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メルセデス、躍進の秘訣は化粧パネルの下にアリ? 「突然データが意味をなすようになった」のは足回り変更のおかげか

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メルセデス、躍進の秘訣は化粧パネルの下にアリ? 「突然データが意味をなすようになった」のは足回り変更のおかげか

 F1イギリスGPでは、目まぐるしく変わるコンディションの中でルイス・ハミルトン(メルセデス)が速さを見せ、実に945日ぶりとなる勝利を飾った。

 この勝利はメルセデスにとって2戦連続の勝利となった。オーストリアGPでのジョージ・ラッセルの優勝は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)の接触による棚ぼた的な勝利だったことは否めない。一方、イギリスGPはレースのタイミングによって最速のマシンが異なる複雑なレースとなったが、メルセデスは一貫して速さを見せていた。2022年以降苦しんできた彼らが、このレースに優勝を争えるマシンを用意したことは間違いないだろう。

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 メルセデスの今季マシンW15は、シーズンを通して大きく進歩した。チームはグラウンドエフェクトカーとなった現代F1マシンを速く走らせるために何が必要なのか理解を深めたことで、マシンが本来持っていたポテンシャルをパフォーマンスとして引き出せるようになったのだ。

 チーム代表のトト・ウルフは次のように語っている。

「ピンときたんだ。突然、これまで意味をなしていなかったことが意味を持つようになった。今の開発の方向性は、これまでやってきたことの結果だ。我々はパフォーマンスを見つけ、それをマシンに反映し、ラップタイムを向上させている。この2年間はそうではなかったんだ」

 メルセデスにとって最大のブレークスルーは、ダウンフォースを生み出す新しいエアロパーツを搭載したことによって成し遂げられたわけではない。

 テクニカルディレクターであるジェームス・アリソン率いるチームによって、ドライバーが満足できるようなマシンバランスをもたらすことがができたのが要因だと、ウルフ代表は考えている。

「ジェームスに導かれて、突然データが意味をなすようになった瞬間があったんだ。バランスの取り方、どうすればより良いスイートスポットに持っていけるか、それが重要だった。それはフロントウイングのアップデートによって奇跡のようにもたらされたものではなく、バランスの調整によってたどり着いたものだ」

 偶然なのか、それとも何か理由があるのか、メルセデスはオーストリアGPからW15のノーズにあるバニティパネル(化粧パネル)に変更している。これはダンパーに手を加えた可能性を示す手がかりとなるかもしれない。

 バニティパネル(写真)には新しい膨らみがあり、チームはこれが冷却に関係していると主張している。以前のバージョンで設けられていた風を取り入れるための吸気口はないものの、この膨らみによってこの下を通る気流の通り道は広がった形だ。

 ただこの膨らみすべてが冷却に関係していると見るのは正しくないだろう。通常、ドライバー冷却のための風はパイプを通ってコクピットへと導かれるからだ。

 これはコックピットまで流れる気流が乱れて空気抵抗にならないようにするためだが、バルクヘッド内にはサスペンションエレメントが収まっており、その取り回しが問題となる場合がある。

 また、エアフローを増やすために膨らみを作ったのに吸気口がなくなるのはかなり奇妙に思える。

 さらに付け加えるなら、チームはオーストリアGPで、空力パーツのアップデートを申告するFIAのドキュメントにこのバニティパネルを記載していない。そのため、空力的な観点からアップデートされたとは考えにくい。

 イギリスGPに話を戻すと、ドライバー冷却を必要としないような寒冷なコンディションでこのパネルの膨らみが維持されていることから、この変更には建前以上の効果があり、パネルの下の何かが変更されているのではないかという見方が強まっている。

 チームは認めていないが、このエリアのコンポーネントを詳細に調べたところ、ダンパーのレイアウトが変更されており、より広いスペースが必要となっていることが分かった。

 こうした足回りの変更により、メルセデスW15は空力的にもより安定するようになり、長い間追い求めてきたマシンバランスの面でも重要な役割を果たしているのかもしれない。

 加えて言うなら、メルセデスは過去にサスペンションを変更した際、この部分に膨らみを追加した前例がある。

 2016年当時、チームは翌年に向けてW06にSダクトの配置とヒーブダンパーの改良を目指して実験してしたのだ。この時期、メルセデスはサスペンションの運動特性と、それが空力に及ぼす影響について、全チームの中でも最もよく理解していたと広く認められていた。

 かつてメルセデスは、フロントとリヤのサスペンションを連動させるFRIC(フロント・トゥ・リア・インターコネクテッド)システムを活用し、それが禁止された後も油圧式サスペンションシステムの理解という面で他より一歩先んじていた。

 しかし2022年のレギュレーション変更で、サスペンションがより伝統的なスプリングとダンパーにより構成されるようになったことで、メルセデスや彼らのカスタマーチームが享受していたアドバンテージがある程度失われたのは確かだろう。

 シャシーの上下動をコントロールするヒーブダンパーの油圧駆動ができなくなり、現在ではベルビル・スプリング(皿バネ)を使った機械式が最良の選択肢だと理解されている。

 メルセデスがバニティパネルを変更し、アップデートしたコンポーネントの候補は、このヒーブダンパーになるだろう。ヒーブダンパーの改良や位置変更は、チームが最近行なった空力面でのアップデートにも関連しているはずだ。

 この微調整が、2022年のレギュレーション変更以降チームが苦労してきた、より安定したプラットフォームの実現に大きく貢献しているはずだ。

 これまで、マシンに施したアップデートが機能したり機能しなかったりして頭を悩ませてきたメルセデス。もしチームがバニティパネルの下に隠された部分を変更し、W15をより安定したマシンにすることができたのなら、そうした問題も解消され、様々なコンディションやダウンフォースレベルでマシンが反応してくれるようになるだろう。

 とはいえ、メルセデスが勝てるマシンを用意できたのはまだイギリスGPだけ。次戦以降もこの調子を維持できたのなら、ついに長いトンネルを抜け出せたと言って良いのかも知れない。

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みんなのコメント

2件
  • wat********
    フェラーリは ロールする、そのため 縁石やギャップに乗っても、車体を制御しやすい
    しかし フラットな路面でロールするのは、ライドハイトが左右に差ができ ベストなグランドエフェクトが得られず、車体が不安定になる
    フラットな路面ではロールはせず、ストレートからのブレーキングやバンプには 左右がストロークし、何らかの仕組みにより 左右で兼用しているヒーブダンパーが、縁石に乗り上げた側に持ち上がり傾き その片輪のみストロークする、その傾き 持ち上がるダンパーを、逃がす為のバルジ?
    もしくはステアリングを引くと ヒーブダンパーが高い所から下がり、ストレートで フロントのライドハイトが持ち上がり、逆レーキコントロールの新手のDASか? 何れにしろ来年には、禁止になるなw
  • gky********
    津川哲夫復帰してたりして(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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