快晴のゴールデンウイーク後半戦に幕を開けた2024年のスーパーGT第2戦、富士スピードウェイでのGT500クラス公式予選は、開幕戦岡山のオープニングラップで辛酸を舐めた17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTの塚越広大/太田格之進組が、雪辱を期す予選最上位を獲得。明日5月4日(土)に行われる3時間レースに向けお膳立てを整えるとともに、今季デビューの新型シビック・タイプR-GTに初のポールポジションをもたらした。
連休初日より爽やかな天候に恵まれたサーキットは、翌日の土曜決勝日も全国的に夏日になる地点の最多記録更新が予報されるなど、4月中旬の開幕戦岡山に続き“完全ドライ勝負”の条件が整った。
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そんなレースウイーク走り出しの公式練習では、セッション開始とともに各車とも精力的に周回を重ね、オフ期間に不足していたドライ路面での仕上がりやペースを確認していく。開始1時間を過ぎて路面温度も30度を超えてくるなか、最終10分間の専有走行枠では数少ない持ち込みタイヤセットのなかで予選シミュレーションも実施され、連続ベストの17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTが最速タイムを記録した。
この第2戦に向けては、開幕戦にて予選Q1での四輪脱輪からピットスタートへと回っていた8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTのケースも念頭に、予選Q1通過の107%基準タイムが撤廃(Q2は従来どおり)され『コントロールラインを通過しタイムを記録しなければならない』との対応に変更された。この基準タイム設定が解消されたことで、規則の部分でも戦略的な運用ではなく“全開勝負”を促す方針が示されている。
そんな午後の勝負に向け“模擬予選”の様相を見せた午前のアタック合戦を制した17号車Astemoも、開幕では決勝オープニングラップの巻き添え事故でリタイアを喫しているだけに、8号車とともに最高速の大幅な進化を果たした新型シビック・タイプR-GTの実力を示せるかが注目ポイントに。
はたまた、専有走行でも上位に食い込んだ3号車Niterra MOTUL Zや23号車MOTUL AUTECH Zらのニッサン/NMC陣営が、史上初の3時間レースとなる決勝に向け先手を獲るのか。ホームコースで開幕からの“連勝”を狙う王者au TOM’S GR Supraや14号車ENEOS X PRIME GR Supraら、トヨタ陣営を含めた三つ巴の真剣勝負が期待された。
■ホンダ勢がトップ3を独占したQ1
昨季までのように、上位8台以降のカットラインによるセッション敗退がない代わりに、続くQ2と翌日決勝スタートでの使用も見据えた「マーキングタイヤ1セット」でのタイム合算方式を採用する予選は、初めてニュータイヤを履くQ1担当ドライバーに「丁寧なタイヤの扱いとピークグリップでのタイム」が求められるなど、大きな重圧が伸し掛かる。
そんななか先陣を切ってコースインした8号車ARTAの野尻智紀は、自身最初のアタックラップ突入で296.703km/hの最高速を計時すると、1分26秒973と27秒台を突破。その直前に記録されていた12号車MARELLI IMPUL Z、ベルトラン・バゲットのターゲットタイムを撃破していく。
同じく野尻の背後から追走した僚友の16号車ARTA大津弘樹も、先輩と同じ計測5周目で1分27秒079の2番手タイムを刻み、そのまま最高速を297.521km/hまで伸ばして最後のアタックへと入っていく。
そのARTA艦隊に待ったを掛けたのが、同じホンダ陣営内の17号車Astemo太田格之進で、セッション開始から2分以上を経過してコースインしたとおり、グリップ発動の早いタイヤチョイスか、自身計測4周目で1分26秒737を記録。午前からの勢いを維持して開幕での悔しさを払拭するかのようなアタックを披露する。
そんな太田は続くラストアタックでも1分26秒709までタイムを詰め、自身の役割をパーフェクトに遂行するQ1トップタイムをマーク。2番手にはこちらも1分26秒825と自己ベストを更新した8号車ARTAに、同じく1分26秒944に突入した16号車ARTAと、期待のFL5型シビックRがトップ3を占める結果に。以下、14号車ENEOS X PRIME、3号車Niterra、19号車WedsSport ADVAN GR Supraに12号車MARELLI IMPULと、ライバル陣営が交互に入り乱れる展開となった。
一方、残り3分の時点で24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zはトラブル発生か。走行後に不具合が起きたようで、アタックを取り止めピットへと戻っている。
■Q2トップタイムは23号車MOTUL Z
分割されたグループ間で『昇格・降格』の発生するGT300のQ2を経て、15時54分に開始されたGT500のQ2は、Q1と同様に参戦全15台によるアタックが繰り広げられる。
このQ2担当ドライバーは、直前のセッションを走行したチームメイトがどのようなタイヤの状況を維持しているか、そして一旦は冷えたタイヤに再度の熱入れをし、どのようにグリップの発動を促すのか。また異なる技術が求められる。
その洗礼を浴びてしまったのは16号車ARTAの佐藤蓮で、最初のアタックへ向かうべく298.343km/hまで伸ばしたターン1で、わずかに横方向のグリップが足りず単独スピンオフ。ここで貴重な1ラップをフイにしてしまう。
代わって1分27秒969のトップタイムを計時した8号車ARTAの松下信治だったが、直後にはセッション開始3分経過でピットを離れてクラス最終コースインとなっていた、3号車Niterraの三宅淳詞が間髪入れずにタイムを更新。1分27秒205で首位に立つ。
合算タイムのリアルタイム計時で目まぐるしくグリッド位置が入れ替わるなか、約2分のピット待機を経て入念なタイヤの再発動を進めていた17号車Astemoの塚越広大が1分27秒222の好タイムを記録。コントロールライン通過時点でセッション2番手タイムとし、合算2分53秒931で総合首位に躍り出る。
直後には23号車MOTUL AUTECHの千代勝正が、開幕予選Q1を思わせるアタックで1分27秒077まで伸ばし、これがQ2のセッショントップタイムということに。しかし合算総合では僚友の3号車Niterraにも届かず、惜しくもセカンドロウ3番手に留まる結果に。
また失地挽回を期した16号車ARTAの佐藤も、最終アタックでまとめた1分27秒366のタイムが抹消される事態となり、ホンダ陣営による予選上位グリッド独占の夢は潰えることに。
最終的に松下が1分27秒573まで自己ベストを更新した8号車ARTAが4番手となり、こちらも最終アタックで平峰一貴が1分27秒379まで更新した12号車MARELLI IMPULが、5番手に飛び込む結果となっている。トヨタ陣営の最上位は7番手に入った14号車ENEOSで、ここから12番手の37号車Deloitte TOM’S GR Supraまで6台のGRスープラが並んだ。
スーパーGT史上初の3時間レースとして実施される第2戦『FUJI GT 3Hours RACE』の決勝は、4日(土)13時30分にスタートが切られる。
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