現地時間6月9日、2024年F1第9戦カナダGPの決勝レースが行われ、天候がめまぐるしく変化するコンディションのなか、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季6勝目、自身通算60勝目を飾った。2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にポールシッターのジョージ・ラッセル(メルセデス)が続いた。角田裕毅(RB)は14位となった。
レースウイーク初日から降雨に見舞われたカナダGP。予選日はドライコンディションとなるも、決勝日は再び雨模様に。スタートタイヤは14番グリッドのケビン・マグヌッセン、17番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグと、小松礼雄チーム代表率いるハース勢2台は深溝のウエットタイヤを選択。
【F1第9戦決勝の要点】オコンに「ガスリーに抜かせろ」の指示。アルピーヌ今季初ダブル入賞の裏で波乱
そのほか18台は浅溝のインターミディエイトタイヤを装着し、気温16度、路面温度18度、小雨が降り、路面はフルウエットコンディションとなるなか、70周の決勝レースはスタートを迎えた。
トップ5台は予選順位のままオープニングラップを終える。そんななか、ウエットタイヤを履くマグヌッセンがわずか1周で14番手から8番手、ヒュルケンベルグが17番手から13番手まで浮上。
コンディションはウエットタイヤがベストマッチであり、3周目にはマグヌッセンが4番手、ヒュルケンベルグが8番手まで浮上し、ハース2台は3周で10ポジションアップに成功する。
ただ、ハース勢の猛烈な追い上げはここまで。6周目を迎えるころにはインターミディエイト勢のペースがハース勢2台を上回る。とはいえ、6周目のターン7でローガン・サージェント(ウイリアムズ)がコースオフするなど、数台がコースオフする難しいコンディションが続いた。
7周目、4番手のマグヌッセンがインターミディエイトに履き替えるべくピットイン。ただ、チームはタイヤ交換の準備が出来ておらず停車時間は8.6秒に及び、マグヌッセンは14番手でコースに復帰した。
ウエットコンディションでスタートしたレースは10周目を迎えるころには、雲の隙間から青空が見え、路面もレコードライン上が乾き始める。トップのラッセルから5秒落ちというペースまで落ちたヒュルケンベルグはなかなかピットに入らず、ヒュルケンベルグを先頭に6台が数珠繋ぎとなる。
11周目にはダニエル・リカルド(RB)がヒュルケンベルグを攻略し7番手に浮上。しかし、そんなリカルドにはスタート違反により5秒のタイムペナルティが下る。ヒュルケンベルグは12周目にインターミディエイトに履き替え、19番手に後退する。
2番手のフェルスタッペンは、17周目のターン1でブレーキロックからコースオフ。これで3番手ノリスとのギャップが一気に縮まる。このチャンスを物にしたいノリスはフェルスタッペンの背後でハードプッシュを続ける。
また、ノリスの6秒後方につける4番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)もノリスとファステストを更新し合うなど、路面コンディションの改善が一気に進むなか、オレンジのマクラーレンが速さを見せた。
勢いそのままノリスは20周目の最終シケイン入口(ターン13)でフェルスタッペンをオーバーテイクすると、続く21周目の同じく最終シケイン入口でラッセルを攻略し、トップに浮上する。
さらにラッセルは最終シケインでオーバーシュートし、その間にフェルスタッペンが先行。ラッセルは一気に3番手まで後退することに。
一方、8番手スタートから10番手を走行していた角田は20周目にアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)にかわされ11番手に後退する。ただ、角田はペースの上がらないシャルル・ルクレール(フェラーリ)を攻略し10番手を死守する。
トップに浮上したノリスは25周目にはフェルスタッペンに7秒差をつけ、独走状態に。そんななか、1周遅れで最後尾を走行していたサージェントがターン4でスピンを喫し、25周目にセーフティカー(SC)が導入されることに。
これで25周目終わりにフェルスタッペン、ラッセル、ピアストリらが続々とピットイン。ノリスはここで1周ステイするかたちとなり26周目終わりにピットインする結果となり、フェルスタッペン、ラッセル、ノリス、ピアストリ、ハミルトン、アロンソというトップ6となった。
16台がインターミディエイトに履き替えたなか、雨雲接近も予想されたため、ここで角田、エステバン・オコン(アルピーヌ)、バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)3台がステイを選択。角田が7番手、オコンが9番手、ボッタスが12番手でリスタートを迎えた。
