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2024年版 カッコよくて実用的なステーションワゴン 10選 多用途に使える「合理的」な1台

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2024年版 カッコよくて実用的なステーションワゴン 10選 多用途に使える「合理的」な1台

速くて便利、おしゃれなステーションワゴン

実用性、乗り心地、動力性能、インテリアの質感などさまざまな観点から、今最も注目したいステーションワゴンを10台紹介する。

【画像】えっ、こんな「ステーションワゴン」もあったのか!【ジェネシスG70シューティングブレイクを写真で見る】 全19枚

「ステーションワゴン」というジャンルは最近、特に過小評価されているように思う。SUVと同等の多用途性と、セダンに匹敵するシャープなダイナミクスを併せ持つ非常に “合理的” なクルマであるが、残念ながらSUV人気の影に隠れるようにして存在感を発揮できていない。

北米はもとい、日本でもかつてほどは目立たなくなってきた。しかし欧州では、SUVがトレンドの中心となっている今でも人気は根強く、実用的なモデルから華麗なシューティングブレイクまで幅広い選択肢がある。

欧州市場のステーションワゴンは、快適な乗り心地、燃費の良さ、スーパーカーのようなパフォーマンスとハンドリングなど、さまざまなニーズに合わせた1台が用意されている。中には、これらすべての特徴をうまく組み合わせたモデルさえある。実に個性豊かだ。

今回は、そんな欧州市場から特に優れた10台をピックアップした。

1. BMW 5シリーズ・ツーリング

長所:スタイリッシュなキャビン、パワフル、洗練されたインフォテインメント
短所:硬い乗り心地、BMWらしいハンドリングの魅力に欠ける

あらゆる分野を幅広くカバーするクルマとして、BMW 5シリーズ・ツーリングの右に出るものはいない。エレガントなスタイル、魅力的な走り、多用途に使える広さ、そしてユーザーの利便性を追求した機能群を備えた、多才なドイツ車である。

ラゲッジ容量は560Lと平均的なものだが(PHEVモデルでは430L)、荷室の形状はよく、開閉機構付きのリアガラス(ガラスハッチ)により狭い場所でも小さな荷物の積み降ろしが簡単だ。40/20/40の分割式リアシートを格納すれば、最大1700Lの大容量になる。

リアアクスルにはエアサスペンションが用意され、重い荷物を積んだときのセルフ・レベリング機能と、アダプティブダンパー(オプション)との組み合わせにより快適性を高めている。

それでいて、BMWの「駆けぬける歓び」というスローガンが崩れることはない。肉厚なステアリングと高い敏捷性によって、ボディサイズや質量をうまく隠している。

高性能のM5ツーリングのほか、繊細かつホットなアルピナB5ツーリングもある。ただし、どちらもトランクをいっぱいにするほどの資金が必要だ。

2. ダチア・ジョガー

長所:トップクラスのコストパフォーマンス、使い勝手の良い3列目シート、経済的なエンジン
短所:セーフティシステムがフル装備ではない、乗員の居住空間が広くない

ルーマニアの自動車メーカーでルノー傘下のダチアが欧州市場で販売するジョガー。日本では無名のモデルだが、果たしてこれはステーションワゴンなのか、ミニバン(MPV)なのか、あるいはSUVなのか、触れた人によって意見が分かれると思う。確かに7人乗りで車高もそこそこ高いが、筆者はステーションワゴンだと捉えている。

ここ数年の生活費の高騰を考えると、ダチア・ジョガーは特に歓迎すべきモデルだ。一般的なハッチバックよりもかなり安い価格で、使いやすい3列目シートと広い室内空間を実現している。

安いからと言って、快適な乗り心地を犠牲にしているわけではない。確かに、内装のプラスチックは硬く、肌触りのいいレザーシートもないが、ファブリックやアルミ調トリムをうまく使うことで好印象に仕上げている。

上級グレードにはシートヒーター、クルーズコントロール、ナビゲーション、そして機能的なインフォテインメント・システムが追加される。インフォテインメントは高価な他車よりも使い勝手が良い・

