輸入車 [2023.05.04 UP]
10年乗りたい輸入車特集 クルマ好きが惚れ込めるこだわりモデルを一挙紹介
10年乗りたいクルマ特集/惚れたクルマを長~く愛する[これから10年乗りたいクルマ]
ランドローバー ディフェンダー ラインアップ拡充した2024年モデル受注開始
写真●内藤敬仁
(掲載されている内容はグーワールド本誌2023年6月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2023年4月調べ。
「こだわってチョイスする輸入車。せっかく手に入れるのだから、末長く大切に乗りたい!」 そんな気持ちは、誰もが同じだろう。しかし、近年クルマを取り巻く状況は目まぐるしく変化しており、自身が気になるクルマも、本当に長く乗ることができるのか不安になることもあるだろう。今月は、そんなアナタにも自信を持ってオススメできるモデルをご紹介します。
[自動車ジャーナリスト 九島辰也チョイス]気持ちがアガる、とことん楽しめるクルマを選ぶべし!
文●九島辰也 写真●内藤敬仁、澤田和久
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
「引き算のクルマ選びでは、気持ちは長続きしない。やはり、本当に欲しいクルマを手に入れるべし!」と九島辰也氏。彼の今のオススメは、ランドローバー ディフェンダー。そのココロとは?
[ファーストチョイス:ランドローバー ディフェンダー 90]伝統を受け継ぐ圧倒的なキャラクター
クルマの買い方はいろいろある。通常の買い方のほか、リースもあれば最近流行りのサブスクもある。またローンのなかには残価設定プログラムもあって、クルマの残価の価値が話題になっている。3年後に何パーセント残っているのかで、驚異的な数字を持つクルマは少なくない。ディフェンダーもそのなかのひとつと言えるだろう。
その理由のひとつに、このクルマの持つ独自の世界観がある。1948年のブランドスタートから継承されるアイデンティティだ。まだ世界中のメーカーが背の高いヨンクに興味を持っていなかった時代に、このディフェンダーは生まれた。
そして、それを象徴するのはデザイン。当時の実用性に特化したミニマムな姿を現代的に再現することで、シンボリックなスタイリングを誕生させた。丸型ヘッドライトとホリゾンタルなグリル、それとスクエアなフォルムがそれを物語る。言うなれば新しいカタチの復刻版である。
90(ナインティ)、110(ワンテン)という2ドアと4ドアモデルの名称もそうだ。それぞれにインチで表したものが当時のホイールベースになるが、新型は長さに関係なく名称を使う。今後さらなるロングホイールベースの130(ワンサーティ)が追加されるが、それも同じことだ。ちなみに今回取材したグラスミアグリーンの車体は、そんな歴史を記念するモデル。75周年リミテッドエディションとして製作された。文字どおり2023年はブランド設立75周年となる。
それでは現行モデルのパワーソースだが、90には2L直4ターボのP300が、110にはそれともうひとつ3L直6+モーターのD300というディーゼルマイルドハイブリッドが積まれる。どちらもランドローバー&レンジローバーファミリーで活用する汎用性の高い信頼あるユニットだ。
実際に走らせると、それぞれ期待以上の動きをする。90のP300はとてもスポーティで、このワイルドなボディをオンロードで気持ちよく走らせる。箱根のワインディングを駆ったときはあまりの軽快なコーナリングに驚いた。
110にはディーゼルマイルドハイブリッドがしっくりくる。エンジンを回して軽快に走る90とは違い、太いトルクでグイッと動き出す感じがイメージどおりだ。オフローダーのキャラクターがそこに集約される。このユニットはセッティングを変えてレンジローバーにも搭載されるが、そちらもベストマッチングといえるほど気持ちがいい。
そんなディフェンダーの初代シリーズ1からすべてのモデルを試乗したことがある。その意味からも復刻版の出来は素晴らしいと言いたい。クルマの仕上がりと世界観を合わせ、長く付き合えるのは間違いない。
PROFILE 自動車ジャーナリスト 九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、アメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。
見た目を凌駕する走破性も見どころ
