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スポーティさとパワフルさ ポルシェ・パナメーラ PHEVの試作車へ試乗 3代目へ一新

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スポーティさとパワフルさ ポルシェ・パナメーラ PHEVの試作車へ試乗 3代目へ一新

シャープさを増したスタイリング

2020年にバッテリーEVのポルシェ・タイカンが登場したことで、似たシルエットを持つパナメーラの将来へ疑問を抱いたのは、筆者だけではないだろう。動力源が異なっても、兄弟のように見えるサルーンを擁することは不思議に思えた。

【画像】3代目へ一新 ポルシェ・パナメーラのPHEV 競合クラスのサルーンと比較 2代目も 全115枚

しかし、ポルシェは内燃エンジンのラグジュアリー・サルーンを今後も作り続けるという。少なくとも2030年までは、バッテリーEVへのシフトが進む英国でも、販売される見込みだという。

そんなパナメーラが、3代目へモデルチェンジする。正式発表に先駆けて、同社取締役による走行テストを終えた最終プロトタイプへの試乗に、筆者はお招きいただいた。量産仕様は、9月からドイツ・ライプツィヒ工場で生産が始まる。

モデルラインナップの責任者、トーマス・フライマス氏へお話を伺う。「微調整は必要ですが、ここまでは順調に進んでいます。主要な開発は完了しました」

プロトタイプには軽い偽造が施されていたものの、スタイリングがシャープになったことは間違いない。グラスエリアが上下に薄く、テールエンドが滑らかなリフトバックの5ドアであることに変わりはないが、2代目より洗練度を増している。

ヘッドライトやフロントグリルの処理は新しく、ホイールも新デザイン。フォルムは伸びやかで、フロントフェンダーやボンネットの主張が増している。面構成はタイトになったようだ。

ホイールベースが伸び、リアドアは開口部が大きく取られ乗降性も改善。しっかり先代と差別化されている。

最新版のカイエンに近いインテリア

インテリアは大幅に刷新された。まだ写真はご覧いただけないが、メーターパネルはモニター式で、インフォテインメント用タッチモニターも新しい。ステアリングホイールには、ドライブモードを選べるスイッチが配されている。

全体的な印象としては、最新版のカイエンに近い。シフトセレクターは、ダッシュボード側へ移されている。インフォテインメント・システムは、ストリーミング・サービスにも対応するという。

乗員空間はゆとりが増した。主にリアシート側の前後長と、荷室容量が拡大したそうだ。

「プラットフォームやボディ構造、ドライブトレイン、サスペンションやソフトウエアなどへ、大幅な改良が施されています」。とフライマスは強調する。

新しいパナメーラが基礎骨格とするのは、フォルクスワーゲン・グループに属するポルシェとベントレーによって共同開発された、モジュラー・スポーツ・ツールキットと呼ばれるプラットフォーム。例によって、シャシー剛性は強化されている。

特徴となるのが、フロントのバルクヘット部分。フォーム材を充填したスチール構造を採用している。リアまわりには補強ブレースが備わり、フレームレスのテールゲートを与えることも可能になったという。

新しい4.0L V8ツインターボ+モーター

それ以上に注目すべきが、パワートレインだろう。エンジンのラインナップが、V6とV8のガソリンターボということに変わりはない。だが、最高出力650ps以上とうたわれるターボ E-ハイブリッドを筆頭に、4種のプラグイン・ハイブリッドが揃えられる。

そのターボ E-ハイブリッドの場合、4.0L V8ツインターボエンジンに新設計の駆動用モーターが組み合わされ、25.9kWhの駆動用バッテリーを搭載。従来の17.9kWhから容量を増しつつ、重さは約300kgで22kgの増加に留めている。

駆動用モーターは、デュアルクラッチATの内部に組み込まれ、54ps増しの180psを発揮。冷却系も見直され、最大80kWの回生能力も備わる。駆動用バッテリーの大容量化と相まって、電気だけで走れる距離は70%も伸び、85kmに届くという。

充電能力はACで11kWまで。2代目は3.6kWまでだったから、こちらも良くなった。

V8エンジン自体も、これまでのツインスクロールからシングルスクロールへ変更された、新しいターボチャージャーを獲得。冷間時の排気ガスをクリーンにし、高負荷時には燃費も向上できたとしている。

クランクシャフトやピストンも再設計。燃料インジェクションの噴霧圧は、250barから350barへ強化されている。

ドライブモードには、E-パワー、ハイブリッド、スポーツ、スポーツプラスの4種類を設定。多様な走行特性を宿している。

従来以上のスポーティさとパワフルさ

内燃エンジンを用いないE-パワー・モードで走らせてみると、従来のパナメーラ・ターボS E-ハイブリッドより確実にパワフル。アクセルペダルを緩めるとスルスルと惰性走行し、機械的な内部抵抗も大幅に低減されているようだ。

ハイブリッド・モードへ切り替えれば、目に見えてレスポンスが向上。V8エンジンと駆動用モーターが協働し、驚異的なパフォーマンスを披露する。それでいて素直で滑らか。日常的な環境でも扱いやすい。

シングルスクロール・ターボがブースト圧を高めるまで、駆動用モーターがしっかりトルクを加算。アクセルペダルを傾けた瞬間から、鋭く加速が始まる。シフトダウンする必要性を感じないほど。

ポルシェは、プラグイン・ハイブリッドの3代目パナメーラへ、従来以上のスポーティさとパワフルさを与えたいと考えた。確かに、プロトタイプのターボ E-ハイブリッドは、それを叶えたようだ。

可変式の四輪駆動システムと、トルクベクタリング機能により、トラクションも秀抜。巡航時はエンジンの存在感が薄く、駆動用モーターのノイズは小さく、長距離も快適に移動できるだろう。

乗り心地にも不満はなし。舗装の剥がれた穴などを通過しても、落ち着きを乱さない。ダイレクトな操縦性も、2.3tある車重を感じさせないといっていい

2種類のエアサスペンションが選べる

新しいパナメーラでは、一般的なデュアルチャンバーと、最新のカイエンと同じシングルチャンバーの、2種類のエアサスペンションが選べるとのこと。両者には、瞬間的に反応するツインステージ・ダンパーが組まれる。

「妥協はなくなったといえます。圧縮と伸張、それぞれの減衰力を個別に調整することで、漸進的で滑らかな動きを実現させました」。フライマスが自信をうかがわせる。

ステアリングの反応は、即時的で極めて正確。後輪操舵システムを備え、敏捷性にも唸らされた。

プロトタイプが履いていたタイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツ。フロントが275/40、リアが315/35というサイズの20インチで、知的な四輪駆動システムと相まって、確かな足取りを実現させていた。

これから更に僅かな調整が施されるということだが、走りに関しては、手を加える必要性を筆者はまったく感じなかった。徹底的な技術が盛り込まれた、頼もしく感銘を与えるサルーンへ仕上がることは、間違いなさそうだ。

ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)のスペック

英国価格:約15万ポンド(約2715万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:315km/h(予想)
0-100km/h加速:3.1秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2300kg以上
パワートレイン:V型8気筒3996ccツインターボチャージャー+同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:650ps以上(システム総合)
最大トルク:91.6kg-m以上(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック/四輪駆動

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