搭載される1.0Lガソリンエンジンは決してパワフルではないが、キビキビと決まる6速MTのおかげで十分に道を切り開く。イチオシは質素なガソリン車だが、どうしてもATが必要なら、非常に優れた経済性を発揮するハイブリッドがお勧めだ。

ソフトなサスペンションで乗り心地は良いが、全体のバランスに優れ、曲がりくねった道でも運転を楽しめる。欧州の安全性評価機関ユーロNCAPで「1つ星」の最低評価を受けてしまったが、これは決して “危険な乗り物” というわけではない。一部のアクティブ・セーフティ・システムがないことから減点となったが、衝突時の乗員保護性能は他車と遜色ないレベルだ。

ダチア・ジョガーは、比較的安価な価格で多くの楽しさを提供してくれる、陽気で快適なパッケージである。高級車とは正反対だが、好きにならないわけがない。

3. ジャガーXFスポーツブレイク

長所:価格の割にプレミアム感がある、クラスをリードするハンドリング、しなやかな乗り心地
短所:後部座席が狭い、オプションが高価

XFスポーツブレイクは2021年初頭の改良で、インテリアの見直し、エンジンラインナップの縮小、そして値下げが行われ、魅力が大いに高まった。ディーゼルの後輪駆動車「D200」は、英国では4万ポンド(約760万円)強で販売されている。これは、6万ポンド台が当たり前となっている他の高級車ブランドと比べると衝撃的な価格設定である。

排ガス規制の影響により、悲しいかな、6気筒エンジンは失われてしまった。しかし、間違いなくクラス最高のハンドリングを誇る。ジャガーらしい重みのあるステアリングとレスポンスのおかげで、方向転換も美しくこなす。

上級グレードにはFタイプと同じ最高出力300psの2.0Lガソリンエンジンと全輪駆動が装備され、全天候型ファミリーカーとして素晴らしい能力を発揮する。インテリアの質感とインフォテインメント・システムも、ジャガーというブランドにふさわしいものだ。

XFスポーツブレイクは、ジャガーの伝統的な価値観である「Space, Pace and Grace(広さ、速さ、優雅さ)」を十分に備えている。

4. BMW 3シリーズ・ツーリング

長所:優れたドライビング・ダイナミクス、世界トップクラスのパフォーマンスと経済性、便利なガラスハッチ
短所:高価に思える、器用とは言えないトランスミッション

5シリーズの弟分である3シリーズ・ツーリングは、長所をそのままコンパクトなパッケージに凝縮したステーションワゴンである。待望のM3ツーリングも登場し、オールラウンダーとしての地位を確立した。

Mモデルに手が届かなくても、グレードを問わず多くの魅力が散りばめられている。軽快感、ドライバーとクルマの一体感、そして適度なサイズ感によって、どんなに曲がりくねった道路でも落ち着いて走り抜けることができる。

乗り心地は比較的硬めだが、全体のソリッド感と洗練性により長距離走行でも快適だ。インテリアの質感は高く、5人乗車時で500L(PHEVモデルは410L)のトランクを誇る。また、便利なガラスハッチ、多数の収納スペース、コンビニフックなども装備されている。

2022年の改良では、巨大な曲面スクリーンが採用された一方で、物理的なコントロール(操作系装置)がかなり廃止された。BMWの最新OSは完璧ではないが、少なくともロータリー・コントローラーは多くの操作を助けてくれる。

5. シトロエンC5 X

長所:しなやかでソフトなサスペンション、充実したインテリア、経済的なパワートレイン
短所:もどかしいブレーキフィール、時折ギクシャクするAT、衝撃吸収性能はやや期待外れ

シトロエンC5 XはクーペのスタイルとSUVのスタンス、そしてステーションワゴンの多用途性を併せ持つ華やかなフランス車で、実用性に対する独自の解釈を見せてくれる。見慣れたステーションワゴンとは少し異なるクルマだ。

外見からも快適性を最優先していることは明らかである。ソフトなサスペンションは不安定になることもあるが、基本的にはしなやかでイージーな足取りを持ち、シートの座り心地とサポート性には目を見張るものがある。ボディの動きは大きいが、軽快かつ正確なステアリングと安定したグリップにより運転操作はほとんど苦にならない。