外観以上に大きく進化したのはインテリア。メーターとセンターディスプレイが一体化したことで、視認性や操作性が大きく向上。デジタル世代のユーザーの期待にも応えてくれるはず。シフトポジションスイッチが小型化したこともニュースだ。
インテリアはあえて無骨さを残すシンプルなデザインが選ばれた。乗る人のアウトドア気分を高める仕上がりだ。そしてラゲッジの使いやすさはご覧の通り。横開きのゲートにオリジナル性を感じる。
ランドローバー ディフェンダー 90 75TH リミテッドエディション(8速AT) ●全長×全幅×全高:4510×1995×1970mm ●車両重量:2180kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1995cc ●最高出力:300ps/5500rpm ●最大トルク:40.8kgm/2000rpm ●新車価格:1101万3000円(ディフェンダー 90 75TH リミテッドエディション)
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[セカンドチョイス:MINI 5ドア]オリジナルを超える実用性が光るモデル
ディフェンダーがそうであるようにオリジナルを継承して復活したのはミニも同じ。2001年の再リリースからすでに3世代目に移行しているが、そのアイデンティティは変わらず今日まで生き続けている。そんななかで5ドアは時代に合った実用性の高いモデルとして高い人気を得ている。コンパクトボディながら広いキャビンを設けているからだ。その存在価値は高い。
クラシックミニのセンターメーターを現代風に蘇らせたインパネ。トグルスイッチを配するなど“操作”の楽しさをアピールする。このサイズで5名乗車! ラゲッジもフレキシブルだ。
MINI クーパー D 5ドア(7速AT・DCT) ●全長×全幅×全高:4025×1725×1445mm ●ホイールベース:2565mm ●車両重量:1290kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:1496cc ●最高出力:116ps/4000rpm ●最大トルク:27.5kgm/1750-2250rpm ●新車価格:380万円~452万円(MINI クーパー 5ドア 全グレード)
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[自動車ジャーナリスト 石井昌道チョイス]今しか乗れないクルマに注目。思い切って買っても後悔しない!
文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
石井昌道氏は、自身がオーナーになっているというA110を推してくれた。本格的な走りを持ちながら実用性も確保するA110は、いま新車で買える最もホットなリアルスポーツカーである。
[ファーストチョイス:アルピーヌ A110 GT]ハンドリング性能はスポーツカーの理想型
1963年~1977年まで販売されていた、オリジナルのアルピーヌ A110を現代に復活させたのは2018年のこと。長きにわたってF1やWRCに参戦しながら本格的なスポーツカーをラインアップしていないことを嘆いた当時のCOOのカルロス・タバレス(現ステランティスCEO)が、CEOのカルロス・ゴーンに承認をとってブランドの復活を企画したことがきっかけだ。
新生A110の開発にあたっては、オリジナルA110が生産終了した後もモデルチェンジを繰り返して現代まで継続されていたことを想定したコンセプトとされた。軽量コンパクトなライトウエイトスポーツであるのはもちろんのこと、フランスのアルピーヌらしいエレガントさも重視され、デザインに力を入れた。
A110がほかに類を見ないほど優れているのは、痛快なハンドリング性能だろう。この手のミッドシップ・スポーツは、リアサスペンションにシンプルかつリーズナブルなストラット式を採用していることが多いが、A110は4輪ダブルウィッシュボーン。剛性が高く、ストロークに対するキャンバー変化が少ないというメリットを活かし、しなやかながら高いグリップ力とコントローラブルな特性を手に入れている。リアがしっかりとしているから、ミッドシップゆえのノーズの軽さを存分に発揮した俊敏なハンドリングが実現したのだ。ストラット式だとここまで俊敏にするとバランスがとれないので弱アンダーステア気味なセッティングにされるのが一般的だが、A110は限りなくニュートラルステアに近いのだ。
