2021年のブランド再多売モデル
メルセデス・ベンツGLKの後継モデルとして、改名した初代GLCがショールームに並び始めてから7年が経過した。その人気は高く、2021年には同社の再多売モデルに躍進。モデルチェンジしたCクラスを差し置き、1年間で27万人のユーザーへ渡ったという。
その支持率の高さを考えれば、2代目もキープコンセプトなことは想定できる。スウェーデン北部での開発テストに投入されるプロトタイプへ試乗した限り、それは間違いないようだ。
最新のCクラスと同様に、新しいGLCもドイツと中国、フィンランドの工場で生産される。プラットフォームは初代のキャリーオーバーとなる、スチールとアルミニウムを適材適所に用いたMRA。しかし改良が施され、剛性と重量を改善させたという。
今回用意されたプロトタイプには、かなり重装備といえるカモフラージュが施されていた。ボディにはワゴン風の従来的なSUVと、ルーフが傾斜したクーペとの2種類が用意されるというが、スタイリングの仕上がりは確認できなかった。
車両開発を指揮するメルセデス・ベンツの技術者、ピーター・コルブ氏によれば、次期GLCの全長は現行型の4718mmから60mm伸ばされるとのこと。ホイールベースは15mm長いということだから、前後のオーバーハングもそれぞれ伸びると考えられる。
高レベルな知覚品質が放つオーラ
外観からその成長ぶりを実感することは難しかったが、ドアを開いて車内を見渡せば瞭然。現行型ではストロングポイントとはいえなかったリアシート側の空間も、膝周りを中心にゆとりが生まれている。
リアシートは前後にスライドでき、荷室容量を広げることも可能。車両前方へ寄せれば、内燃エンジン版での比較で、荷室は従来から15Lほど拡大する。トノカバー下で600Lの容量があり、同クラスではトップレベルの収容量といえる。
ダッシュボードの基本的なデザインはCクラスに通じているものの、大幅に手が加えられ、エアコンの操作系はオリジナル。取り付け位置はSUV感を演出するため、従来より持ち上げられている。
メーターパネルはモニター式。ダッシュボード中央にも、縦長のタッチモニターがレイアウトされるのは、最近ではお決まりのパターンだ。
ステアリングホイールは、マルチファンクション・タイプが据えられる。水平に伸びるスポーク部分に、タッチセンサーやボタン類が並んでいた。
偽装されていたものの、インテリアは現行のGLCよりだいぶモダンな雰囲気になっている様子。実際に押せるハードスイッチは大幅に少なくなっているが、高レベルな知覚品質が放つオーラを感じた。使用される素材も、より高品質なもののようだ。
試乗でしっかり体感できたのは、快適なフロントシート。クッション素材だけでなく構造から新しいそうで、太もも周りの当たりが心地良く、サイドサポートの剛性感が高められていた。
基本は4気筒のマイルドHV PHEVも
新型メルセデス・ベンツGLCの発売は、英国では2022年の末頃が予定されている。内燃エンジンは4気筒ターボが中心で、すべて電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)を組み合わせた、マイルド・ハイブリッドになるという。
ガソリンターボのGLCは、200と300。ディーゼルターボの方は、220dと300dというグレードが用意される。唯一の6気筒ユニットとなるのが、ディーゼルターボの400d。こちらもISGがアシストするマイルド・ハイブリッドだ。
このISGは、22psと20.2kg-mを発揮し、低回転域のエンジンをアシスト。低負荷時にはエンジンを停止させ惰性走行を促すなど、燃費効率を高めてくれる。
2代目GLCにも後輪駆動と四輪駆動が設定されるが、どのエンジンとの組み合わせになるのかは明らかになっていない。少なくとも今回試乗したプロトタイプの220dは、4マティックの四輪駆動だった。
純EVへの過渡期ということで、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も複数展開される。ガソリンエンジンをベースとする300eと400eのほかに、ディーゼルエンジンがベースの300deも設定。ただし、どのGLCが導入されるかは、市場によって異なる。
駆動用バッテリーの容量は、共通で25.4kWh。108セルで構成され、温度を保つ液冷システムを搭載する。EVモードで最長100kmを走行可能だというから、かなりの性能アップだ。
もちろん、メルセデスAMGからも高性能なGLCが提供される。新しいGLC 43とGLC 63が2023年に発売予定で、それぞれC 43とC 63に載るものと同じエンジンが搭載されるという。
この続きは後編にて。
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