現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 【F1第4戦無線レビュー(1)】「どうしてリカルドのラップタイムを言うの?」噛み合わなかったルクレールとエンジニア

ここから本文です

【F1第4戦無線レビュー(1)】「どうしてリカルドのラップタイムを言うの?」噛み合わなかったルクレールとエンジニア

掲載 更新
【F1第4戦無線レビュー(1)】「どうしてリカルドのラップタイムを言うの?」噛み合わなかったルクレールとエンジニア

 2021年F1第4戦スペインGPの決勝。バルセロナ-カタロニア・サーキットはタイヤに厳しいコースであり、序盤から各車タイヤに苦しんでいた。上位を走るフェラーリでは戦略を巡ってチームとドライバーのやり取りがうまく噛み合わないシーンも。そんなスペインGPを、無線とともに振り返る。

────────────────────

ルクレール4位「すべてを完璧にこなした。モナコにも期待を持てる」フェラーリ/F1第4戦決勝

 タイヤに厳しいカタロニア・サーキットだけに、スペインGPは2回ストップ作戦が定石だ。しかし今年は決勝日の気温が低かったこともあって、タイヤの保ちは予想以上にいいと思われた。そのため1回ストップ作戦を視野に入れたチームも多かった。

 しかしアルファロメオのキミ・ライコネン以外の19台すべてがソフトタイヤでスタートすると、序盤から早くもこんなやり取りが聞こえ始めた。

ニキータ・マゼピン:リヤがもういっちゃってる!
ハース:わかった

 ところが7周目に燃圧低下で角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)がコース上にストップ。セーフティカーが4周の間導入されたことで、少しは楽になったはずだった。ところが15周目には、唯一ミディアムタイヤでスタートしたライコネンまでがこう訴えた。

ライコネン:フロントもリヤも苦しい
アルファロメオ:(先行する)ガスリーにコンマ2~3秒遅れてるぞ

 上位勢では3番手を走るシャルル・ルクレール(フェラーリ)に、担当エンジニアのハビエル・マルコス・パドロスが「プランBでいこうと思う」と、打診してきた。プランAが1回ストップ、プランBは2回ストップ作戦と思われる。

 スタート直後にバルテリ・ボッタス(メルセデス)を抜き去って3番手に上がったルクレールは、その後のレースペースも決して悪くなかったものの、結局表彰台に上がることはできなかった。「4位が今の精一杯だった」とレース後語っていたルクレールは、レース中に何度も感情をあらわにした。たとえば3番手を快走していた20周目。

フェラーリ:リカルドは24秒5だ
ルクレール:どうしてリカルドのラップタイムを言うわけ? どうしろというの?

 この時点でダニエル・リカルド(マクラーレン)は4番手ボッタスの後方、ルクレールからは8秒前後離れていた上に、エンジニアの伝えたラップタイムも遅く、追い上げているわけではない。ルクレールならずとも、なぜ? と言いたくなる。

 さらに終盤には、こんなやり取りも聞こえてきた。

フェラーリ:22秒7のペースだ
ルクレール:どうでもいい。ほっといてくれ

 55周目のラップタイムを伝えたと思われる。ルクレールはこの3周前にボッタスがピットインしたことで3番手に上がっていたが、ソフトを履いて2秒以上速いペースで猛追してくるボッタスに抜かれるのは時間の問題だった。ルクレールもそれは十分承知していただけに、「わざわざ言われなくても、わかってる」という思いだったのだろう。

 57周目にボッタスにあっさりかわされたルクレールに対し、ピットインの指示が出た。

ルクレール:何なんだ。何が起きたんだ?
フェラーリ:ボックスだ、ボックス
ルクレール:リスキーだろう
フェラーリ:大丈夫。フリーストップだ

 ルクレールは背後のセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)に抜かれて5番手に落ちることを心配したのだろう。それまで両者は14秒前後しか離れておらず、ピットインすれば順位が逆転するとルクレールは思っていた。

 しかしペレスのタイヤも限界で、ルクレールの1周前にピットイン。それを確認してパドロスは「大丈夫、フリーストップだ」と言ったのだろう。しかし詳しく説明されてないルクレールは、疑心暗鬼だったはず。このふたり、コンビを組んで長いが、今ひとつしっくりきていない印象だ。

 対照的にマクラーレンのリカルドと、担当エンジニアのトム・スタラードのやり取りは、実に微笑ましかった。46周目の2回目のピットインの直前、スタラードがとんでもない失敗をやらかしてしまう。

スタラード:カルロス……いや違ったダニエル、ボックスだ!
リカルド:ボックス、了解!

