クルマ好きの夢が詰まったコンセプトカーの数々
自動車メーカーによるF1参戦を「走る実験室」などと呼び、F1テクノロジーのフィードバックを市販車に期待する(させる)ブランディング手法がある。実際、ホンダのF1プロジェクトはエンジニアの育成に大いに役立っているという。事実、現在のF1パワーユニットのプロジェクトリーダーである本田技術研究所の浅木泰昭 執行役員は、若き日にホンダの第二期F1プロジェクトにおいてエンジン開発に関わったのち、そこでの経験を活かして、初代オデッセイのエンジン開発に関わり、さらに初代N-BOXの開発責任者も務めるなど市販車においても歴史に残る名車を生み出してきた。
その一方で、F1と技術的に直接つながるような機能やメカニズムを求めたくなるのも自動車ファンの偽らざる気持ちだろう。実際問題としては、F1のエンジンというのは耐久性やパワー特性からそのまま市販車に載せるというのは現実的ではない。しかし、そうした夢を目指した“コンセプトカー”というのは過去にいくつも存在している。
1)いすゞ・コモ
たとえば、1991年の東京モーターショーにいすゞが出した「コモ」というコンセプトカーはスポーツカーとピックアップトラックが融合したようなスタイリングを持っているが、そのパワートレインは3.5リッターV12エンジンで、ミッドシップに搭載するとなっていた。このプロフィール、当時のF1レギュレーションを知っていればピンと来るように、まさにF1エンジンそのもの。
しかも、いすゞは「P799WE」というF1レギュレーションに合致したレーシングエンジンを試験的に製作していた。実際、1991年のシーズン途中にはロータスのシャシーに載せたテスト走行も実施されたほど“ちゃんとした”F1エンジンだった。モーターショーのコンセプトカーでは、このエンジンを載せたということは明言されなかったが、タイミング的に、「P799WE」の搭載を想定していたことは間違いなく、F1エンジン搭載のクロスオーバーモデルという非常にユニークなコンセプトがいまも記憶に残る。
なお、現在「COMO(コモ)」という名前は、日産からOEM供給される商用1BOX「キャラバン」のいすゞ版の名前として使われていたりするからおもしろい。
※コモ公式ホームページ(https://www.isuzu.co.jp/museum/conhis/como.html)
2)ジオット・キャスピタ
1991年に、いすゞがF1エンジンを試作したのは研究目的だったが、そうした遊び心のある研究に予算がついたのは、当時の日本がバブル期だったからにほかならない。そしてバブル期を象徴する異業種によるスーパーカープロジェクトが「ジオット・キャスピタ」だ。
下着メーカー、ワコールの出資によるプロジェクトで生まれたスーパーカーの心臓部として選ばれたのは、スバルがモトーリ・モデルニと共同開発した水平対向12気筒エンジン。このエンジン、実際に1990年シーズンにF1マシンに搭載され、実戦投入されている本物のF1エンジン。もっとも、当時はエントリー台数が多く、本選出場をかけた予備予選というものがあり、スバルF1エンジンを載せたマシンは一度も予備予選を通過できず、本選での実績は残していないのだが……。
そうした経緯もあって水平対向12気筒エンジンを積むという計画は頓挫し、キャスピタ自体はジャッドV10エンジン(こちらもF1由来のレーシングエンジン)を搭載するという風に計画変更。公道走行可能な個体も製造されたが、市販化には至らなかった。
ついに本物の「ロードゴーイングF1」が誕生!
3)ヤマハ・OX-99-11
バブル期には、もうひとつロードゴーイングF1というべき商品企画が進んでいた。こちらはF1にエンジンを供給していたヤマハ発動機が主体となったもので、F1用V12型エンジン「OX-99」にちなんで「OX-99-11」という車名がつけられたスーパースポーツだった。
中身はフォーミュラのような形状のカーボンモノコックで、そこに個性的なボディカウルをかぶせたもので、ドアは跳ね上げ式が1つ付いているのみ。車名の最後が「11」となっているのは、おそらくタンデムの2名乗車パッケージとなっていることを示すものだが、現実的にはセンター配置されたシングルシーターといえるもので、まさしくロードゴーイングF1というべきプロジェクトだった。こちらもバブル崩壊によってプロジェクトは凍結され市販に至らなかったが、現在もヤマハ発動機には複数の車両が保存され、イベントなどで見ることができる。
4)ルノー・エスパスF1
ここまで日本におけるロードゴーイングF1的プロジェクトを紹介してきたが、フランス・ルノーの作った「エスパスF1」は、ほとんど遊び心だけで生まれたコンセプトカー。
エスパスというのは欧州初のミニバンで、その開発には米クライスラーの影響を受けている。実際の開発においては、いまはなき仏・自動車メーカー「マトラ」が中心的に関わっていた。そして、その商品企画をルノーが採用してエスパスが生まれたという経緯がある。このエスパスF1は、ルノーとマトラの提携10周年記念で作られたコンセプトカー。当時、ウィリアムズ・ルノーF1が積んでいたV10エンジンをミッドシップに搭載、車内には4脚のバケットシートが置かれていた。
当時のF1パイロット、アラン・プロスト氏によるテスト走行などプロモーションでは活躍したが、もとより完全に市販の意図はなかった。それでも史上最速のミニバンとして、いまも伝説となっている。
5)AMG・プロジェクトONE
最後に紹介するのは、現在進行形のF1エンジン搭載ハイパーカー。それがメルセデスAMGによって開発が進められている「ONE」だ。日本では2017年の東京モーターショーにおいて「プロジェクトONE」として発表されたハイパーカーは、F1譲りの1.6リッターV6エレクトリックターボエンジンとハイブリッドシステムによってシステム最高出力1000馬力を発生するというモンスターマシン。
その内訳は、リヤを駆動するV6エンジンとクランクシャフトに直結されたモーターによって約680馬力、フロントは左右それぞれに約160馬力のモーターが配され、前輪合計で320馬力を発生。すなわち、合計1000馬力のシステム最高出力になるというものだ。つまり、F1由来のエンジンは積んでいるが、パワートレインの構成としては完全に別物で、モーターレイアウトからするとホンダNSXに近いといえる。
とはいえ、3億円を超える価格となっており、完全に別世界の乗り物だ。本来であれば、すでにデリバリーされている予定だったが、新型コロナウイルスの影響によりプロジェクトに遅延が発生しているという。とはいえ、年内には世界のどこかでは公道デビューを果たすはずで、ついに本物の「ロードゴーイングF1」が誕生する日は間近に迫っている。
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