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【ポルシェはRRかEVか】911カレラS vs タイカン4S 前編 動力性能と価格は同等

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【ポルシェはRRかEVか】911カレラS vs タイカン4S 前編 動力性能と価格は同等

時代の転換点に試したいこと

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】写真で見る911vsタイカン 全95枚

photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)

今回のテストを思いつき、はじめてテスター陣に提案したのは1年ほど前のことだった。ポルシェの現行モデルから、伝統的モデルの最も古典的な仕様と、最新モデルを連れ出して比較しようというものだ。

これは、単にガソリン対電気という構図ではない。アナログとデジタルの両極であり、内燃エンジンとマニュアルトランスミッションを積んだ後輪駆動車と、地味さをカバーするためのステアリングパドルさえない電動四輪駆動車の代表格でもある。

そのアイデアをプレゼンした後、さまざまなことが起きたが、やはりいちばん大きな出来事は地球規模のパンデミックだ。ポルシェも、911に関しては2ペダルの需要を満たすのに精一杯で、マニュアルが加わってもすべてアメリカへ送られた。この手のクルマにとって最大のマーケットだけに、そちらが優先されるのは仕方ないことだ。

そして、ついに992のMT仕様が英国に導入されても、まずは納車を待ち続けたお得意様に納車され、プレス向けの貸し出しは二の次にされた。これも仕方のないことだ。

時代の転換点に試したいこと

今回のテストを思いつき、はじめてテスター陣に提案したのは1年ほど前のことだった。ポルシェの現行モデルから、伝統的モデルの最も古典的な仕様と、最新モデルを連れ出して比較しようというものだ。

これは、単にガソリン対電気という構図ではない。アナログとデジタルの両極であり、内燃エンジンとマニュアルトランスミッションを積んだ後輪駆動車と、地味さをカバーするためのステアリングパドルさえない電動四輪駆動車の代表格でもある。

そのアイデアをプレゼンした後、さまざまなことが起きたが、やはりいちばん大きな出来事は地球規模のパンデミックだ。ポルシェも、911に関しては2ペダルの需要を満たすのに精一杯で、マニュアルが加わってもすべてアメリカへ送られた。この手のクルマにとって最大のマーケットだけに、そちらが優先されるのは仕方ないことだ。

そして、ついに992のMT仕様が英国に導入されても、まずは納車を待ち続けたお得意様に納車され、プレス向けの貸し出しは二の次にされた。これも仕方のないことだ。

アナログは道を譲る運命か

この2台のスペックを比較して、どうしてわれわれがこの組み合わせに固執したのか、疑問に思う読者も少なくないだろう。かたや2ドアで、もう一方は4ドアだし、タイカンは全長もホイールベースも50cmほど長く、10cmも幅広く、8cmほど高い。

加えて740kgも重い。その差より軽いクルマもあるくらいだ。比較対象は違うクルマにするべきだったのだろうか、という声があるとしても理解できる。たとえば、パナメーラとか。

われわれとしても、その比較は別の機会に行いたいところだが、今回の趣旨とは異なる。世の中的にはタイカンのような電動化モデルが、911のようなICE、すなわち内燃エンジン車にとって代わるのも、自動車の歴史的にみればそれほど遠くないことだと思われているようだ。それが正しいか否か、またいいことかどうかは別として。

そこで、多くのひとびとにとって、新時代のクルマの中でも最上の部類に入るものが、伝統的なアプローチが産んだ傑作を上回る選択肢となるまでにあとどれくらいかかるのか、それを探ろうというのが、この比較テストの趣旨だ。言い換えるなら、革新は進化を超えることができるのか、それを知りたいのだと言ってもいい。

価格も性能も意外に近い

もうひとつ、この2台を選んだ理由がある。われわれテスターは、比較をする前に、ありかなしか、二進法的な考え方をしてしまいがちだ。しかし、購入者目線で考えると、そうはならない。最近、新車のレンジローバーと中古のマクラーレン、どちらを買うか決めかねているという話を聞いたばかりだ。

長年にわたる911信者でも、税金や家族の事情、環境問題や個人的なイメージ的なことを考えて、そろそろフラット6のRRクーペを捨て、もっと広く洗練された、環境に優しく、クールなEVに乗り換えるときではないかと考えるひとがいてもおかしくないはずだ。

価格とパフォーマンスは、とくにタイカン4Sに必須オプションともいえるパフォーマンスバッテリー・プラスを追加すると、そうかけ離れたものではなくなる。となれば、911とタイカンを横並びで考えても、それほど突飛ではない話になってくる。

911にデジタルは似合わない

まず乗り込んだのは911だ。というのも、世界屈指のスポーツクーペの、2021年時点における到達点を基準に据えてから、タイカンの評価に移りたかったからだ。

それは、基準点とするのにピッタリだった。いまやMTも選べるようになった992に、純粋主義車がケチをつけるとすれば、450psの3.0Lエンジンに2基のターボチャージャーが付いていることくらいだろう。

とはいえ、ターボラグはきわめて小さく、パワー特性はスムースだ。スロットルレスポンスはシャープで、サウンドもすばらしい。ふたつのタービンがドライビングの楽しみを大きく削ぐことはないといっていいだろう。

その影響は大きいという声もあるが、911ではそうとは感じられない。運転しやすい環境はそのまま受け継がれている。個人的に大きな不満を挙げるなら、ほぼデジタル化されたダッシュボードが、このクルマのキャラクターに合っていないということだけだ。

992世代の911には、さまざまなシチュエーションで十分すぎるほど乗っている。その考えが変わるようなことがあったならば、とっくに変わっているはずだ。タイカンにアナログメーターを並べるのと同じくらい、911のデジタル化は場違いに思える。

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みんなのコメント

3件
  • タイカンとアウディが日立製800Vバッテリー積載した事は今後のEVに大きく発展していく事でしょう。後は見合ったモーター開発が必須でしょう。
  • 911 オーナーだが、タイカンの試乗をした感じでは比較すべき点が少なすぎて検討の余地もないといった感じ。
    しかし軽量、大容量の全個体電池搭載が始まればエンジン車に勝ち目はない。
    特に車重がエンジン車と同等程度になれば、重心、各種の制御システムがEVとの調和に優れていることでエンジン車を購入するメリットは少なくなる。
    日本では大渋滞に巻き込まれた場合を考慮したうえで購入しないと痛い目に合う可能性がある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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