■最新のパトカー取り締まりについて北海道随一の「事情通」に聞いてみた!
速度違反の取り締まり方法は日々進化し、昨今ではレーザーを用いた移動式オービス、半固定式オービス、さらにルーフ上にレーザーを搭載したレーザーパトカーも活躍しています。
また、Kバンド式レーダーで速度計測するMSSSという移動式オービスも各地で運用されていますが、そこに数年前より北海道で新たに導入されたのが、新型「レーダーパトカー」です。どのような計測を行うものなのでしょうか。
【画像】「えっ…!」これが最新の「レーダー付きパトカー」です(30枚以上)
新型のレーダーパトカーについては情報が少なく、筆者(オービスガイド 大須賀 克巳)もまだ遭遇したことがありません。
これから北海道へ旅行やツーリングに行く人は気になるところでしょう。
そこでこの新型レーダーパトカーと、北海道の最新取締り事情について、交通取締り系YouTubeチャンネル「北海の玉」を運営する玉さんに詳しく教えていただきました。
なお新型レーダーパトカーは、北海道のみの特殊車両では決してないようです。
近年は北海道以外にも、和歌山県、島根県、福岡県、佐賀県、大分県など全国でも既に運用されており、さらに拡大していくことが予想されるのです。
そのことから、他地域の皆さんも注目しておくべき情報といえるでしょう。
さて北海道内では、以前から古いタイプのレーザーパトカーが多く運用されていました。
しかし玉さんによると、2022年頃の電波法(スプリアス規格)の改定により古いタイプのレーザーパトカーが利用できなくなり、昨年2023年くらいには見かけなくなったそうです。
その代わりに登場したのがレーザーでなく新しい電波法に適応した新型レーダーパトカーです。
従来のレーザーパトカーは、「LSM-100」という計測機器をパトカーの屋根に搭載していますが、レーザーの照射範囲が短く、パトカーの至近距離で速度を計測するしかありません。
そのためパトカーの姿に気付いたドライバーはブレーキで減速し、違反を回避するシーンを何度も見ているそうです。
それに対し、新しく導入されたレーダーパトカーは遠くまでレーダーが飛ぶようで、ドライバーがパトカーに気付く前に計測を終えているというから驚きです。
計測距離はレーザーパトカーの約2倍だといい、正確な距離はわかりませんが、目測でおよそ80メートルから100メートル手前で計測されているようです。
また従来のレーザーパトカーは、計測機器を前方に向けた車両と後方に向けた車両があり、どちらか一方の取締りしかできなかったのに対し、新型レーダーパトカーは後ろから来るクルマ、前から来るクルマのどちらにも対応できるそうです。
筆者のイメージでは、パトカーを道路に対し少し斜めに向けて停車し取締りをすると思っていましたが、実際には、道路と並行に停車した状態で、前後から走行してくるクルマを監視できるそうです。
この新型レーダーパトカーは、日本無線製「JMA-401」や「JMA-401A」と呼ばれる計測機器が、「屋根上の左右赤色灯のあいだ」に搭載されています。
北海道で運用されている車両は、日産の現行(V37型)「スカイライン」がベースのパトロールカーですが、他県ではトヨタ「クラウン」ベースのパトロールカーもみられるようです。
玉さんの動画には、レーダーパトカーが速度違反を計測した瞬間、赤色灯を点灯させたかと思うとサイレンを鳴らしながら、一気に発進とフル加速をして検挙に向う迫力満点のシーンが収められています。
特にパトカーに興味のない筆者でも、そのようなシーンを見ると思わず「カッコいいな」と感じてしまうほどです。
■北海道内で15台以上が運用されている新型レーダーパトカーの実態とは
それでは2024年春現在、新型レーダーパトカーは北海道内でどのくらい配備されているのでしょうか。
玉さんの調査によると、道内では2022年に5台、2023年にも5台、そして今年2024年春に5台は導入されているので、最低でも計15台以上は運用中とのことです。
当初は警察署の交通課に配備されていたものが、直近ではどんどん交通機動隊へ集まりつつあり、現在では交通機動隊の主力車両(機器)となっているそうです。
警察署に配備されているレーダーパトカーは、交通取り締まり以外の通常業務でも使用されていますが、交通機動隊のレーダーパトカーは3交代制で取り締まりにフル活用されているので、深夜でも明け方でも24時間交通取り締まりを行っているようです。
そんな新型レーダーパトカーの気になる実態について、交通取締り系ユーチューバー玉さんからの有力情報を紹介していきましょう。
●何キロオーバーから検挙される!?
