もくじ
ー 特別な存在 特別な瞬間
ー DB5とヴァルキリーも登場 報われた株主
ー 長いゲームの始まり 株価に一喜一憂せず
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特別な存在 特別な瞬間
ロンドン証券取引所の1階で、CEOのアンディ・パーマーと100人ものアストン マーティンの熱狂的ファンとともに、アストンが上場企業としての歴史を紡ぎ始める午前8時をエントランスホールの時計が告げるのを待ちながら、どんな魔法がこの唯一無二ともいえる企業を特別な存在にしているのかと考えていた。
この105年の歴史をもつ自動車メーカーが、ロンドンの倉庫から優れたレーシングカーを送り出し、得意としたヒルクライムにちなんだ名前を付けたことがその理由だろうか? それとも、これまで7度も破綻の危機に瀕しながら、彼らだけが、そのたびにアストンの価値を知るひとびとに助け出されてきたという歴史だろうか?
さもなければ、収益性を確保できずにいた時代には1ポンド以下の価値しかないと言われたこの企業が、いまや40億ポンド(5758億円)もの評価額とともに、ロンドン証券取引所へと招待されているという事実が、このメーカーを特別なものにしているのだろうか? 個人的には、なんと言ってもこの株式公開がもっとも注目に値する。
この記念すべき1日は、早朝6時40分にパーマーとアストン経営陣が8時の上場に備え滞在しているロンドンのパークレーンにあるホテルから始まった。数カ月前には、イタリアとクウェートのアストン主要株主が、上場に際して25%の株式売却の意志を示しており、当初は大規模機関投資家と協議を行ったものの、10月8日には個人投資家の参加を求めることが決議されている。前回上場のチャンスは、フォードがジャガーを買収して非上場化した28年前に潰えていたのだ。
セント・ポール大聖堂の近く、パタノスタースクエアにある新しいロンドン証券取引所までは街を横断する約10分間のドライブとなるが、メルセデスの大型車両に乗り込むまで、アストン経営陣がどれほどこの瞬間を心待ちにしていたかを十分理解出来ていなかったようだ。
パーマーとデザイン責任者のマレク・ライヒマン、CFOのマーク・ウィルソンと共にメルセデスへと乗り込んだのだが、彼らはフランクフルトとパリへの出張で疲れ切っていたものの、過去4年間の成果を証明する新たな機会に浮き立っているようであり、それはロンドン証券取引所の幹部たちも同じだった。今朝、彼らはアストンの投資家や関係者を招いた朝食会を開催していたのだ。
われわれは、巨大なスクリーンに映し出される取引開始直後の売買状況を見るために、エントランスホールにある時計の下で集合することになる。
DB5とヴァルキリーも登場 報われた株主
取引所まで移動する間に、アストン マーティン・ラゴンダ・グローバルホールディングス(AML)株の公募価格が19ポンド(2734円)であることを密かに確認しておいた。これまでは、18.50ポンド(2662円)から20ポンド(2878円)の間になるだろうとしか知らされていなかったのだ。
この価格によって、株主価値は10億8000万ポンド(1554億1200万円)増加し、アストンの企業価値は43億3000万ポンド(6230億8700万円と、少なくとも2004年にフォードが売却した当時の6倍にも達することになる。
残念ながら、現時点ではFTSE 100入りにはわずかに届かないが、期待通りの成長を遂げれば、それほど時間を要することなくFTSE 100の構成銘柄となることができるだろう。
ビルの合間から顔を覗かせたこの日最初の陽光が、この記念すべき日に欠くことのできないボンドカーのDB5と新型ヴァルキリーを含めたアストンを象徴するモデルたちに差し込む頃には、パタノスタースクエアに到着することができた。
メルセデスの後部座席で初めて知ったのだが、ヴァルキリーのエンジンサウンドはコスワースの工場で録音されており、午前8時にはパーマーのツイッターで公開されるとのことだ。ライヒマンはそのエンジンサウンドを、新たな国歌とまで呼んでいる……。
朝食会場はひとでごった返していて、クロワッサンは高級なものだった。アストンでお馴染みの面々がここには揃っており、恐らく既存の株主だろう喜色満面のひとびとも見つけることができた。彼らには喜ぶだけの理由があるのだ。
この急成長企業の株式の70%はそのまま保有しつつ、彼らは今回の上場でその投資に見合うだけのものを得ることになる(クウェートの株主の場合、その投資期間は14年間にも達する)。パーマーも笑顔を見せていた。上場後に彼が保有する0.6%の株式価値は、2400万ポンド(34億5360万円)にも達するのだ……。
長いゲームの始まり 株価に一喜一憂せず
集まった関係者に加え、周囲のひとびとも最後のカウントダウンに参加していた。そして、巨大なスクリーンに株価が表示されるのが一瞬遅れたのをごまかすかのように、盛大なファンファーレが響き渡った。
歓声のなか、最初に成立した取引価格は19.05ポンド(2741円)であり、その後も同じような価格で売買がしばらく続いたが、8時30分頃18ポンド(2590円)まで下落すると、集まったひとびとも徐々にその場から離れて行った。
取材に応じたパーマーは、今回の株式公開までに105年が掛かっており、最初の30分でやきもきすることはないと、冷静に状況を見つめていた。
ウィルソンも、上場当日の終値が18.30ポンド(2633円)程度であれば十分だと語っていた。他にも、2015年にフェラーリが株式公開を行った際には、50ドルの公募価格が3倍に達するまで、一旦は35ドルにまで下落したことを引合いに出すものもいた。
最終的に初日はそのまま18.25ポンド(2626円)の終値で幕を閉じた。翌日のヘッドラインにはアストンがスピンしたとか、クラッシュしたなどという言葉が躍っていたが、もちろんアストンにそんなことは起こっていない。
アストン マーティンの首脳陣はこうした事態も想定していたのだ。上場企業を経営するということは、経営者はその一挙手一投足を監視され、次に何をすべきかといった外野の声にさらされるということであり、そうしたことを知るものにとっては、これは長いゲームの始まりに過ぎない。だが、だからといって興奮してはいけないわけではない。
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