アルピーヌ復活第1弾にして、いきなり絶賛されたA110であるものの、時代の要請で次期型はBEV(電気自動車)になることが決定している。これだけのシャシー技術を持つのであれば、BEVでも優れたスポーツカーを生み出してくれる期待が大きい一方、現在のバッテリー技術ではどうしても重くなることは否めない。プロトタイプでは60 kWhのバッテリーを搭載しているが、これだけでおそらく400kgほど、車両重量としては1300kg~1400kg程度になってもおかしくはない。BEVにはBEVの楽しさがあるが、あのヒラヒラと舞うようなライトウエイトスポーツ特有のフィーリングは今しか味わえない。
自分は2018年式のA110を所有しているが、初期不良を無償で修理してもらった以外はトラブルゼロ。性能劣化も感じない。定期点検していれば10年乗れるだろうと確信している。もう1台の所有車であるBMW 320dは2012年式で11年目、走行距離13万kmだが、ホイールスピードセンサーがひとつ壊れただけで順調に距離を伸ばしている。以前に比べ、輸入車の信頼性があがっていることを実感しているのだ。
PROFILE 自動車ジャーナリスト 石井昌道
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動運転にも参加。幅広い視野と知見で的確な評論を行う人気レポーターだ。
ラインアップの拡充で好みの仕様が選べる
「GT」にはブラックまたはブラウンレザー仕上げの6ウェイコンフォートシートを採用。タイヤサイズは、フロントが205/40R18、リアが235/40R18となる。
撮影車両は、より高性能化が図られた「GT」。エンジンは同じだが最高出力300馬力、最大トルク34.6kgmに高められ、ゆとりのある走りを実現する。なお、同時期に追加された「S」は、「GT」と同じパワートレインに加えて、足まわりの強化とアンチロールバーの剛性アップが行われている。いずれもスポーツカーとして申し分のない走りを堪能できる。
メーター類はスポーツカーらしいデザイン。全体はブラックで統一され、精悍な印象を与えている。室内はタイトで狭いが、スポーツドライビングにはぴったりの空間といえるだろう。
アルピーヌ A110 GT(7速AT・DCT) ●全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm ●ホイールベース:2420mm ●車両重量:1120~1130kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1798cc ●最高出力:300ps/6300rpm ●最大トルク:34.6kgm/2400rpm ●新車価格:965万円(A110 GTのみ)
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[セカンドチョイス:BMW 3シリーズ ツーリング]10年先まで乗れる魅惑のワゴン
2ndチョイスとして選ぶのは、BMW 3シリーズ。自身はセダンの320dに乗るが、ここではより実用性の高いツーリングをピックアップ。スポーツワゴンとしても名高い3シリーズ ツーリングは、その走りは見事なもの。日々ハンドルを握るのが楽しくなる1台といえる。また、エレガントなルックスも魅力のポイントで、10年先までじっくり楽しめるだろう。
セダンと同じデザインとなるが、最大の違いは荷室容量だろう。ツーリングでは最大で1510Lもの容量を誇る。
今回さすがだなと思ったのは、ヘッドアップディスプレイ。目線より少し下の絶妙な位置と、必要最小限の情報をわかりやすく表示。ドライバーの気持ちを逆撫でしないところは満点だ。
BMW 320d xDrive ツーリング Mスポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4720×1825×1455mm ●ホイールベース:2850mm ●車両重量:1740kg ●エンジン:直4DOHCディーザルターボ ●排気量:1995cc ●最高出力:190ps/4000rpm ●最大トルク:40.8kgm/1750-2500rpm ●新車価格:664万円~1104万円(3シリーズツーリング全グレード)
BMW 3シリーズの新車情報を見る
相次ぐ生産中止発表!今こそ乗っておきたい2台
ジャガー Fタイプ(上)/シボレー カマロ(下)