従来のレーザーパトカー、新型レーダーパトカーともに、制限速度を15キロ以上オーバーした車を主に検挙しているそうです。
ただしごく稀ですが、玉さんは過去に10キロオーバーで切符を切られた場面に立ち会ったことがあるそうで、15キロオーバー以内だから安心ということはないようです。
また従来のレーザーパトカー、新型レーダーパトカーともに速度違反だけを取り締まっているわけではなく、一時停止や歩行者横断妨害など、様々な交通違反にも目を光らせているそうです。
●検挙されやすいのはどんな人!?
例えば、北海道観光の一大拠点である新千歳空港の周辺道路では、レンタカーが多く検挙されているようです。
また札幌市と小樽市を結ぶ主要国道の5号線でも、観光客と思われるレンタカーや地元以外のナンバーのクルマがよく検挙されているようです。
玉さんは、次のように話します。
「レーダーパトカーなどが待機しているポイントはある程度決まっていて、地元のドライバーはそのことを熟知しているからです」
では、地元ナンバーのクルマについて行くような運転をすれば大丈夫かというと、そうでもないといいます。
「レーダーパトカーなどを避けられたとしても、移動式オービスが運用される場合があります。
この移動式オービスは神出鬼没でどこにでも設置できるため、速度を出し過ぎると地元のクルマと一緒に撮影されかねません。
観光で北海道へ行かれる方は、せっかくの旅なので北海道らしい街並みや雄大な景色を楽しみながらのんびりと走ることをオススメします」
■この夏北海道を旅する人は新型「レーダーパトカー」に加え「移動式オービス」にも注意
近年全国で普及が進む移動式オービスについて、玉さんに北海道での状況を聞きました。
「北海道ではセンシス製『MSSS』というセパレート式の移動式オービスが運用されており、警察本部がある札幌に2台、主要都市の函館、旭川、釧路、北見に各1台あると思われます。
さらに札幌には、東京航空計器製『LSM-310』が1台寄贈されたのですが、2024年4月にも数台がプラスされたようです。高速道路上はもちろん、冬の間は雪の中でも運用されましたし、札幌市内のトンネル内でも運用されています」
他地域同様に「神出鬼没」といった状況のようです。
●最新のレーザー&レーダー探知機での反応は!?
気になるのは、最新のレーザー&レーダー探知機での反応についてです。
最新の探知機は、従来のレーザーパトカーやLSM-310、センシスMSSSといった移動式オービスに対しては、条件次第では、かなり手前から反応し察知できるようです。
しかし新型レーダーパトカーには現時点では対応できていないようです。
玉さんをはじめ、筆者の知り合いの方々が複数のメーカー製の探知機で試したところ、どれも無反応だったようです。
おそらく現在、各探知機メーカーも対応品を開発中と思いますが、玉さんも新製品が出たら早くレビューしたいと話していました。
※ ※ ※
新型レーダーパトカーに搭載されるJMA-401を製造した日本無線製の最新レーダーには、ほかにも移動式オービスに用いられる「JMA-520」があります。
このJMA-520のレーダー部分のみを小型の三脚にセットして行うネズミ捕りの目撃情報も、筆者が運営するオービスガイドへ多数寄せられています。
これらも現時点では最新のレーザー&レーダー探知機での探知は難しいと思われています。
北海道に限らず、速度超過は重大な事故に直結します。
この夏のドライブでも、景色などを楽しむ余裕をもち制限速度や周囲に注意しながら、安全に走行しましょう。
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