もくじ
ー 自動車博物館にも収蔵できそう
ー 鯛は腐っても鯛
ー レクサスSC430の中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見
アルピーヌA110新型、国内最速試乗 4C/エリーゼよりもケイマン寄り
自動車博物館にも収蔵できそう
レクサスSC430は、2001年から2009年にかけて製造された。しかし、まだ黎明期のランフラットタイヤよる、はっきりしないハンドリングとゴツゴツした乗り心地で、発表当時の評判は良くなかった。2002年と2004年にはサスペンションに改良を受けたが、ライバル、メルセデス・ベンツSLの人気に押され、販売面では伸び悩んだ。
今でもSCへの注目は高いものではないが、クルマの中身を見ると、自動車博物館に収められても良さそうにさえ思える。286psを発生させる自然吸気の4.3ℓのV8エンジンは5速ATを介して後輪を駆動し、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションに、アルミニウム製のフォールディング・ルーフを備えている。開け閉めするのに、25秒もかかるけれど。
2+2のキャビンは当時の最新テクノロジーが満載。もちろんレクサスだから、それらの機器の故障は心配不要だろう。エアコンは、ルーフの開閉状態やクルマの走行スピード、周囲の気温を判断し、冷風や温風を自動的に切り替えて送風する。強力なマーク・レビンソン製のステレオにシートヒーター、電動調整式のステアリングコラム、タッチスクリーン式のナビゲーションなどを備える。
明らかにタッチスクリーン式のシステムは旧式然としているが、英国の場合、専門業者に依頼すれば、2200ポンド(31万円)でマーク・レビンソン製のセンターシステムに換装してくれる。さらにバックカメラの追加も可能。オリジナルのダッシュボードにピッタリと収まる。
内装はレザー張りで、ドアパネルやダッシュボードには、楽器メーカーのヤマハの協力を得た、本木目の美しい塗装が施されたトリムパネルが飾られている。全ての部品は非常に美しく組み立てられ、品質は現代のクルマにも負けてはいない。
鯛は腐っても鯛
価格は2002年モデルで17万7000kmの走行距離のクルマが3000ポンド(43万円)。2002年式でも、後期モデルなら改良を受けたサスペンションで、乗り心地とハンドリングが向上している。さらに2004年には、新しいダンパーと改良を加えたシャシーを投入している。その結果、柔軟な乗り心地と、シャープなハンドリングを獲得している。
中期型のモデルなら、7500ポンド(108万円)くらいから。2005年にはマイナーチェンジを受けており、バンパーと18インチ・アルミホイールのデザインが変更されている。
SCのオーナーはレクサスというブランドもあって、全般的に丁寧に乗るひとが多い。1~2オーナーで低走行、レクサス正規ディーラーの整備記録がしっかり残ったクルマも簡単に見つかる。
最も新しいクルマでも9年目となるから、幾つかの目につく劣化は避けられないだろう。一番古い車なら17年目となる。アンダーボディのサビを確認し、サスペンションの動きや、タイミングベルトやウォーターポンプの交換履歴、油脂類の状態、トランスミッションの動作には気をつけておきたい。また、どの年式でもO2センサーとタイヤの空気圧センサーは弱点の一つとなる。
といっても、多少古くても良いクルマは良い。一度乗ってみるのも悪くないと思う。
レクサスSC430の中古車 購入時の注意点
エンジン
ラジエーター液の不足で、エンジンヘッドのガスケットが割れたケースがある。トランスミッションのオイルクーラーに漏れる恐れもあるため、ラジエーター液の量は確認しておきたい。その逆に、トランスミッションフルードが、ラジエーターに染み出てしまう場合もある。
排気系統に付いているO2センサーは不具合が起きやすい。エンジンのスターターモーターも弱く、インテークマニホールドの下に付いている。燃料蒸発ガスを留めるキャニスターも不具合を起こすポイント。交換にはかなりの費用がかかる。
タイミングベルトは16万kmでの交換が必要。センターベルト・テンショナーとウォーターポンプも同じタイミングで交換しておきたい。
トランスミッション
基本的には非常にスムーズ。もし動作がおかしい場合は、クーラントの混入の可能性がある。トランスミッションのフルードは、7万2000kmで交換しておきたい。
ホイール、ブレーキ、サスペンション
リアのサスペンション・アームと、フロントのハブベアリングを確認。初期型のクルマで乗り心地が悪い場合は、フロントのコントロールアーム・ブッシュの劣化が考えられる。異音もないか確認したい。サスペンションの主要部品はアルミニウム製だが、一部鉄製の部品はサビに注意。ブレーキフルードのパイプも錆びる。
タイヤの空気圧センサーも正常に動作するか確認する。オーナーに寄っては無効にしている場合もある。
ステアリングホイールの操作時に聞こえる異音は、スパイラルケーブルの不具合だが、交換は高くつく。
ボデイ
アンダーボディのサビに注意。特にリア周りやリアアスクル、サブフレーム周りは錆びやすい。
フォールディングハードトップ
ポジションセンサーが故障する場合がある。シール類やアルミニウム製の屋根の状態も確認する。
インテリア
ステレオが正常に動くか確認する。サブウーファーとドアスピーカーから音が出ない場合がある。
専門家の意見を聞いてみる
リー・マシー(オーナー)
「わたしは元レクサスの技術者で、このクルマを含めて2台のSC430を持っています。2002年式と2004年式で、どちらも13万km弱走っています」
「このクルマは、私がレクサスで働いていた時代のことを思い起こさせてくれますし、品質の高さのおかげで今まで不具合は起きていません」
「ほかのパワフルなクルマも魅力的かもしれませんが、修理費が不安で眠れない夜を過ごす必要もない、SCが一番だと思いますよ」
知っておくべきこと
驚くべきことに、レクサスのアプルーブドカーとして、まだSC430を購入することができる。英国の場合、この記事を書いている時点で7台のクルマが販売されていた。価格は1万990ポンド(158万円)から1万6995ポンド(230万円)の間だった。
いくら払うべき?
2750~3500ポンド(39万円~50万円)
過走行車で、整備記録も完全ではないクルマが多数見つかる。
7000~8995ポンド(100万~128万円)
2002年から2003年式で、16万km前後のいい状態のクルマがある。整備記録も揃い、所有歴も確かなものが多い。
9000~1万995ポンド(129万~157万円)
2005年から2007年式クルマが中心。走行距離は10万km前後。
1万1000~1万3995ポンド(158万~201万円)
2007年式前後のクルマで、走行距離は8万km前後。
1万4000~1万6995ポンド(202万~245万円)
ベストコンディションのクルマ。
掘り出し物を発見
レクサスSC430
2004年後期 11万2000km 7995ポンド(115万円)
レクサスの整備記録が全て揃い、タイミングベルトは最近交換してある。2004年式は改良を受けたサスペンションを装備し、乗り心地とハンドリングが改善している。AUTOCARでは、この改良は成功例だと当時は評価している。
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