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初の通常フォーマット戦で、テスラのエースが予選と決勝2ヒートを獲り週末完全制覇/STCC第2戦

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初の通常フォーマット戦で、テスラのエースが予選と決勝2ヒートを獲り週末完全制覇/STCC第2戦

 新型BEV(バッテリーEV)ツーリングカーによる新たな時代の幕開けを迎えた2024年のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権第2戦が、6月28日~29日にユンビヘッド・モートルバナで開催され、ここで電動化時代初の通常フォーマット戦へと回帰。戦前から数多くのラインアップ変更が生じるなか、今季より『テスラ・モデル3』を投入するトビアス・ブリンク(ブリンク・モータースポーツ)が、週末で2回のポールポジションと2度の勝利を獲得し、エースの重責を果たす活躍を演じている。

 土砂降りの雨のなかで実施されたヨーテボリ市街地特設トラックでの開幕戦を経て、シリーズはパーマネントコースでの勝負に移行。そのオリンピック公園内臨時トラックではレース・オブ・チャンピオンズ方式の“Head 2 Head(ヘッド・トゥ・ヘッド)”方式で争われたフォーマットも、決勝2ヒートに向けた2回の公式練習と予選2セッションという通常のタイムスケジュールが組まれた。

電動新時代キックオフ、歴史的初勝利を“失格”剥奪のダールグレンが復讐の日曜快勝劇/STCC開幕戦

 しかし、この週末を前に陣営内でドライバーの変更や車両スイッチが頻発し、当初計画の『BMW i4』に加え、新たに『フォルクスワーゲンID.3』の3台も引き受け異車種6台体制へと拡大したエクシオン・レーシングでは、2022年KZカート世界チャンピオンの20歳、ヴィクトル・グスタフソン(フォルクスワーゲンID.3)が先の週末にイタリアでのカートイベント中にクラッシュを喫して肋骨を骨折。

 さらに僚友カッレ・バーグマン(BMW i4)も異なるスポーツイベントで鎖骨を骨折し、前者は代役を立てず。後者は元STCC経験者で現在はシリーズの最高経営責任者(CEO)を務めるミュッケ・ベルンが代役を務めるという“禁じ手”の解決策を採った。

 そのうえでチーム内では、現ポルシェ・カレラ・カップ・スカンジナビア王者のオラ・ニルソン(フォルクスワーゲンID.3)の欠場により、こちらも元STCCレギュラーのリナス・オーソンがクルマを引き継ぎ、そのオーソンが乗る予定だったBMWのシートには、19歳の新鋭ジョナサン・エングストロムが起用された。

 こうして始まった週末は、乗り手交代のドタバタ劇を経験していないブリンク・モータースポーツ陣営と、盟主ロバート・ダールグレン(PWRクプラ・スウェーデン/クプラ・ボーン)が牽引する展開となり、テストセッションではブリンクとダールグレンがトップタイムを分け合う。

 セッション開始の約1時間前に激しい雨が降ったものの、レコードラインがほぼ乾いた状態となった予選では、テスラのエースが奮起して2回の予選セッションを制し、両レースでポールポジションを獲得。ここでチャンピオンシップポイント10点を加算してみせる。

■ふたつの多重クラッシュが発生 

 迎えた土曜午前のレース1は、開幕勝者のチームメイトであるジミー・エリクソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)の襲撃を受け、サイド・バイ・サイドの状態でターン1に突入したブリンクが僚友との接触により車速を失うと、ここで「予選ではターン8のウエットパッチでタイムを失っていた」と明かしたダールグレンが棚ぼたの展開でトップに立つ。

 しかし、すぐさま反撃に転じたブリンクは、わずか数コーナーでクプラからトップの座を奪い返し、そのまま後続に5秒近く差をつけてのBEV時代初優勝を飾った。

 続く午後のレース2ではスタート直後に多重クラッシュが発生し、マンツ・タリン(エクシオン・レーシング/BMW i4)が起因となりアクセル・ベングトソン(PWRクプラ・スウェーデン/クプラ・ボーン)に追突。その余波でエースのダールグレンがコースアウトを強いられスピンを喫し、このアクシデントの責任で両名に5秒加算のペナルティ裁定が下る。

 さらなる混乱はターン2でも続き、代役出場の“シリーズCEO”がまさかの発端となり、エリクソンのテスラとオーソンのID.3を巻き添えにしてリタイアに追い込み、ここでセーフティカーが導入される。

 こうした混乱もどこ吹く風。リスタート以降も首位を守り抜いたブリンクは、僚友ミカエル・カールソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)と新鋭エングストロムのBMWを従え連勝。この結果、ダールグレンに2ポイント、カールソンに7ポイント差をつけ選手権首位に浮上した。

「獲得ポイント満点の意味でも、素晴らしい週末だった」と満足げな表情を浮かべたブリンク。

「この2戦ともに非常に厳しいレースで、バックミラーで混乱しているように見えても自分のレースに集中しようとしていた。地元で結果を出すのはいつも素晴らしいことで、僕らは今、とても速いクルマを手にしている」

 一方、シリーズ開催延期の2023年を跨ぎ前年度2022年の王者であるダールグレンは、予選でのペース不足とレース2での混乱から挽回を強いられた複雑な状況を嘆いた。

「レース1はコンタクトこそ多かったが、そこそこ楽しめた。でもレース2では本当の混乱に巻き込まれた。蹴り出しからプッシュ・トゥ・パスを使用して(ポールシッター)ブリンクのアウト側を狙ったが、後ろからぶつけられた。プレシーズンテスト後の状況を考えると、これでもまずまずと言わなくちゃならないんだろうけどね」とダールグレン。

 初開催のパーマネントコースでは、BEVによる回生ブレーキの影響か、王者の懸念どおりブレーキングで目測を誤ったりコントロールを失う車両も散見された新生STCCシリーズ。続く第3戦は、8月23日~24日にヘルシンボリの市街地戦にて、通常フォーマット採用で争われる。

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