ただ、29周ユーズドのタイヤでのリスタートは難しく、オコンは早々にアルボンにパスされ10番手に後退する。一方、同じくステイを選択した角田はアロンソとのギャップが徐々に広がるも、8番手ストロールを1秒以内に従えて7番手を守る。
なお、ペースが上がらないルクレールはSC中に再びピットに入り、ドライのハードタイヤに交換し19番手でリスタートを迎えたが、1周9~15秒遅れるペースとなり、32周目にインターミディエイトに履き替え勝負権失うと、その後42周目にリタイアとなった。
レースも後半に差し掛かった38周目のトップ10オーダーはフェルスタッペン、ラッセル、ノリス、ピアストリ、ハミルトン、アロンソ、角田、ストロール、アルボン、オコン。
天候変化に的確な判断が下せるかが勝負の鍵となるなか、上位勢はペースコントロールもあり、しばし均衡状態が続いた。40周目に再びDRSが使用できるようになると、5番手ハミルトンがファステストを更新する。
41周目にはガスリーがハードタイヤ、42周目にマグヌッセンがミディアムタイヤに履き替える。コースはセクター2~3を中心に路面の渇きが進み、43周目には5番手ハミルトンが上位勢で真っ先にミディアムに履き替えた。
この動きを見た4番手ピアストリを筆頭に、アロンソ、角田、ストロール、オコン、ヒュルケンベルグらが44周目に一気にピットへ。さらに45周目には2番手フェルスタッペン、3番手ラッセルがタイヤを履き替える。
ノリスは48周目というもっとも遅いタイミングでピットイン。これでフェルスタッペンがトップに浮上する。49周目にはラッセルがバックストレートでノリスをかわし2番手の座を取り戻す。
全車がドライタイヤに履き替えた50周目時点で、フェルスタッペン(ミディアム)、ラッセル(ハード)、ノリス(ミディアム)、ピアストリ(ミディアム)、ハミルトン(ミディアム)、アロンソ(ハード)、角田(ミディアム)、ストロール(ハード)、オコン(ミディアム)、アルボン(ミディアム)というトップ10。
2番手のラッセルは50周目にファステストを更新。トップのフェルスタッペンは「縁石に乗れない」と無線を飛ばす。ここで一気にギャップを縮めたいラッセルだったが、51周目のターン8でわずかにスライドしタイムロス、その間にノリスが2番手に浮上する。
また、52周目にはストロールが角田を攻略。これで角田は8番手に後退する。そんななか、13番手を走行していたペレスがターン6で単独スピンからクラッシュし、リヤウイングを損傷しガレージへ。
さらに54周目には10番手のサインツがターン6で単独スピンを喫し、11番手走行のアルボンが避けきれず接触。わずかな期間に3台がリタイアする事態に。これで2度目のSC導入となり、このSC中に2番手ラッセルがミディアムに、5番手ハミルトンがハードに交換する。
フェルスタッペン(ミディアム)、ノリス(ミディアム)、ピアストリ(ミディアム)、ラッセル(ミディアム/新品)、ハミルトン(ハード/新品)、アロンソ(ハード)、ストロール(ハード)、角田(ミディアム)、オコン(ミディアム)、リカルド(ミディアム)のトップ10オーダーで59周目、残り12周でリスタートを迎えた。
60周目にDRS使用可能となると、62周目にラッセルが勝負に出た。最終シケイン前のバックストレートでピアストリに並ぶもここでは順位は変わらず。続けて63周目にも同様に仕掛けたラッセルだったが、ターン13飛び込みでピアストリと接触。
これでラッセルはコースオフし、その間にハミルトンが4番手に浮上する。また、角田は62周目にオコンにかわされ9番手に後退。10番手にはリカルドが続き、そのリカルドに対して「裕毅と戦ってもいいよ」と無線が飛ぶ。
65周目のターン13でハミルトンがピアストリを攻略し3番手に浮上。さらにハミルトンはこの周ファステストを更新する走りでノリスの背中を追う。また、ペースの落ちたピアストリを攻略したラッセルが4番手に浮上する。
そんななか、66周目のターン8で9番手の角田がオーバーシュート。濡れた芝生の上で滑り、コース上でストップ。再始動は叶ったが、角田は14番手まで後退することに。
68周目、ターン13でラッセルがハミルトンから3番手の座を取り戻す。メルセデス2台は最後までテール・トゥ・ノーズの戦いを繰り広げたが順位は変わらず。
天候の変化、5台がリタイアする大波乱の70周を終え、フェルスタッペンが今季6勝目、自身通算60勝目を飾った。2位ノリス、3位ラッセルまでが表彰台に登壇。4位ハミルトン、5位ピアストリ、6位アロンソ、7位ストロール、8位リカルド、9位ガスリー、10位オコンまでがポイント獲得。角田は14位でポイント獲得には至らなかった。
次戦となる2024年F1第10戦スペインGPは、6月21~23日にカタルーニャ州バルセロナに位置するカタロニア・サーキットで開催される。
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