1949年に日本独自の車両規格として制定されて以来、発展を遂げてきた軽自動車は国民の“生活の足”として活躍する大衆車の代表格。しかし、時としてその領域を逸脱した趣味性の高いモデルが存在していたこともまた事実。ここでは“クレイジー”という視点で厳選した最驚の軽カー5台を紹介しよう。
文/FK、写真/スバル、スズキ、ダイハツ、本田技研工業、マツダ
いま「走る楽しさ」を味わうなら軽が最適!! 走って楽しい魅惑の軽自動車 5選
【画像ギャラリー】名車あり珍車あり 令和の記憶と歴史に残したい「最驚」の軽カー5選
みんな大好き! 軽自動車は新車・中古車とも販売台数は回復傾向
2021年5月末にホンダ史上最速の国内累計販売台数200万台突破記録を達成した、ただ今絶好調のN-BOX
一般社団法人 全国軽自動車協会連合会の発表によれば新車が94万2708台(前年比116.7%)、中古車が164万3910台(前年比103.7%)を記録した2021年上半期の軽自動車販売台数。コロナ禍前の2019年上半期実績(新車10万18072台、中古車16万63650台)には達していないものの、その数は確実に回復傾向にある。
そして、2021年上半期の新車販売台数ベスト5を見てみると1位ホンダ・N-BOX、2位スズキ・スペーシア、3位ダイハツ・タント、4位ダイハツ・ムーヴ、5位日産・ルークスといわゆるハイト系ワゴンが大半を占める。
一方、減少傾向にあるのがスポーツタイプの軽自動車。今年3月にはホンダが2022年3月をもってS660の生産を終了すると発表。今や軽スポーツと呼べるのはスズキのアルトワークス、ダイハツのコペン、ホンダのN-ONE RSくらいしか思い浮かばないのが実情だ。
日常の使い勝手が優先されて久しい軽自動車だが、しかし……ひと昔の軽といえば「こんなの売ってたの?」と思わずにはいられない個性派モデルのオンパレード! 懐古趣味を良しとするわけではないが、クルマにはやっぱり突出した個性も必要じゃない?
スペーシアも、2013年3月の発売開始から8年2カ月で国内累計販売台数100万台突破と絶好調。スズキの主力車種として君臨
ビート以来の軽規格の2シーターオープンスポーツカーとして注目を浴びたS660だったが、2022年3月に生産終了という悲報が!
ターボモデルのパワーウエイトレシオNo.1 スズキ・アルトワークス(1987年2月発売)
パワーウォーズが激化した80年代後半、軽自動車にもパワーを求めるユーザーが続出。彼らの欲求を満たしたのがアルトワークスだった
1980年代中頃にスズキ、ダイハツ、三菱自動車の3社で繰り広げられた軽自動車のパワーウォーズ。そんな状況のなかで登場した初代アルトワークスは、走りに重きを置く男性ユーザーの獲得を目指したシリーズの最高峰モデル。
その走りは、日本の軽自動車で初めて64 psに到達した直列3気筒550cc EPI DOHC 12バルブインタークーラーターボエンジンとビスカスカップリング方式のフルタイム4WDシステムの採用で実に軽快だった。車両重量も610kgという驚異的な軽さを誇り、パワーウエイトレシオは9.531kg/ psとNo.1を誇る。
この数値は、現行の普通乗用車でいえばトヨタのRAV4 Adventureとほぼ同じ。そう聞くと「ビミョ~」という声も聞こえてきそうだが、先述した現行の軽スポーツであるアルトワークス(2WD 5MT)が10.469kg/ ps、コペン(5MT)が13.281kg/ps、N-ONE RS(6MT)が13.125kg/ psであることを考えると、軽さを大きな武器にして抜群の運動性能を誇った初代アルトワークスのパワーウエイトレシオがいかに突出しているかが理解できる。
自然吸気モデルのパワーウエイトレシオNo.1 ダイハツ・ミラ V(2002年12月発売)
軽自動車初のガソリン直噴エンジンを搭載したミラVは、当時、世界最高レベルの低燃費軽自動車として、軽自動車初の平成15年度省エネ大賞も受賞した
SOHCながら64 psを発生するE07A型直列3気筒を搭載したホンダのビートが自然吸気エンジン搭載の軽自動車最強モデルであることに異論はないが……パワーウエイトレシオに関しては意外や意外、2002年12月に登場したダイハツのミラ VがNo.1!