「いつかは」ではく、「今こそ!」。先ごろ発表された2台の生産中止アナウンスに、気持ちが突き動かされるのは我々だけではないはず。手遅れになる前に、情報にも敏感でいたい。
文●大音安弘 写真●内藤敬仁
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
今後も生産終了となるモデルが増える可能性も
エンジン車も電動化が必須となる今、欧米からも大排気量のピュアエンジン車の生産終了のアナウンスが届くようになった。たとえば、ジャガーは、25年よりEVブランドへの転換を表明。現行世代が最後のピュアエンジン車となる。伝説の名車Eタイプを現代に蘇らせたFタイプは、ジャガーエンジニアたちの肝いりで生まれたクルマ好きを虜にするスペシャルティなスポーツカーであり、最後を飾る24年モデルでも、5LV8スーパーチャージャーエンジンを選択できる。回転と共に上昇する刺激的なV8エンジンサウンドやスーパーチャージャー特有の加速力を味わう最後の機会だ。
もうひとつ、時代の変化を告げる象徴的な最後の1台が、シボレー カマロだ。先日、第6世代の現行型が、24年1月で生産終了となることが公表された。将来的には新型が登場するようだが、アメリカンな6.2LのV8OHVをFRで味わうのは、これが最後だろう。今やアメ車も高価となり、おいそれとは手が出せない状況であるのが残念。ただ救いもあり、GMジャパンが今年4月より残価保証型3年間リースプランを開始した。価格次第ではあるが、乗り換えのリスクなく、最後のV8カマロが味わえるなら、悪くない選択だと思う。
まだまだほかにも最後の選択となるクルマたちは存在する。悔いが残らないように、長く愛せる新車の購入を真剣に検討してみてはいかがだろうか。
生き延びた純粋な大排気量エンジン車も、ついに終盤か。そのサウンドや加速フィールは、高性能EVとは異なり、血の通う感覚がある。ぜひ最後にご賞味あれ。
ジャガー Fタイプの新車情報を見る
シボレー カマロの新車情報を見る
本誌スタッフの10年乗ったクルマ「しっかり乗って維持することが大切です」
大切にしすぎて温存体制にしたのがまずかったのか、最近では乗るたびに不具合が発生するという編集部 鎌田のシトロエン C6。やっぱり、クルマは乗ることも大切ですね!
文と写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
編集部きっての長距離爆走男、鎌田。試乗会だ撮影だと、仕事で散々各車のステアリングを握っているにもかかわらず、プライベートでも長年「年間3万km以上」走り続け、これまで所有した車両の多くも「乗りすぎ」が原因で手放すパターンを繰り返してきた。しかし、そんな彼が完全プライベート用で猫可愛がりしているシトロエンが、今度は「乗らなすぎ」が原因で苦しんでいるという。
「とにかく久々に乗ろうとすると必ずどこか不具合があって、この間はワイパー不動の原因探求で、車検を半年も継続できず工場に置かせてもらいました」というから残念すぎる。現在はモグラ叩きのように電気系のトラブルと戦っているという。
「振り返ると、この2年はほとんど整備工場への搬入でしか乗っていない気がする(苦笑)。定期的にエンジンはかけていたものの、温存するために乗り渋ったのが原因としか思えない不具合」なんだとか。やはりクルマは愛すべき対象であると同時に機械であるからにして、しっかり乗ることも大切ですよ!という教訓的なお話でした。
グーワールド編集部員らしく、これまで20台近くの「中古輸入車」を購入。しかし、最も大切にしている1台で玉砕中(笑)。
[愛車と共に過ごすイベントが再開]クラシックカーを通じて語り合う
メルセデス・ベンツ公式の博物館であるメルセデス・ベンツミュージアムでは、クルマ趣味の同志が集うイベントが開催される。コロナ禍で中断されていた、メーカー不問のクラシックモデルの集まり「クラシック&コーヒー」が再開された。
文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ、ユニット・コンパス
上と下の写真は、メルセデス・ベンツミュージアムで開催された「クラシックス&コーヒー」の模様だ。同じ趣味を持つもの同士が集い、語り合う。ただそれだけのイベントであるが、コロナ禍を経験した我々にとっては、それがどれだけ人生に潤いを与えてくれるかを知っている。
