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アルピナXB7試乗 B7に通じるアルピナの流儀+SUVのカジュアルさ

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アルピナXB7試乗 B7に通じるアルピナの流儀+SUVのカジュアルさ

いつもより存在感強め だが躍動的

自動車ブランドにはそれぞれ象徴的なイメージがある。

【画像】プレミアムSUVの頂点【アルピナXB7を詳しく見る】 全65枚

それは代表的なモデルのドライブフィールや構造、スタイリングといったものに紐づいていることが多い。

BMWアルピナの個人的なイメージは3シリーズのリムジン(4ドア)が基準になっている。

かつてドライブしたB3 3.2(E36)の引き締まりつつもしっとりとした、唯一無二の感覚。それこそBMWとも、Mとも違うアルピナの絶対的なイメージとして脳裏にある。

そんな固定観念の持ち主が、今回の超大物、XB7を咀嚼することは容易ではないのかもしれない。

外観はもちろん、しっかりとアルピナ化されている。

矢羽根のようなデコストライプとアルピナグリーンは分厚いボディの印象をシャープに変えている。

「ALPINA」の文字が浮き彫りになっているチンスポイラーの位置がリムジンのそれより高いため、いつもより存在感は強め。

ホイールはスポーク細さと長さが際立つ23インチが装着されているため、車高の高さ故のダルな感じを払しょくしている。

インテリアもアルピナ特有の世界観でまとめられている。

メインの内装材はホワイトのメリノレザーで、赤みを帯びたウッドもアルピナの定番。

ステアリング裏のパドルは今回初めて目にして驚いたのだが、「ALPINA」の文字が刻まれたアルミ鋳物(たぶん)だった。

ベースモデルのX7より明らかに上質で、しかし躍動的な走りのイメージにも事欠かない。走りにも期待せずにはいられない。

シャシーファスター お家芸は健在

見た目の雰囲気はしっかりアルピナだが、渋滞した街中を抜けていく今回の走りはじめは「おぉ、これぞアルピナ!」という感触がなかなか得られなかった。

視界が良く、ハンドリングもリニアなので、ボディの大きさはすぐに気にならなくなった。

後輪操舵は前進しているぶんにはその効能を感知しにくいのだが、これもハンドリングの完成度に貢献しているはず。

コーナーではボディが傾いてから曲がりはじめるのではなく、ステアリングを切るコブシとともに狙ったところに鼻先が入っていくイメージ。

それでいて幅広タイヤの角ばったショルダーによって強引に横Gが立ち上がる感触も皆無。

キャパシティの大きなタイヤでナチュラルな操舵感を表現する手法は、今なおブッフローエのお家芸だったのである。

エンジンは4.4LガソリンのV8ツインターボで、これはB5やB7とったモデルに搭載されているユニットと同一。

ベースはX7 M50iのパワーユニットとも一緒だが、アルピナのパワーとトルクは本家のそれを凌駕している。

高速道路の料金所から緩やかなカーブを抜け、加速しながら本線に合流する。

そんな一連の所作の中にアルピナXB7というクルマの本質が見えた気がした。

ディーゼルと比べればトルクのかかりかたは穏やかだが、それが抑制の利いたシャシーの性格に良くマッチしており、2まわりくらい小さくて軽いSUVをドライブしている気にさせてくれる。

パワーは増しても、アルピナらしい「シャシーファスター」の図式はちゃんと守られているのだ。

B7に通じる流儀とSUVのカジュアルさ

エンジン回転の高まりや8速オートマティックのギアさばきはそこに着目していないとわからないくらいスムーズで、しかしいつの間にかけっこうなスピードに達している。

XB7は走行状態によって車高を自在に変えるエアサスを装備しているが、まったく反発を感じない乗り心地は気体というより流体を思わせる。

このナチュラルでビシッと直進する走行フィールのまま、アルピナが標榜している290km/hという「巡航最高速度」に軽々と達してしまうのだろう。

その点ではXB7のキャラクターはB7リムジンにも通じている。

だがそれでいて「ちょっと近くのコンビニまで乗っていこうか」という気にさせてくれる点がB7リムジンとの違いであり、SUV由来のカジュアルさなのだと思う。

例えばオートキャンプ場で最高レベルのグランピングを楽しもうと思ったら、アルピナXB7はその究極の選択肢となるに違いない。

今回XB7をドライブしている最中ふと、現行B3と2台持ちするとバランスがいいだろうなと思った。

3列シートで包容力があり遊べるXB7と、アルピナの伝統的なブランドイメージを背負ってきたB3。

この2台はスポーティに端を発し、徐々にプレミアムの度合いを高めてきたアルピナというブランドを端的に把握するのに最適なのである。

アルピナブランドそのものや内燃機関などの「期限」が気になる昨今だが、洗練されたパワートレインと最高レベルのシャシーを味わい尽くす意味でも、今アルピナをチョイスするのはありだろう。

アルピナXB7のスペック

価格:2528万円
全長:5165mm
全幅:2000mm
全高:1830mm
ホイールベース:3105mm
車両重量:2580kg
パワートレイン:V型8気筒4400ccターボ
最高出力:621ps/5500-6500rpm
最大トルク:81.6kg‐m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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