アダプティブダンパーの装備は正解
F87型のBMW M2は、モデルライフ末期にある。それでも、シャシーの完成度は鮮烈なまま。前後の重量配分は50:50と理想的。各所に追加された補強ブレースの助けもあり、魅力的で味わい深いハンドリングを実現している。
サスペンションは大幅に改良を受け、M2としては初めて、アダプティブダンパーが標準装備された。ダイレクトで粘り強い走りを支えている。バランスも秀逸だ。
卓越したニュートラルさを獲得している、ミドシップのケイマンGT4ほどではない。しかしFRモデルで見れば、M2 CSに並ぶ究極ともいえる操縦性の精度を備えるモデルは、極めて少ない。
周回を重ねていくと、特に高速コーナーで、わずかにアンダーステアが残っている。アクセルペダルの力を緩めるか、ブレーキペダルを踏み込むことで、ラインを戻せる。
BMW M部門の開発を率いるディルク・ヘッカーの話では、これは意図的なもの。ドライバーへ危険性を知らせるためだという。
試乗したザクセンリンク・サーキットを走り込むほどに、M2 CSへアダプティブダンパーを装備させたのは正解だったと理解できる。M2コンペティションよりボディの動きはシャープで、ロールも制御できている。フラットな姿勢を保ち、コーナリング特性は引き上げられている。
コーナーで有効さがわかるのが、軽量なカーボンファイバー製ルーフ。単なるファッションアイテムではない。
M2コンペより明確なアドバンテージ
「軽量なルーフは重心高を下げることに貢献しています。新しいサンドイッチ構造を採用し、従来のカーボン製ルーフより軽量なだけでなく、剛性も高めています」 とディルクは説明する。
ステアリングの操舵感も鋭さを増したようだ。電動パワーステアリング・ラック自体はM2コンペティションと同じものだが、キャンバー角はわずかに寝かされた。アダプティブダンパーの助けで感度も上がり、精度も増している。
重み付けも適正で、反応や感触もリニア。コンパクトなMモデルに期待通りの、ステアリング・フィールを得ている。
フィードバックが向上しているかどうかは、一般道を走り込んでみないとわからない。少なくとも、自然に直進状態に戻ろうとするセルフセンタリングは強く、ドライビング体験を一層高めた性格であることは間違いないだろう。
控えめな走行を数周終えた頃には、路面はすっかり乾いていた。M2 CSを本気で攻め立てる環境が整った。滑らかな路面に、ソフトコンパウンドのミシュラン・パイロット・スポーツカップが良く食いつきそうだ。
半径が一定のコーナーへ侵入する。タイヤのグリップを頼りにラインを保ち、頂点を過ぎたところで不安感なくアクセルオン。グリップ力が増えたことで、コーナリングスピードも高まっている。M2コンペティションより、明確なアドバンテージがある。
「細かなシャシーセッティングの積み重ねによるものです。ニュルブルクリンクでは、M2コンペティションより8秒速く周回できます」 ディルクがM2 CSの仕上がりに自信を見せる。
強力で感触も確かな大径ブレーキ
M2コンペティションをベースに開発されたM2 CSは、ステアリングホイールに付くMボタンへ、プリセット値が登録されている。ドライバーは、どちらか好みの設定をすぐに選べる。
このクルマにピッタリのM2モードは、ダイナミクス・スタビリティ・コントロール(DSC)がオフの状態。低速コーナーでタイヤのグリップ力を打ち破れば、漸進的にオーバーステアへ持ち込める。ドリフトアングルの修正には、わずかなカウンターステアを当てるだけで充分。
この絶妙にコントロールされた感覚は、ドライバーへ大きな自信を与えてくれる。電子制御のMディファレンシャルは、必要に応じて左右のリアタイヤへ伝えるトルクを分配。条件が許せば、派手なスモークもいとわない。
ブレーキも素晴らしい。フロントは400mm、リアは380mmのスチールディスクが奢られ、M2コンペティションより大径。キャリパーはフロントが6ポッドでリアが4ポッド。強力なだけでなくブレーキペダルへ確かな感触を伝えてくれる。
もし希望なら、カーボンファイバー製ディスクも用意されている。値は張るが。
今回の試乗は、すべての時間をサーキットで過ごした。M2 CSの乗り心地は、充分に確認できなかった。アダプティブダンパーを採用するMモデルの経験から察するに、少なくともM2コンペティションよりしなやかさは増しているはず。
ザクセンリンク・サーキットのピットレーンには舗装の継ぎ目があり、低速で通過した限り、硬さは目立っていた。ちなみにフロントはマクファーソンストラット式、リアはマルチリンク式だ。公道で改めて確かめてみたい。
2020年のベスト・ドライバーズカーの1台
BMW M2 CSは、期待以上の完成度を獲得している。M2コンペティションより明確に機敏で力強く、サーキットでも、より楽しめる。
アダプティブダンパーを採用し、全面的に手直しされた素晴らしいシャシーが、訴求力の基礎をなしている。エンジンは輝きを失うことなく、小さなMモデルに白眉の動力性能を与えている。
F87型M2コンペティションが登場したのは、2019年。これを超えることは可能なのか、はじめは疑問だった。その答えが、このM2 CSだ。乗り心地はまだ確かめられていないが、2020年のベスト・ドライバーズカーの1台であることは間違いない。
価格は高い。しかし、走り込むほどにその見返りは得られるはず。BMW M2 CSを路上でドライブできる日が、楽しみでならない。ちなみに日本導入予定の60台は、完売済みだという。
BMW M2 CS(欧州仕様)のスペック
価格:7万5320ポンド(994万円)
全長:4460mm
全幅:1872mm
全高:1415mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:4.0秒
燃費:10.9-11.1km/L
CO2排出量:206-209g/km
乾燥重量:1572kg
パワートレイン:直列6気筒2979ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6250rpm
最大トルク:55.8kg-m/2350-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
今1番欲しいモデル。
リセールもBMWは悪すぎ。
この車にその程の価値が無いと世間の価値観。
もっと安ければ欲しい。