ドイツでは、クルマを長く所有することを社会として後押ししている。もともと、ドイツ社会ではよいものを長く使うことが美徳とされており、さらに国の基幹産業であることもあって、ヒストリックカーは優遇されている。初度登録から30年経過したクルマが取得できる「H(ヒストリカル)ナンバー」は、税金が排気量に関わらず一律となるし、低排出ガスゾーンの走行も認められる。
日本では熱心なファンか富裕層の趣味となっているクラシックカー趣味だが、よいものを長く愛用するという感覚は日本にも共通するはず。より多くの人がクルマ趣味を楽しむためにも、日本でもヒストリックカーの所有を優遇するような制度を取り入れていく必要があるだろう。
メルセデス公式の博物館でありながら、他メーカーのクルマも参加可能。製造会社の垣根を越え、愛車について語り合う場だ。
ナンバープレートの右端にある数字は、1年の間で3月から10月まで走行できるという意味。期間を短く区切ることで、税金が安くなる。これもクラシックカーユーザーにうれしい仕組みだ。
ドイツでは初度登録から30年経つとヒストリカルナンバーの権利が与えられる。税金が年間一律となり、大排気量モデルにとってはかなりの節税になる。社会全体で旧車をサポートする。
[パリで見かけた素敵なクルマたち]大切なのは、そのクルマが愛せるかどうか
クルマ文化が発展している欧州では、10年どころか、数十年にわたり1台のクルマを愛用しているユーザーがたくさんいる。ここでは、フランスのパリで行われていた、旧車乗りたちの集いを紹介する。
文と写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
価格の話題が先行する旧車ブームに違和感
旧車の中古車相場高騰がなかなか収まらない。これまでは、人気の高い名車系が高値をつけていたが、ブームに便乗して普通の旧車までもが高額なプライスタグを付けている状況に、驚きと若干の落胆を覚える。
中古車販売はビジネスで、旧車は台数に限りがあるから需要が高まれば価格が上がることは当たり前だ。しかし、なかには投機目的と思われる、愛とリスペクトに欠けるシーンが散見されると、しらけてしまうのだ。
なんでもかんでも欧州が文化的に優れているとは言いたくないが、旧車と過ごすライフスタイルについては、まだまだ欧州ユーザーに教わることが多そうだ。
たとえば、パリの街中で休日に行われるクラシックモデルの集い。日時と場所が決まっているだけで、やることは愛車で付近を走り、すれ違いざまに挨拶を交わし、お互いの健康をたたえあうだけ。駐車場を長時間占拠して顰蹙をかうこともない。
愛車は人生のパートナー。パリの旧車コミュニティは、そんな当たり前で大切なことを教えてくれる。
信号待ちのちょっとした時間に、顔見知りと挨拶を交わす。温かくも、適度な距離感の取り方が大人っぽくて好印象であった。
パリで週末の朝、旧車が集まるという噂を聞き、編集部も現地に駆けつけた。旧車たちは、基本的に停まることはせず、お互いをたたえながら解散する。その車種やオーナー像も多彩だった。
USED CAR|これから10年乗れる中古車選び
買ったら絶対に手放したくない。オーナーならば一度はそう考えることはあるはず。そこで今回は、10年乗っても色褪せないこだわりの1台をピックアップしてみた。
文●ユニット・コンパス
メルセデス・ベンツ Gクラス(先代)/長く乗り続けられる伝統のクロスカントリー
70年代後半に登場して以来、日本でも大人気となったGクラス。2018年にモデルチェンジを受けたものの、四角くてゴツい外観は継承され、旧来のファンを喜ばせた。
今回取り上げるのは先代モデルで、取材車両は2014年モデルの「G 350 ブルーテック」。パワートレインは3LV6ディーゼルターボを搭載し、トルクフルな走りと低燃費を両立。中古車として流通する先代Gクラスは、ほかにも5.4LV8ターボなどが存在するが、物件はディーゼル車の割合が多く買いやすい。
生産期間は長いが、あまり古い車両は残存しておらず、中古車市場に流通する物件の大半は00年代以降のもの。走行距離は5万km以上が多いが、極端な多走行車は逆に少ない状況。予算は最低でも500万円は確保しておきたい。良質な車両を見つければ一生モノの愛車になるだろう。
中古車参考価格帯:400万円~2600万円(※91年~18年 全グレード)
入手しやすさポイント:★★★☆☆
レザーシートを採用したインテリアは、高級感にあふれている。サイドガラスの位置が低く、後部座席でも見晴らしがよい。頭上空間にもゆとりがあり、快適性は高い。