最高出力はビートの64 psに対してミラ Vは60ps、車重はビートの760kgに対してミラ Vは700kg。したがって、パワーウエイトレシオはビートの11.9kg/ psに対してミラ Vは11.7kg/ psとなり、ミラ Vに軍配が上がるのだ。
しかも、連続可変バルブタイミング機構を備えたDOHC直列3気筒エンジン(EF-VE型)を搭載したミラ Vはなんと! トランスミッションが5MTのみという割り切った設定で販売されていたことも、今となってはビックリ!?
5つのスタイルで変幻自在! スバル ヴィヴィオGX-T T-top(1994年2月発売)
スバルブランド40周年記念特別仕様車として登場した軽コンバーチブルクーペ。走りも装備もバブル仕様だった
今でも軽自動車最速と語る人が多いスポーツグレードのヴィヴィオRX-Rは軽自動車で唯一、WRC(世界ラリー選手権)でクラス優勝した1台として有名だが、ここで紹介するのはヴィヴィオGX-T T-topという1000台限定の特別仕様車。
デタッチャブルルーフを採用したT-topは3分割のルーフと電動リアウィンドウを自在に組み合わせることでクーペ、リアオープン、Tバールーフ、オープントップ、フルオープンという5つのスタイルに変形できるのが大きな特徴。それでいて、乗車定員が4名というから驚き!
加えて、GX-TはEN07型直列4気筒インタークーラー付スーパーチャージドエンジンとECVTを搭載した贅沢仕様。スタイリッシュなスタイリングと爽快な走りが楽しめる1台として注目を集めた。
図太さNo.1のトルク番長 ダイハツ・コペン (2002年6月発売)
トルクフルな力強い走りが魅力だったコペン。11.2kgmはあっぱれ!
スイッチオンから約20秒で開閉する電動開閉式ルーフはコペンの象徴ともいえる画期的システムだった
軽自動車の最大トルク歴代No.1は初代コペンの11.2kgm。専用チューニングを施した直列4気筒DOHC16バルブEFIターボエンジンのJB-DET型がゆとりのある力強い走りを実現。
トランスミッションもマニュアル感覚のシフトチェンジが行えるスーパーアクティブシフト付電子制御式4ATこと“ESAT(イーサット)”と、クイックかつスポーティな操作が楽しめるショートストロークのスーパー5MTを設定。軽自動車初にして唯一の電動開閉式ルーフ“アクティブトップ”を採用するなど、その登場は実にセンセーショナルだった。
ガルウイングドアを採用した不世出の2シーターモデル マツダ・AZ-1(1992年10月発売)
軽自動車でガルウイングという斬新さで話題を呼んだ。スズキにもOEM供給され、キャラという名称で販売された
軽自動車史上で唯一無二のガルウイングドアを採用したAZ-1は、マツダ5チャンネル体制時にオートザムが発売した2シーターのミドシップスポーツ。
1989年の第28回 東京モーターショーに参考出品されたマイクロクーペをほぼそのまま市販化したAZ-1はガルウイングドアはもとより、地を這うようなスタイルやプラスチック製のボディ外板など斬新なアイデアを満載。徹底した低重心設計と軽量化によって、まるでレーシングカートを操っているようなダイレクトかつシャープな超絶ハンドリング性能もAZ-1の持ち味だった。
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みんなのコメント
今私は2代目コペンエクスプレイに乗っていますが、
軽規格で軽量化したいのに、電動ルーフをおごってしまうのに感動してます。
→ビートも5MTのみしか販売されてないんだが…