 スタラードは去年までカルロス・サインツ(現フェラーリ)の担当エンジニアだった。それで思わず、カルロスと呼んでしまったのだろう。リカルドは「おいおい」と思ったかもしれないが、それで集中力が途切れることなくピットに向かい、6位入賞を果たした。チェッカー後、スタラードがすぐに祝福と謝罪の無線を入れた。

スタラード:6位だ、ダニエル、よくやった。素晴らしい仕事だった
リカルド:一歩前進だね。的確な無線のおかげだよ
スタラード:ゴメン、ちょっと取り乱していて、違う名前を呼んでしまったようだ。結果がよくて、本当によかった。
リカルド:そうだよ。すべてよかったということさ。

 マクラーレン移籍後のリカルドは、予選ではランド・ノリスを凌ぐ速さを見せてきたものの、レースではずっとチームメイトに負けてきた。それが今回初めて8位のノリスを上回る6位でチェッカーを受けたのだった。

────────────────────
(2)に続く

こんな記事も読まれています

トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
ベストカーWeb
三菱「ギャラン」に「ランエボ」「パジェロ」のラリーカーが勢揃い! 篠塚建次郎氏の追悼展示は三菱モータースポーツの歩みでもありました
三菱「ギャラン」に「ランエボ」「パジェロ」のラリーカーが勢揃い! 篠塚建次郎氏の追悼展示は三菱モータースポーツの歩みでもありました
Auto Messe Web
ルクレールがバスール代表の采配を称賛「僕たちは上昇のスパイラルに入っている」。ニューウェイへの興味にも言及
ルクレールがバスール代表の采配を称賛「僕たちは上昇のスパイラルに入っている」。ニューウェイへの興味にも言及
AUTOSPORT web
GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う
GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う
AUTOSPORT web
世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド
世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド
AUTOCAR JAPAN
BMWは全ての電気自動車向けに目的地で充電ができるプロジェクト「BMW Destination Charging」を日本で開始
BMWは全ての電気自動車向けに目的地で充電ができるプロジェクト「BMW Destination Charging」を日本で開始
Auto Prove
ミキティ、スマホでポチ買いした1000万超の「超高級車」をついに納車! 斬新“ド派手ドア”搭載の実車に 「かっこいい!」「すごいクルマ」の声集まる
ミキティ、スマホでポチ買いした1000万超の「超高級車」をついに納車! 斬新“ド派手ドア”搭載の実車に 「かっこいい!」「すごいクルマ」の声集まる
くるまのニュース
今年は晴れるか? 「ルノーカングージャンボリー2024」は10月27日に開催…仏本社も注目、世界最大級のファンイベント
今年は晴れるか? 「ルノーカングージャンボリー2024」は10月27日に開催…仏本社も注目、世界最大級のファンイベント
レスポンス
マセラティが推す「フォーリセリエ」で仕立てた「グレカーレ」と別注カラーの「クアトロポルテ」の新旧トライデントが揃い踏み…で、「フォーリセリエ」とは
マセラティが推す「フォーリセリエ」で仕立てた「グレカーレ」と別注カラーの「クアトロポルテ」の新旧トライデントが揃い踏み…で、「フォーリセリエ」とは
Auto Messe Web
トレンドはこれからも「SUV一辺倒」なのか? 欧州市場に見る "風向き" の変化
トレンドはこれからも「SUV一辺倒」なのか? 欧州市場に見る "風向き" の変化
AUTOCAR JAPAN
『レンジローバー・イヴォーク』と『ディスカバリースポーツ』の姉妹が2025年モデルに刷新
『レンジローバー・イヴォーク』と『ディスカバリースポーツ』の姉妹が2025年モデルに刷新
AUTOSPORT web
ニッサン/ニスモ、CNF使用の『ニッサンZニスモ・レーシング・コンセプト』で富士24時間に参戦
ニッサン/ニスモ、CNF使用の『ニッサンZニスモ・レーシング・コンセプト』で富士24時間に参戦
AUTOSPORT web
2024年F1第6戦マイアミGP決勝トップ10ドライバーコメント(2)
2024年F1第6戦マイアミGP決勝トップ10ドライバーコメント(2)
AUTOSPORT web
2024年F1第6戦マイアミGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)
2024年F1第6戦マイアミGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)
AUTOSPORT web
【GT500技術レビュー/ホンダ編】シビックだから採用できた“非対称”なチャレンジ精神
【GT500技術レビュー/ホンダ編】シビックだから採用できた“非対称”なチャレンジ精神
AUTOSPORT web
爆排気量“V8”の新型「2ドアクーペ」世界初公開! 800馬力超え×4WDの「最強モデル」! 流麗ボディが超カッコイイ「S Eパフォーマンス」中国に登場
爆排気量“V8”の新型「2ドアクーペ」世界初公開! 800馬力超え×4WDの「最強モデル」! 流麗ボディが超カッコイイ「S Eパフォーマンス」中国に登場
くるまのニュース
アップルアカデミーが新人セミナーで人材育成に注力
アップルアカデミーが新人セミナーで人材育成に注力
レスポンス
なぜかデコトラ乗りは「バニング」と「街道レーサー」が好き! 改造車の「兄弟ジャンル」といえる意外な共通点とは?
なぜかデコトラ乗りは「バニング」と「街道レーサー」が好き! 改造車の「兄弟ジャンル」といえる意外な共通点とは?
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村