派手な外観とは裏腹に、インテリアはしっかりとした作りで広い。トランクも大きく、5人乗車時で540Lの容量を誇る(PHEVモデルでは485L)。

PHEVモデルの経済的なメリットはそれなりに大きく、C5 Xの中で快適性が最も高い。1.6Lのガソリンモデルも、その静かな走りとトルクはC5 Xのキャラクターによく合っている。ただし、やや不機嫌な8速ATには苦戦させられることもある。

6. メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン

長所:615Lの大容量トランク、高機能な車載システム、PHEVモデルの効率性の高さ
短所:価格が高い、PHEVモデルではトランクが狭い

Eクラスに家族を乗せるとしたら、セダンよりもステーションワゴンを選びたい。40/20/40分割可倒式リアシートを折りたたむと、1820Lの広大なフラットフロアが出現する

荷室形状もよく、低いフロア高や電動テールゲートなど、扱いやすい工夫が施されている。ただし、PHEVモデルでは大型バッテリーを搭載する必要があるため、トランク容量は460~1675Lと小さくなってしまう。

最新のEクラス(W214、ステーションワゴンはS214)では、スクリーンとハイテクを重視したデザインとなっている。上級グレードには、中央と助手席用のスクリーンが統合される「スーパースクリーン」が用意される。機能性は十分で、内装材も概して高級感がある。

ステーションワゴンにおけるリアのエアサスペンションは、乗り心地というよりもセルフ・レベリング機能を目的としたものだ。

弊誌は本稿執筆時点で2.0L 4気筒ディーゼルの「E220d」しか試乗できていないが、非常に洗練されていると同時に、非常に経済的であることがわかった。

7. フォード・フォーカス・エステート

長所:軽快で遊び心のあるシャシー、楽しいドライブライン
短所:高速道路での経済性が低い、地味で安っぽいインテリア

日本では馴染が薄いかもしれないが、何十年もの間、フォードの中型車(エスコート、フォーカス)はファミリーカーとして「定番」の地位を築いてきた。しかしSUVの台頭により、フォーカスは疎外されつつあり、2025年の生産終了後は後継車の計画もない。

正直、弊誌はフォーカスをかなり気に入っている。プジョー308 SWのようなプレミアム感はないが、ドライビングやクルマを操ることが好きな人にとっては数少ない選択肢の1つとなるだろう。

フォーカスはマイルドハイブリッドの1.0L 3気筒エンジンを搭載し、仕様によって6速MT付きの最高出力125psと、7速DCT付き155psのバージョンがある。

どちらも優れているが、弊誌は安価なMTにこだわりたい。高性能というわけではないが、とてもナチュラルで満足のいくドライビング体験を提供してくれる。また、長期テスト車として155psのDCTを走らせたところ、平均燃費24.6km/lを記録し、マイルドハイブリッドのガソリン車としてはかなり印象的だった。

最近の改良では、巨大なマルチメディア・スクリーンが導入された。残念ながら物理的な空調コントロールは廃止されてしまったが、実を言うと、機能性は十分高い。

フォーカス・エステートは実用的でもあり、外見上の威圧感はない。トランク容量は608Lで、後部座席をフラットに折りたたむと1653Lになる。単に大きいだけでなく、脱着が簡単なカバーなどの実用的な機能もある。

ホットハッチがお望みなら、最高出力280psのフォーカスSTも用意されている。

8. トヨタ・カローラ・ツーリング

長所:優れた経済性、驚くほど優秀なハンドリング、快適な乗り心地
短所:「マニュアルモード」は形だけ、内装材の質感が残念、貧弱なインフォテインメント

かつてトヨタ・カローラは、単調な移動手段の代名詞的存在だった。耐久性と信頼性に優れているが、平坦で魅力に乏しいクルマだった。しかし、第12世代の現行型は、これまでの長所をすべて備えつつ、スタイルと走りの魅力度が大幅にアップしている。

TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)により上質な乗り心地とハンドリングのバランスに恵まれ、走りが楽しい、快適かつ洗練されたクルマに仕上がっている。

パワートレインはハイブリッドのみの設定だが、欧州では1.8Lと2.0Lを選べる。1.8Lハイブリッドは2023年の改良で最高出力140psにパワーアップし、十分なパフォーマンスを備えている。2.0Lハイブリッドは最高出力195psとさらにパワフルで、軽快な走りが楽しめる。

性能重視のマシンではないが、いずれも経済性は良好だ。その点、1.8Lは交通量の多い一般道では驚くほど低燃費だが、高速道路での移動が多いなら2.0Lの方がいいかもしれない。

インテリアは高級と言える水準には達しておらず、インフォテインメント・システムも精彩を欠いているが、適度な広さがあり、タフに作られている。トランクも広く、低いフロア高と適切な荷室形状を特徴としている。

なお、1.8Lハイブリッドのトランク容量は696Lだが、2.0Lハイブリッドではバッテリー配置の影響で581Lとなっている。1.8Lの方が広くて実用的、かつ経済的なのだ。いずれにせよ、現代のカローラはさまざまな魅力を備えている。

9. アウディA6アバント

長所:高級感あるインテリア、経済性の高さ、快適な長距離クルーザー
短所:クラストップレベルに狭い室内空間、タイトな後部座席

アウディのA6アバントは、Eクラスの新しさや5シリーズのドライビングの楽しさには叶わないが、それでも多くの魅力がある。

欧州では4気筒ガソリン、ディーゼル、PHEVの各種パワートレインが用意され、ドライビング・ダイナミクスでBMWを追いかけるのではなく、機械的な洗練と快適性を重視している。

インテリアは広々としていて高級感があり、時間を忘れてくつろげる。マルチメディアの触覚フィードバックは不器用だが、反応は素早く、空調コントロールには個別のスクリーンが用意されているため比較的使いやすい。

実用性の面でも高く評価できる。トランクの開口部は適度に広く、565Lの容量がある。ルーフの角度によって背の高い荷物は積み込みづらいが、開口部に厄介な敷居がないため重い荷物を運ぶのには便利だ。40:20:40分割可倒式リアシートを折りたためば、1680Lに拡大される。

速く走りたければ、高性能のRS6アバントがある。欧州仕様のS6アバントはV6ディーゼルを搭載する “変わり者” だが、RSのV8ガソリンは素晴らしいパワートレインであり、M5ツーリングやE 63ステーションワゴンのような複雑なハイブリッドシステムもない。

RS6アバントはダイナミクスも優れ、アウディ史上最高の速さを誇る。BMWのMモデルのような派手さはないが、リアバイアスとよく調整された四輪操舵(4WS)システムと相まって、十分な安定感があり、楽しませてくれる。

10. ジェネシスG70シューティングブレイク

長所:個性的なエクステリア、魅力的なインテリア、日常での多用途性
短所:セダンタイプよりうるさい、高速走行時にトランスミッションが苦戦する、4気筒エンジンは平凡

高級車ブランドの新参者であるジェネシスは、いま本気で欧州市場に目を向けている。その証拠となる1台がG70シューティングブレイクだ。グローバル向けというよりも、欧州に焦点を当てて開発されている。

シューティングブレイクという名の通り、実用重視のステーションワゴンというよりは見た目を重視したデザインだが、トランク容量も465Lと決して粗末なものではなく、最大1535Lまで拡大できる。後部座席はやや窮屈だが、それ以外は広々としていて、装備も充実し、高級感がある。

欧州ユーザーの嗜好に合わせて、サスペンションにも多くの努力が注がれている。G70セダンよりも足取りがしっかりしていてコントロール性が高く、ステアリングも正確で、アグレッシブに走らせてもバランスよく弾けるような感覚がある。

しかし、エンジンには難点がある。4気筒のディーゼルとガソリンはいずれも力強いが、燃費は期待されるほどではなく、洗練性もライバルに及ばない。それでも、個性あふれる選択肢として一見の価値がある。

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