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【F1データ主義】メルセデスやマクラーレンを襲ったタイヤのパンク。ラップタイムから負荷を考察

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【F1データ主義】メルセデスやマクラーレンを襲ったタイヤのパンク。ラップタイムから負荷を考察

 8月4日、ピレリが第4戦イギリスGPで発生したレース終盤のパンクに関する調査結果を発表した。主な原因のひとつとして、2020年のF1マシンのペースが格段に向上していることを挙げた。

 ピレリのマリオ・イゾラ(ヘッド・オブ・カーレーシング)によれば、「今年のポールポジションタイムは2019年と比較して1.2秒速かったため、タイヤにかつてない程の強大な負荷が発生。その結果、イギリスGPのファイナルラップで厳しい結果を招いてしまった」という。

ピレリがパンク原因を発表「史上最速F1マシンの巨大な負荷の下、長時間走ったことで、激しく摩耗」

 しかし、今年のイギリスGPでは全車がパンクに見舞われたわけではなく、4台のみ。このうち、レース序盤のダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)のパンクは「他の状況とはまったく異なる」(イゾラ)というから除外すると、3台のみとなり、そのうち2台はメルセデスである。

 それでは、今年のイギリスGPは昨年と比べてどれくらい速かったのだろうか。チームごとの最速タイムを2019年と2020年で比較してみた(※データ1)。

【データ】2019年(左)と2020年(右)の予選タイム比較(速いほうのドライバーで算出)
(△は前年より速くなった差、▼は前年より遅くなった差)
メルセデス 1分25秒093→1分24秒303(△0.79秒)
レッドブル・ホンダ 1分25秒276→1分25秒325(▼0.049秒)
フェラーリ 1分25秒172→1分25秒427(▼0.255秒)
マクラーレン 1分26秒224→1分25秒782(△0.442秒)
レーシングポイント 1分26秒928→1分25秒839(△1.089秒)
ルノー 1分26秒182→1分26秒009(△0.173秒)
アルファタウリ・ホンダ 1分26秒345→1分26秒501(▼0.156秒)
ウイリアムズ 1分27秒789→1分27秒092(△0.697秒)
ハース 1分26秒757→1分27秒158(▼0.401秒)
アルファロメオ 1分26秒519→1分27秒164(▼0.645秒)

 このデータを見ればわかるように、パンクしたメルセデスは約0.7秒、マクラーレンも約0.4秒、昨年より速くなっている。では、昨年より予選のラップタイムが速くなっているレーシングポイント、ルノー、ウイリアムズは、なぜパンクしなかったのだろうか。

 まずルノーは昨年から0.173秒しか速くなっていないため、タイヤへのストレスもパンクするほど大きなものではなかったのかもしれない。

 次にレーシングポイントだ。2019年に比べて10チーム中、最も上がり代が大きく、メルセデスをしのいで1秒以上速くなっている。しかし、それは予選に限ったもので、予選6番手のランス・ストロールのレースにおける最速タイムは18人中13位とそれほど上がらなかった。

 マクラーレンのサインツJr.もレースでの最速タイムは10位だったが、そのタイムは1分29秒948と、ストロールの1分30秒475よりコンマ5秒も速い。ちなみに、ストロールの2019年の最速タイムは1分29秒390で、レースペースは2019年より大きく遅れていた。そのことが、マクラーレンほどタイヤを酷使せずに済み、パンクを免れていたのかもしれない。

 ウイリアムズも、予選ではメルセデスやマクラーレンと同じように昨年よりコンマ7秒程度速くなったものの、いかんせん絶対的なスピードが足りていなかった。レースの最速タイムではニコラス・ラティフィは14位、ジョージ・ラッセルも16位で、いずれも1分30秒後半と、メルセデスより1秒以上遅いペースだった。

 この結果を踏まえ、ピレリは70周年記念グランプリで、内圧を上げてくることを検討しているという。それがどの程度になるかにもよるが、それでも70周年記念グランプリではラップタイムが速くなることは十分に予想される。

 なぜなら、イギリスGPよりも1段階軟らかいコンパウンドが投入されるからだ。70周年記念グランプリに持ち込まれるC2、C3、C4のうち最も軟らかいC4は、1週間のイギリスGPで最も軟らかいコンパウンドだったC3よりも、今年のブダペストではコンマ5秒速かった。それを単純に今年のイギリスGPの予選結果に当てはめれば、70周年記念グランプリの予選はアルファロメオを除いて、9チームが2019年の予選よりも速くなる。

 つまり、イギリスGPでタイヤトラブルに見舞われなかったチームにとっても、メルセデスとマクラーレンに起きた悲劇は、決して対岸の火事ではないのである。

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