銀幕のヴィラン、設計者自らの手で蘇る
デザインのコンサルティング会社であるカラム(CALLUM)は、かつて発売中止となったジャガーのスーパーカー「C-X75」の公道走行可能な車両を公開した。
【画像】発売中止となった「不運なスーパーカー」がまさかの復活!【蘇ったジャガーC-X75を写真で見る】 全7枚
同社は著名な自動車デザイナー、イアン・カラム氏がジャガーから退任後に設立した会社で、C-X75の製作はこれで2台目となる。「実現しなかった」プロジェクトの「満足のいく結末」であると説明されている。
オリジナルのC-X75は、カラム氏がデザインを監修し、2010年のパリ・モーターショーで発表された後、2011年5月に限定生産が決定した。しかし、翌年には世界的な景気後退により中止となった。
その後、2015年公開の映画『007 スペクター』で、悪役ミスター・ヒンクスの専用車として登場した。スタントカーが数台製作され、チューブラー・スペースフレーム・シャシーとスーパーチャージャー付き5.0L V8エンジンを搭載した。なお、市販モデルには当初、ツインターボの1.6L 4気筒ハイブリッドが搭載される予定だった。
映画公開後、一部のスタントカーはコレクターの手に渡り、今年初めには、カラム社が公道走行に適合するよう改造した車両を1台公開した。
今回はさらに一歩踏み込み、C-X75が発売されていたら備わっていたであろう機能の多くを復元した。
可変エアロと2種類のドライブモード搭載
例えば、カラム社独自の電子制御機器およびソフトウェアを開発し、2種類のドライブモードを搭載した。1つは公道用、もう1つはサーキット用で、エグゾーストの開放、シフトチェンジの高速化、スロットルレスポンスの向上が図られている。
また、時速60km以上での安定性を向上させ、ハードストップを支援するエアブレーキ付きのアクティブ・エアロダイナミクスも開発された。
さらに、低速での段差の乗り越えを助ける油圧式ノーズリフターが追加され、スーパーチャージャー付きV8エンジンは最新の7速デュアルクラッチ・トランスミッションと組み合わされた。
ボディはウィローグリーンに再塗装され、パネルの隙間を最小限に抑えている。リアライトは光の拡散を改善するために改良された。
インテリアは、オリジナルのスタントカーでは必要最小限だったが、ブガッティ・シロンに似た全く新しいセットアップに交換された。3つの小型タッチスクリーン(アップル・カープレイとダイヤルコントロール付き)がセンターコンソールに沿って縦に並べられ、重要なコントロール(イグニッションボタンなど)はルーフマウントのコンソールに配置されている。
ステアリングホイールはビレットから機械加工され、レザーはスコットランドの有名企業ブリッジ・オブ・ウィアーから調達された。
「エアコンやプレミアムオーディオなどの機能を統合し、外気から遮断するドアのシールの設計といった洗練性の要素をバランスさせながら、同時に素晴らしいサウンドを維持することは、非常に困難な挑戦でしたが、非常にやりがいのあるものでした」と、エンジニアリング責任者のアダム・ドナフレスコ氏は語った。
イアン・カラム氏は次のように付け加えた。
「C-X75は、可能性に満ちたクルマでした。わたし達は、お客様の希望と綿密に設計されたソリューションを組み合わせ、C-X75をふさわしい満足のいくものへ仕上げました」
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