 最後に紹介するのは、スバル インプレッサのスペシャルバージョンとなるSTi。インプレッサ自体は現在でも続いているモデルだが、今回ネオクラシックカーとして注目したいのが1992~2000年に販売された初代のSTi仕様だ。

 インプレッサはスバルの世界戦略を担うCセグメント(5ナンバーフルサイズに該当)モデルとして開発され、スバルお得意の水平対向4気筒エンジンを搭載。FFモデルも用意されたが、本命はこれもまたスバルが得意とする4WDだった。

 このインプレッサをベースに、WRC参戦を想定して開発された高性能モデルがWRX STiであり、STiとはスバルのモータースポーツ部門「スバルテクニカインターナショナル」を意味している。

 初代インプレッサのSTiにはいくつかのバリエーションが存在するが、特に人気が高いのが、1998年に販売された22B STiバージョン。このモデルはスバルのWRC3連覇を記念して作られたもので、生産台数も400台という貴重な仕様。

 新車価格でも500万円と高額だった22B STiバージョンだが、現在でもその人気は高く、程度極上の個体がなんと4000万円で取り引きされた記録もある。これは極端な例だが、その他の仕様の初代インプレッサSTiバージョンの中古車価格相場も約130万~740万円と高値なのは間違いない。

 ワイルド・スピードで火がついたアメリカでの日本製ネオクラシックカーブームだが、インプレッサについてはラリーの盛んなヨーロッパでの人気が高いのも特徴と言える。

 製造から50年を超える骨董品レベルのクラシックカーに比べれば状態が良く、電子制御技術も採用されているため現在でもハイレベルな走りを味わえるネオクラシックカー。その人気が加速することはあっても、落ちることは当分なさそう。現在いずれかのネオクラシックカー購入を考えているなら、ここらで思いきらないと、将来になって後悔するかもしれない。

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