3LV6ディーゼルは、最高出力211馬力、最大トルク55.1kgmを発揮する。
横開きのドアが特徴的。フロアが低く、荷物の積み下ろしも楽である。
ポルシェ 911(タイプ991)/極めて高いリセール価値で長く乗り続けられる1台
購入時の価格は高いが、いつまでもその価値を維持できる911は10年以上乗れるクルマの筆頭。先代のタイプ991は、現行型が登場した現在でも高値をキープ。物件が多いのは、ベーシックな「カレラ」。それでも最低800万円の予算は確保しておきたいところだ。
中古車参考価格帯:780万円~2000万円(※11年~19年 GT3系を除く)
入手しやすさポイント:★★☆☆☆
タイトで無駄のないコックピットは、ピュアスポーツそのもの。リアエンジン車ゆえフロントに小さな荷物が収まるスペースがある。実用性は意外と高い。
アバルト 124スパイダー/海外ブランドとしては希少なオープン2座スポーツ
アバルトのオープンモデルは、趣味車として長く乗りたくなる魅力がある。イタリアブランドだが、生産は国内のマツダ工場が行っており、信頼性が高いのも魅力。エンジンは170馬力の1.4L直4ターボが搭載される。まだ良質な物件が残っており、価格も現実的である。
中古車参考価格帯:280万円~480万円(※16年~21年 全グレード)
入手しやすさポイント:★★☆☆☆
ベースとなったマツダ ロードスターとは異なり、エンジンはより高性能な1.4L直4ターボを搭載。6速MTと6速ATを設定し、走りを存分に楽しめるモデル。
ルノー カングー(先代)/高い実用性と飽きのこないデザインが魅力
実用車として長く使いたいならカングーがおすすめ。ボディサイズが大きくなった先代は、ゆとりのある快適な室内が魅力。販売期間が長いこともあり、物件数が多く入手しやすい。多走行車は100万円以下のものが多いが、低走行車は200万円超えが中心となる。
中古車参考価格帯:100万円~380万円(※09年~22年 全グレード)
入手しやすさポイント:★★★★☆
観音扉バックドアにより、狭い駐車場でも開け閉め可能。曲面が多用されたコックピットは、上品で柔らかなイメージを与える。頭上空間も広々している。
フォルクスワーゲン ザ・ビートル カブリオレ/生産台数が少なく今後価値が高まりそうなカブリオレ
生産終了したザ・ビートルは、今後価値が上がりそうな1台。特に販売期間が短いカブリオレは、中古車市場でも希少で、欲しいなら早めに探しておきたい。中古車価格の最低ラインはおよそ230万円だが、状態のよいものは300万円を超えるものも目立つ。
中古車参考価格帯:230万円~350万円(※13年~16年 全グレード)
入手しやすさポイント:★★☆☆☆
肩の力を抜いて乗れるオープンモデルで、ボディ同色のインパネなど遊び心にあふれている。後部座席は狭いため、手荷物置きとして使うことになりそうだ。
アウディ TT RS/2.5L直5ターボエンジンは語り継がれる名機
硬派なミドルスポーツとして名高いTT RS。その評価すべきポイントは、パワフルな2.5L5気筒ターボエンジン。アウディの内燃機関RSモデルということもあり、希少価値は高い。中古車は最低でも680万円以上と高めだが、それに見合う価値はあるクルマ。
中古車参考価格帯:680万円~1100万円(※17年~22年 全グレード)
入手しやすさポイント:★☆☆☆☆
最高出力400馬力を誇る2.5L直5ターボに7速Sトロニックを組み合わせる。室内にはスポーツシートを採用し、サーキット走行も楽しめるだろう。
メルセデス・ベンツ Cクラス(先代)/10年乗っても安心と安全のメルセデス
モデルチェンジを受け、価格が下がった先代Cクラス。新車販売台数が多いため、物件数が豊富で好みのグレードを選びやすい。特に買いやすいのが、2L直4ターボの「C 200 アバンギャルド」、1.6L直4ターボの「C 180 アバンギャルド AMGライン」である。
中古車参考価格帯:130万円~480万円(※14年~22年 AMGを除く)
入手しやすさポイント:★★★★★
先代モデルといえども、インテリアに古さは感じない。クルマの内外装は日進月歩の進化を遂げるが、Cクラスなら10年後でも色褪せることはなさそうだ。
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昔から変わらんよ
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という但し書きしか印象に……。