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完成度が極まったW12ツインターボの誘惑。ベントレー フライングスパー W12 Sの世界観に浸る 【Playback GENROQ 2017】

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完成度が極まったW12ツインターボの誘惑。ベントレー フライングスパー W12 Sの世界観に浸る 【Playback GENROQ 2017】

BENTLEY FLYING SPUR W12 S

ベントレー フライングスパー W12 S

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フライングスパー最強を誇る珠玉の“S”

豊富なラインナップを誇るベントレーの中でも、フライングスパーは未だに人気の衰えないモデル。そして今もっとも話題となっているのは、昨年中頃に追加された最強を謳うW12 Sである。日本上陸を機にその価値を探るべく、早速ロングランを決行。そこで見えた完成度とは・・・。

「これは進化を続けたからこその真価。“S”は究極の洗練を受けた結果である」

日々繰り返す慌ただしい中であっても、突然、急な出張が入ることは珍しくない。この日もまさにそうだった。東京で順調に仕事を進めている最中に、急遽、名古屋に行かなければならなくなったのだ。だが、運が良かったのかもしれない。何しろこの日私が乗っていた車両は上陸したばかりの最新ベントレー、フライングスパー W12 Sである。従来のフライングスパーでも十分以上のパフォーマンスを発揮するというのに、ベントレーはお家芸のようにパワーアップを繰り返してきた、その最終形とも言える最強サルーンがこれだ。

本来なら交渉して翌日に出張をずらしたいところだが、今回の相棒がフライングスパー W12 Sだから行く気になったのかもしれない。いや、むしろ試したかったというのが本音だろう。何故なら、ベントレーとしては初めて4ドアモデルで最高速度320km/hを超えたと謳う最新鋭だからだ。その実情を体感するには、ちょうど良い機会である。

とはいえ、ここは日本。いくら新東名高速ができたからといってもそこまでは無茶できない。そう肝に銘じつつフライングスパー W12 Sのノーズを西に向けて移動を開始した。それまでは都内の移動に使っていた程度だったこともあり、気づくこともなかったのだが、こうした高速域では、その真価を確かめやすい。さすがは最新&最強モデルである。従来のW12からパワーで10ps向上の635ps、トルクは20‌Nmアップの820Nmと、驚くほどの違いは数値には表れていないものの、全体のドライブフィールは洗練されているうえ、重厚感が増している印象だ。

「トラクション性はこれまでとは一線を画すほど違い俊敏だ」

レーンチェンジの際でもしっかりとした手応えがあり、インフォメーション性が向上しているのも明らかだった。アクセルを開けた時のレスポンスも以前にも増して良い。乾燥重量では2.5トン以内に収まってはいるものの、総重量でいえば3トン弱にも及ぶのだから決して軽いという表現は使えないのだが、それでも不思議と軽快感すら思わせるのだから、実に巧みである。

ベントレーに限ったことではないが、こうした例はよくあることだ。パワー&トルクアップを謳い文句に“掴み”をつくっておきながら、本当の理由は完全なブラッシュアップというのがほとんどである。しかし、今回ベントレーがフライングスパーのW12 Sにとってきた策は、どうもそのレベルに収まりそうにもなさそうだ。そう思わせたのは、左に駿河湾が見え始めた頃だった。前方の視界に邪魔者がいない時を見計らって一気に加速を開始すると、その実力を露わにした。

トラクション性はこれまでとは一線を画すほど違う。実に俊敏だ。それに2000~5000rpmまで続く最大トルクによる加速の維持は、従来型よりも余裕があって楽に感じる。これは明らかにエアサスペンションの設定を見直した証し。本来、10ps&20‌Nm程度の出力向上ならシャシー周りのチューニングなどほとんど必要ないだろう。しかし、それでもこれだけ見直してきたということは、さらにその先にも何かあるはずだ。そう思い始めると、もう居ても立っても居られない。名古屋に近づくにつれ、交通量も多くなってきたこともあり、早々に用事を済ませた後、とあるワインディングへと向かうことにした。

「ひと言で喩えるなら“パンチ力”が桁違い」

無論、フライングスパーは峠がメインステージではない。しかし、このトラクション性能と足まわりの設定に違いを見出すと、どうしても試したくなった。3066mmとホイールベースは長いものの、“これなら意外と行けそうな気がする”と思えてしまうところが実は驚異的なのだが、それにも増して期待通りだったことを事前にお伝えしたい。

とにかくひと言で喩えるなら“パンチ力”が桁違い。つまり、トラクション性能を向上させ、高いドライバビリティを目的としたのは明白で、コーナーの立ち上がり方は俊敏かつトルキー。しかも旋回中のハンドリングに関しても従来型よりも一枚上手で、ドライブを純粋に楽しめるようになった。前後トルク配分は40対60を基本としつつも、状況に応じて15対85から65対35まで変化することも印象を良くしている理由だが、その可変に関しても進化しているように思える。

ZF製の8速ATもスポーツモード時の反応は良いし、パドルによる変速も予想以上に反応が速い。さらにはブレーキフィールも改善されているようで、初期の応答に確実性が増しているように感じた。今回のテストカーはノーマルのスチールディスクだったが、オプションでカーボンセラミックディスクの選択も可能というから、もし後者であったら、さらにメリハリのある走りを見せるだろう。

「紫色のボディカラー“ダムソン”は怪しさ満点だが風格が溢れている」

さすがにこれだけ好印象だと帰路で325km/hを誇る最高速度を試したくなったが、そうはいかない。しかし、80-120km/hといった中間加速は、先にも触れたように俊敏性が増しているから、日本の高速道路のような場合は、従来型以上に期待に応えてくれることは確実だ。

それにしても、このW12 S専用のエクステリアはそのキャラクターによく合っていると思う。フロントグリルやウインドウ周り、ドアハンドルやホイールなど、本来クロームメッキが施されるパーツにグロスブラックを与えるとは実に“イカしている”。ダムソンと呼ばれる紫色のボディカラーだから怪しさ満載なのだろう。それでも風格溢れるのは、やはりベントレーの成せる技。生まれも育ちも良いからこそ、こうした一種独特のラグジュアリー感を創出できるのは間違いない。

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

ベントレー フライングスパー W12 S

ボディサイズ:全長5299 全幅1984 全高1488mm
ホイールベース:3066mm
車両重量:2475kg
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
圧縮比:9.0

総排気量:5998cc
最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク:820Nm(83.6kgm)/2000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前405 後335mm
タイヤサイズ:前後275/35ZR21
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:4.5秒
CO2排出量:320g/km(EU複合)
燃料消費率:14.7L/100km(EU複合)
車両本体価格:2665万円

※GENROQ 2017年 5月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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